妊娠をすると、女性の体はどんどん変化をしていきます。赤ちゃんに必要な栄養を送るために、妊娠が成立した時点で体が「母」になるのです。
赤ちゃんを守っていくためには、摂取すべき栄養素があることがわかっています。中でも特に重要視されているのが「葉酸」です。近年では葉酸の大切さが広まり、聞いたことがある人も多いでしょう。
なぜ葉酸が不足するといけないのか?葉酸とはどんな働きがある栄養素なのか?妊娠と葉酸の関わりについてご紹介いたします。
葉酸とはどんな栄養?
葉酸とは、ビタミンB群の一種で、細胞の生産や再生を促し体の健やかな発育に大きな関わりがある栄養素です。新しい細胞が正常につくられる時に活躍する栄養なので、妊娠時にもその重要性が伝えられています。
葉酸は、受精卵が着床し細胞分裂を繰り返して赤ちゃんの体が作られていく過程で、必要不可欠です。2002年より日本で発行されている母子手帳にも、葉酸摂取の必要性が記入されています。
葉酸不足が良くない理由
葉酸不足によってどのようなことが起きてしまうのでしょうか。
先天性疾患のリスクが上がる
まず、一番の理由は先天性疾患の予防です。妊娠初期に葉酸が不足すると、「二分脊椎症」などの神経管閉鎖障害が起こる可能性が高くなります。妊娠前から葉酸を十分に摂取することで、こういった疾患を約6割予防することができるともいわれています。
貧血になる
そして妊婦に多い貧血を予防する働きがあります。葉酸は、血液を増やす手助けをする栄養素でもあることから、非妊娠時より多くの血液が必要になる妊婦には欠かせないのです。
つわりが重くなることがある
また、妊婦の悩みに多いつわりを軽減することもあります。葉酸は質の良い血液を作り出し、血行が良くなる効果があります。すると自律神経が整い、ホルモンバランスが良くなることから、つわりの症状が軽くなることがあるのです。
葉酸の1日の摂取量は?
大人の葉酸推奨量は、男女ともに240マイクログラムです。そして妊娠中の葉酸摂取推奨量は、480マイクログラムでです。これは厚生労働省が健康に過ごすためにこのくらい摂取するといいですよと推奨している量です。
最も葉酸が必要とされているのは、受精卵の細胞分裂が活発な受精後から妊娠3か月ほどまでといわれています。妊娠したいと考えている人は、積極的に妊活しているときから葉酸を摂取した方がいいことがわかります。
ちなみに、妊活中推奨量は640マイクログラムで、妊娠時より多いのは葉酸に受精卵の着床をサポートする働きがあるからです。
効率よく摂取するためには?
葉酸は、果物や野菜、豆類に含まれています。ほうれん草には特に多くの葉酸が含まれており、1株で80マイクログラムほどです。
しかし葉酸は水に溶けやすく熱に非常に弱い栄養素です。食べ物に含まれている葉酸をそのまま体内に取り込むことは難しく、多くても50%ほどしか摂取できないことがわかっています。いつも通りに調理して食べるだけでは、葉酸を推奨量摂取することは非常に難しいのです。
効率よく葉酸を摂取するためには、サプリを利用するのが手軽でとても良いです。ドラッグストアにも、様々な種類のサプリが販売されています。錠剤のからグミのようなおやつ感覚で食べられるものもあります。(妊婦さんにおすすめの葉酸サプリ)
主に葉酸200マイクログラムか400マイクログラムのものが売られています。妊娠しているときの推奨量は480マイクログラムなので、400マイクログラムのものを飲むとつわりであまり食べられないときでもある程度充分な量の葉酸を摂ることができます。
今のところ、葉酸の摂りすぎで問題が起きたというニュースはありません。赤ちゃんを守るためにも、大切な栄養素葉酸を積極的に摂取して様々なリスクを予防したいですね。