「幼児教育」と聞くと、何か特別なお金持ちの家庭にしか関係のない、お受験のようなものを想像するかもしれません。しかし本来幼児教育とは、特別な選ばれたお子さんだけに関係していることではありません。
幼児教育と何か、またどう有効なのか、幼児教育を行う効果を挙げながらご説明したいと思います。
幼児教育って何?
幼児教育とは、幼児期に行われる教育のすべてのことです。幼児とはだいたい満1歳から小学校に入る前までの期間を指します。
幼児教育とは特別なものではありません。実際文部科学省は、幼稚園などの教育のことを「幼児教育」と呼んでいます。
生活に関する基礎的なことをどんどんできるようになるこの時期は、何も机に向かって紙とペンを持って行うものだけが学習ではなく、おおげさに言えば見るもの・聞くもののすべてが、お子さんの学びとなり、吸収される時期なのです。
ですから、親御さんも無理やり教え込もうとするのではなく、興味を引き付けやってみたくなるようにするとか、本人が興味を持っているものを見つけて伸ばしてあげるという視点も大切です。
気をつけたいのは、適応能力に応じたハードルを用意してあげることです。たとえばひらがなが書けるようになって欲しいと思っても、ある程度の年齢にいけば、みんなひらがなは書けるようになるのです。
そこを、まだ話すのもおぼつかない状況の幼児に強要したところで、できるわけもなく、できないことを繰り返しやらされることで、子どもが教育全般を拒絶したり、嫌がったりしてしまいます。
なぜ、「幼児期」なのか
この時期はまだ幼いので、「あまり詰め込み教育をするのはかわいそう」と思いがちですが、この時期の子どもは、自分でできることが増えることがうれしい時期です。
ですから当人に「学びを強要されている」という意識はあまりないでしょう。もし本人がとても嫌がっているとしたら、それは親御さんが能力以上の高いハードルを強要してしまっているからです。
そうではなくて、「あら?こんなこともできたの、すごいね!」という反応を見せながら、できるようになったことを一緒に喜んでいけば、お子さんはどんどん学びたくなるに違いありません。
この時期は吸収力が優れているだけでなく、身体の発達も伴うので、ステップアップが目覚ましいのです。
幼児教育の効果は?
学びが習慣化する
幼児期に身につけていく習慣は、この先の長い人生に大きな影響を与えます。大人になってからは新たな習慣を身に着けることも容易ではありませんが、この時期には習慣化しやすく定着します。
たとえば幼児教育の内容についてもそうですが、「毎日、一定時間を学びに費やす」といった習慣そのものを定着させることも可能で、これは今後本格的に学校の勉強が必要となってくる年齢までに、ぜひ身につけておきたい習慣だと言えます。
成功体験が自信となる
幼児期にはできるようになることが多くあり、またやりたい気持ちも盛んです。つまり、「成功しやすい」ということ。これを「できて当然」というスタンスではなく、「あれもできた」「これもできた」と成功体験を積み重ねてあげることで、本人にはとても自信がつきます。
成功体験からの自信の積み上げこそ、幼児期に教育を施す最大のメリットだと言えるでしょう。
社会性が身につく
幼児教育の一環として、習い事を始めてみると、お子さんにとっては新たな世界が広がり、社会性が形成されていきます。いつも甘えて良い親御さん以外の人やその周りのお友達と「一緒の時間を過ごす」というのも、貴重な体験です。
このような習い事についても、「詰め込み教育はかわいそう」などと全否定せず、内容を吟味してみても良いと思います。親が教育する方がすんなりいくこともあれば、部外者の手を借りた方が良い場合もあります。
特に専門家にゆだねると、家ではなかなか難しい「遊びながら学ぶ」という状況をたくみに作ってくれます。
また少子化の現代では、どこの家庭でも子どもが主役で、周りからフォローの手がたくさん入ります。お教室などで、同じくらいの子どもと「競う」環境を作ってあげると、それが当人のプレッシャーにならない程度であれば適度な刺激となり、伸びが良いでしょう。「周りの子ができていることが自分だけできない」というのは、どんなに小さなお子さんでも、やはり嫌なのです。
幼児教育の取り入れ方
家庭でできる幼児教育
幼児教育は、お金をかければ良いというものではありません。家族とたくさん会話を交わすのが効果的です。時にはそこにゲーム要素を入れて、言葉を多く覚えられるようにしてみたり、お話を作ってみたり、お母さんが本を読み聞かせてあげたりするのも良いでしょう。
手を動かすような種類のものであれば、折り紙や工作のように、何かを作ることをしてみるのも良いでしょう。特別な道具を用意しなくても、包装紙や新聞・広告紙を使って作っても良いのです。
ある程度就学年齢に近づいてきたら、食事の準備のお手伝いなども、立派な幼児教育となります。
幼児教室を探すポイント
もちろん習い事を選んでみるのも良いでしょう。教室を探すときには、親御さんの目から見てどうかというだけでなく、お子さんが興味を示しているかをきちんと見極めましょう。無料体験などを使って、いくつか見てから決めても良いでしょう。
まとめ
幼児教育で大切なことは、幼児教育を施している環境そのものが、その家庭の日常となることです。
幼児教育を行う効果を3つ挙げると
1.学びが習慣化する
2.成功体験が自信となる
3.社会性が身につく
とまとめることができます。
人間は生きていくうちに、さまざまなことに直面します。ですから、あまり過保護にして見せたいものだけを見せて育てるというのも、決して良くないことです。
家庭では、「お母さんが体調をくずしてしまった」というようなイレギュラーも起こります。そのときに臨機応変できる子の方が、周りがイレギュラーを取り除いて過保護に育てた子よりも応用力がつきます。
「お母さん、困っているから助けてほしいの」などと話しかけながら、いろいろなことに挑戦させて自信をつけてあげましょう。幼児期は難易度のコントロールを親御さんが調整してあげやすいちょうど良い時期なのです。