我が子は我が子として、個性を大切にしていきたいと考える親御さんがほとんどだと思います。しかし、いくら他の子と比べたくなくても、自分の子供の異変に気付くためには時に比べなければならない時があります。
その理由のひとつに学習障害というものがあります。まさかうちの子が?と疑いたくない気持ちは誰しも親なら同じだと思いますが、子供のためには一番信頼できる親にこそ分かっていて欲しい障害であるといえるのです。
今回は、“学習障害”について詳しくお話していくとともに、どんな場合に疑う必要があるのか、チェックしておくべきこと4つをご紹介していきます。
「学習障害」って何?
この障害は脳の発達度合いが関係しています。通常であれば年齢にともない発達していく脳が何らかの原因で障害を起こしてしまうのです。
気づくことが困難な理由
中には大人になるまで気づかずに育ててしまったという親御さんもいらっしゃるほど、この障害を見つけるのは困難といわれています。その理由のひとつが“見た目に異変がない”という点です。
耳が聞こえない、目が見えないといったものであれば、周りもすぐに気づくことが出来ますが、見た目に一切変化もなく、他の子どもたちと何ら変わりないとなれば発見が遅れてしまって当たり前でしょう。
学習障害の種類
また、何が苦手かによって“言語性”か“非言語性”に分けられます。
言語性の場合
このケースにおいては、
・文章を読み、何が書かれているかを理解することができない
・文字を書くこと自体が難しい
・計算ができない
といった3つにさらに分類されます。
非言語性の場合
一方こちらは、
・言葉がうまく出てこない、発音が難しい
・雑音に情報が邪魔をされやすく理解が困難になる
・記憶障害
・相手の気持ちを汲み取ることができない
・自分がどこにいるのか、位置や立体の認知が困難
といった5つに分けられます。
これらを踏まえ、お子さんの状態を把握するために特徴やチェックリストを用意しましたので確認してみて下さい。
学習障害の特徴と、チェックしたいこと
チェック項目
1.普段の生活においては何の支障もないのに、勉強だけが異常にできない
2.文字を正確に読み取ることができず、反転しているように見えたりする
3.読書が好きで文章を読むのは好きなのに、書くことが難しい
4.暗記ができるのに数字を覚えられない
学習障害ならではの特徴
上に当てはまるものがあったとしても、しっかり特徴を理解していなければ障害ではなくただの勉強不足や努力をしていないといったことも考えられえます。
そこで注視しておきたいのが学習障害ならではの特徴です。
努力をして何時間予習・復習しても理解できない
例えば勉学においての特徴のひとつとして知っておきたいのが、ただ単に勉強時間が不足していたりサボっていたり、苦手意識から毛嫌いしている状態とは異なるということです。
家でも毎日予習や復習を行い、苦手科目については塾に通わせてみてもなんら効果が見られないのがこの障害の特徴なのです。本人の努力している姿を見ていると、できない現状に親の方が打ちのめされてしまうことも多いです。
また、ある一教科だけができないという特徴もあります。
読み書きの能力が極端に乏しい
学習障害の中には、読み書きだけが特別困難な“ディスクレシア”という障害もあります。
特徴としては、
・ひらがら(わ、れ、ね)などの区別が困難
・カタカナ(ソ・ン、ツ・シ)の違いが分からない
・音読み、訓読みを使い分けられない
・年齢を重ねても低学年程度の漢字しか理解できない
などの点があります。
特徴を見てもらうと分かるように、少し普通とは違っているのが理解できると思います。難しいのは年齢を重ねていかないと気づかない特徴が多いということでしょう。
何度教えてもできないとなると、子供の気持ちを理解しないまま厳しく教えたり、勉強する時間を増やしたりして、子供のためであるはずが知らず知らずのうちに我が子に辛く苦しい負担を背負わせていることになるのです。
子供の学習障害と上手く付き合うためには
ではどうすれば辛い思いをさせずに付き合っていけるのでしょうか。ポイントは症状別にフォローを強化していくことです。
読むことが困難なとき
絵本を読み聞かせてあげているような気持ちで、一文字ずつ、指でなぞるように促してみて下さい。短文なら比較的簡単にクリアできると思います。
年齢に見合っていないと悲しくなるのではなく、その子のペースで克服させてあげることが大切です。
書くことができないとき
漢字練習帳や、ひらがな、カタカナの練習帳を使ってまずはなぞることから始めて下さい。
初めは書き順を意識できなくても大丈夫です。書くことすら難しいのに、多くの情報を与えすぎると集中力が続かなくなってしまったり、辛いと感じる時間にさせてしまう恐れがあります。
言葉をうまく口にできないとき
話すことができるようになると、「あのね、今日ね、」とママやパパに話を聞いてほしくて色んなことを話すようになるのが普通です。何かを問いただしても言葉として伝えるのが難しくなっていることを理解し、その子が話しやすい内容を意識して言葉をつむぎやすいように合間合間にフォローしてあげてみてください。
そうすることで“それが言いたかったの!”と子供自身が何を言えば伝わるのかを理解することができます。
計算が難しいとき
簡単なものから始め、解くまでの方法を理解させることが大切です。
この時分かるだろうと過程を雑に教えてしまうと、数字が変わっただけで戸惑い、解けなくなってしまうことがあります。それでは意味がないので、ご両親が丁寧さを心がけることが必要です。
学習障害に治療方法はあるの?
これをすれば必ず治る!といった単純な病とは異なるため、教育に力を入れることや精神面でのサポートをしてあげることが必要になります。
付き合い方でお話したように、子供の実力に見合った教育を重ねていくことはもちろんですが、第一に考えてほしいのはお子様の気持ちです。誰にも分かってもらえない、自分は友達よりもできないダメな子と思わせてしまうのがもっとも恐ろしいことだと理解しておきましょう。
先生やクラスメートの協力も必要となってくるため、できることは親が親身になってサポートしてあげてくださいね。