約7人に1人の確率で起こる「胎児水頭症」の原因や予後は?

妊娠してから出産まで、何度もエコー検査を受けます。胎児の発育の様子や、病気などを発見することができるので、欠かせない検査です。このエコー検査の際に発見できる病気で「胎児水頭症」という病気があります。いったいどんな病気なのでしょうか?

胎児水頭症がどのような病であるのかをご紹介いたします。また、この病を発症する原因や判明する時期、治療法と予後などについても併せてご紹介いたします。今現在妊娠中の方、こういう胎児の病気があるということを、知識の一つとして知っておいてください。

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「胎児水頭症」とは?

人間の脳の中には、水がたまる部屋がいくつかあります。それらの部屋に異常といえるほどのたくさんの髄液が溜まってしまい、脳の部屋である脳質が大きくなってしまうというものです。

髄液は、私たちの脳を衝撃などから守ってくれる役割を果たしています。その髄液が異常に増えてしまうことで、脳が圧迫されてしまいます。その結果、何らかの障害が出てしまう恐れがあるのです。

千人に一人の割合で、この病を発症するという確率が出ています。胎児の病気にはいくつかありますが、いくつかある中でも、この胎児水頭症という病は、4番目に多い病とされています。千人に一人と聞くと、非常に少ないような気もしますが、起こる確率が高い病気といってもいいのではないでしょうか。

ダウン症などの方が取り上げられることが多くなっていますが、胎児の病はそれだけではないということをわかっておく必要があります。

約7人に1人の確率で起こる「胎児水頭症」の原因や予後は?

胎児水頭症を発症する原因と判明時期

発症する原因

最近問題になっている妊婦の風疹感染や、トキソプラズマ感染などは、この病の原因となり得ます。

また、先天的な異常で、髄液が通る道が狭かったり、塞がれていたりすることが考えられます。先にも少しかかせていただきましたが、異常に分泌された髄液が、脳質にたまることも原因の一つです。

さらに、この病は遺伝する可能性があることもわかっています。例えば、母親が水頭症であった場合、胎児は、約50%の確率で水頭症を発症してしまうのです。

判明時期

この病、胎児の時に判明することから、「胎児水頭症」という名前でよばれているのですが、一体どの時期に判明するものなのでしょうか?

妊娠22週目以降のエコー検査で判明されるケースが多いです。胎児水頭症の可能性があることがわかれば、胎児MRIというものを使って、さらに正確な状態を検査することになります。

胎児水頭症という病は、早期発見することが重要です。その為にも、妊婦検診のエコー検査は非常に大切だということをわかってください。ただ胎児の発育を観るだけではなく、このような病を発見するのには、とても有効な検査だといえます。

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胎児水頭症の治療法と予後

この病の治療法について

お腹の中にいる胎児に直接何かをすることはできません。生まれた後に処置していくことになります。生まれてきたら「脳室腹腔シャント術」という術式を使って処置していきます。

シリコン製の管を使い、過剰に分泌されている髄液を腹腔まで送り、そこで吸収させてしまいます。この手術、成長の過程で、シリコン製の管の長さを伸ばす必要がありますので、何度か手術することになります。また、この管の定期検診もしなければいけなくなります。この定期検診は、だいたい3ヶ月毎に通院するという形になります。

この病の予後について

先ほどご紹介したシャント術を施すことで、他のお子様と変わりなく生活することができる可能性も出てきます。胎児水頭症を少しでも早く発見してあげることで、早期治療ができるようになり、正常に発育していける確率が高くなります。

ですが、症状が重い場合は、成長していく中で意識障害や嘔吐、言語の発達の遅れなどがでてくるケースがあります。シャント術を施しても、定期健診などもしっかりと受けて、お子様の発育の様子はしっかりと注意してみてあげましょう。

予防はできないの?

この病の原因は、先にご紹介しましたが、実際のところ詳しい原因というのはまだ解明されていません。ですから、これといった予防法がないのが事実です。

ただし、風疹などの感染症が原因になる場合に関しては、ママやパパがきちんと予防接種を受けたりしておくことで、予防することができます。

ちゃんとした予防法というのはほとんどありませんが、とにかく、口にするものには注意をして、自分一人の体ではないということを忘れないでください。

妊娠中にお腹の赤ちゃんが胎児水頭症であるとわかると、やはりママはショックを受けてしまいます。ですが、少しでも早く発見してあげることで、生まれてきてからの治療法などを医師と相談し、備えることができます。

この病は、早期発見が一つのポイントとなります。最近は、妊婦検診も助成されるようになってきたので、妊婦検診や検査もきちんと受けてくれる方が増えました。ですが、中にはまだ、妊娠していることがわかっているのに検診を受けない方もいます。

お腹の赤ちゃんの為にも、妊婦検診や検査はきちんと受けるようにしてください。また、胎児水頭症であるとわかっても、悲観的にならず、前をむいて、生まれてくる赤ちゃんにしてあげられる最大限の治療をしてあげるようにしましょう。