時間の経過とともに質が変わる母乳、栄養はいつまで続くの?

母乳は赤ちゃんのために必要な栄養がつまっていて、免疫などにも作用することから、母乳で育てないと赤ちゃんがかわいそう、といった意見を持つお母さんも少なくありません。しかしお母さんによっては母乳が十分に出ないといった悩みがあったりと、母乳だけで赤ちゃんを育てるのは大変です。そこで今回は母乳の栄養や、変化していく母乳について、また母乳育児について詳しくご紹介します。

広告

母乳とはどんなもの?

母乳は出産すると分泌されるプロラクチンというホルモンによって、乳房に流れ込んだ血液から作られます。そしてオキシトシンホルモンの分泌によって、母乳が乳頭に流れ込む仕組みとなっています。そして赤ちゃんが乳頭に刺激を与えることで、母乳が出るのです。

母乳を作るためにかかせないホルモンであるプロラクチンは、聴覚や視覚の刺激を受けるほか、お母さんの情緒にも影響するため、不安やストレスが重なるとホルモンの分泌が抑えられてしまうことがあります。また血液から作られる母乳は、お母さんが摂取した食べ物や飲み物の影響を受けやすくなります。

時間の経過とともに質が変わる母乳、栄養はいつまで続くの?

母乳育児のメリット

母乳を与えることによるメリットには、お母さんの側、赤ちゃんの側それぞれにあります。

赤ちゃんのメリット

・母親とふれあうことができるため、安心できる、スキンシップになる
・赤ちゃんの免疫力をつける、アレルギー予防になる
・あごの力がつく、発達につながる
・必要な栄養が十分に得られる

お母さんのメリット

産後の回復を促してくれる
・産後ダイエットになる
・ミルクを作る手間が省ける
経済的にも助かる

広告

母乳育児のデメリット

母乳育児は赤ちゃんにとっては多くのメリットがありますが、お母さんにとってはデメリットもあります。

授乳間隔が短い

生後まもなくは1,2時間おきに授乳が必要となるため、母乳の場合はお母さんの体力的な負担が増えます。

他人に預けることができない

病院のように設備が整っている場合は別ですが、一般家庭では母乳を預かることができません。そのためお母さんが常に必要です。

食べ物に注意が必要

母乳を出すためには食べるものに気を遣わなければなりませんし、分泌をよくするためにマッサージなどが必要になることもあります。

歯が悪くなることがある

ビタミンDが不足しがちになるため、カルシウムの沈着がスムーズにいかず歯が悪くなるなど影響が出ることがあります。

時間の経過とともに質が変わる母乳、栄養はいつまで続くの?

ミルクを飲ませることにもメリットがある?

母乳育児は完全に母乳だけを与えることのようにとられがちですが、実際にはそうではありません。母乳でカバーしきれない場合には、ミルクを使い、できるだけ母乳を多く与えるようにしようというのが、母乳育児です。

母乳のメリットだけでなく、ミルクのメリットについても、詳しくご紹介します。

ミルクのメリット

他の人でもミルクを与えることができる

お母さんの体調が悪かったり、母乳が出にくい時、また赤ちゃんを預ける必要がある時などに、お母さん以外の人でも授乳することができます。

授乳の間隔が長くなる

ミルクは消化に時間がかかるため、母乳のように授乳間隔が短くありません。また与えた量がわかるので、調節することも可能です。

乳腺が詰まりやすい人や、乳首が切れて痛い時など、どうしても母乳で授乳できない時も、ミルクが使えると思えば安心ですし、プレッシャーや不安からも解放されます。

時間の経過とともに質が変わる母乳、栄養はいつまで続くの?

母乳に栄養が含まれるのはいつまで?

出産後1週間の間に出る初乳と呼ばれる母乳は、栄養と免疫物質が豊富に含まれているため、赤ちゃんに母乳を与えることが必要とされています。しかしそれを過ぎた後、1年ぐらい経つと母乳は水のように栄養が薄まってしまうから、断乳が必要だといわれたりしますが、それは正しくありません。

実際には赤ちゃんの成長に合わせ、母乳の栄養は変化していきます。そのためWHO、世界保健機関では、母乳育児は2歳まですることを推奨しています。つまり、母乳は赤ちゃんが必要としている限り、何年でもその栄養が豊富なまま維持されているといえるのです。

時間の経過とともに質が変わる母乳、栄養はいつまで続くの?

離乳食は足りない栄養素を補うため

赤ちゃんに必要な栄養を含む母乳ですが、赤ちゃんも成長と共に必要となる栄養の量は増えていきます。そのため、1歳を過ぎる頃になると足りない栄養が出てきます。その一つが鉄分です。その鉄分を補うため、また赤ちゃんが成長していくためにはさらに多くの栄養が必要となるため、母乳だけでなく離乳食によって補っていく必要が出てくるのです。

しかし離乳食を食べ始めたからといって、母乳をやめる必要はありません。母乳には免疫物質が含まれていますから、まだ風邪などを引きやすい幼児にとっては、母乳を飲むことは大きなメリットとなります。

時間の経過とともに質が変わる母乳、栄養はいつまで続くの?

母乳育児をするために心がけたいこと

個人の体質などもあるため、母乳が出やすい人、またなかなか出ないといった悩みを抱える人もいます。赤ちゃんを母乳で育てたいと考えているのであれば、妊娠中、そして出産後も自分の体調を整えることが必要です。

しっかり栄養をとる

お母さんがとった栄養が直接赤ちゃんの栄養になるだけでなく、自分の体力にもなりますので、3食栄養のバランスがとれた食事を心がけましょう。また水分もしっかり補給することで、血液の循環が良くなります。

ストレスを解消する

母乳が出ない、と悩むとそれがストレスとなり、さらに出が悪くなる、といった悪循環につながりかねません。母乳のトラブルで悩んだ時には、病院で相談したりマッサージを受けるなどし、出ない時にはミルクを使うことも大切です。

お酒やたばこは控える

アルコールやたばこは血液に大きな影響を与えます。また家族にもたばこはやめてもらうことが必要です。

母乳を与えることで、赤ちゃんとのふれあいが増え、赤ちゃんの調子が悪い時なども早く気づくことができます。完全な移行が難しくても、できるだけ母乳をあげるようにしよう、と前向きに母乳育児に取り組んでいきましょう。