離婚のリスクが潜む「産後クライシス」の、主な4つの原因と解消法

「産後クライシス」をご存知でしょうか?今では社会問題にもなっており、離婚の危機を招く原因にもなるものです。産後クライシスによる離婚は、夫婦にとっても赤ちゃんにとっても不幸なことですからできるだけ避けたいものですね。最近ではシングルマザー家庭の子供の貧困化も深刻な問題になっています。そこで今回は産後クライシスの原因や解消法をご紹介します。後悔しないためのヒントになるかもしれません。

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産後クライシスとは?

産後クライシスは造語で、2012年にNHKが作り出した言葉です。出産してから2年以内に夫婦間での愛情が冷え込み、夫婦の関係がうまくいかなくなる状況をいいます。

厚生労働省では5年に1度、母子家庭になった時期調査をしており、その調査結果によるともっとも多いのが、赤ちゃんが2歳を迎えるまでです。

産後クライシスは着実に増え続けている状況です。

産後クライシスは最近急に出てきたわけではなく、昔からあったものです。ですが、世の中の風潮として結婚して子供を産んだ以上、結婚生活を続けるべきだという考えが一般的であったため、離婚に踏み切ることができなかったのです。

最近では、シングルマザーは決して珍しいことではなくなりましたし、結婚や離婚も自分の意志で選択できる時代になったため、愛情がなくなってしまってまで一緒に生活をする理由が見いだせなくなってきたことが背景にあるのでしょう。

離婚のリスクが潜む「産後クライシス」の、主な4つの原因と解消法

産後クライシスの主な原因

出産後、急激に愛情が冷めてしまうのには理由があります。

ホルモンバランスの変化

女性は妊娠出産によってホルモンバランスが大きく変化します。

妊娠すると赤ちゃんを子宮で育むために「プロゲステロン」などのホルモン分泌が増えます。しかし出産後はホルモンが急激に減少するなどバランスが大きく変化します。

また、精神を安定させてくれるホルモン「セロトニン」の分泌が悪くなるため、ちょっとしたことでイライラしたり涙もろくなったりと、情緒不安定におちいってしまうのです。

生活リズムが崩れる

出産後は、赤ちゃん中心になり、お世話に追われる生活となります。

赤ちゃんの授乳時間やおむつ替えなどもこまめに行う必要があり、ゆっくりと眠る時間もありません。出産後、生活リズムは無いに等しい生活になります。

しかも慣れない育児で命を預かるのは非常に重い責任がのしかかってきますのでストレスを強く感じることにもなります。

ご主人への不満

最近では「イクメン」なんて言葉をよく耳にしますが、多くのご主人は妻側が希望するほど育児に協力的ではないといえます。

育児や家事で疲れていてもご主人のようにお休みの日もなく、育児だけでなく家事など手伝ってくれないことに対して不満がたまってしまうのです。

友達にイクメンのご主人がいたり、テレビなどでイクメンの話題を耳にするたびに、自分のご主人との違いにさらにイライラすることになります。

夫婦間のコミュニケーション不足

出産後、外で働くご主人を気遣って夫婦で寝室を別にする夫婦も多くいます。

育児や家事で生活リズムが崩れているため、なかなか夫婦でゆっくりと話をしたり、コミュニケーションをとる時間が取れずにすれ違い生活になってしまいます。

ご主人側も育児に追われ、身なりを気にしなくなった奥さんを女性として見られなくなるなど、愛情表現もしなくなることが多いです。

夫婦間でコミュニケーションがとれないと、徐々に溝が深まってしまいます。

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産後クライシスの解消法

最悪の事態になる前に産後クライシスを解消することが大切です。

産後クライシスについて理解してもらう

妊娠出産でホルモンバランスが大きく変化すること、肉体的・精神的な状況を理解してもらいましょう

そのうえで、産後クライシスとは何なのかを説明して理解してもらうことが大切です。きちんと産後クライシスについて理解してもらうことができたのであれば、育児や家事など今までよりも手伝ってもらえる可能性が高くなります。

実家へ帰る

里帰り出産をせず、親に頼らずに出産育児をしている女性も多いですが、産後クライシスを解消するためには実家へ帰って両親を頼るのもひとつの方法です。

出産後3か月くらいまでは授乳回数も多いので睡眠不足になる時期です。この時期に実家に帰って育児や家事を手伝ってもらうと、精神的なゆとりができます。

ご主人の都合などで実家へ帰ってしばらく生活をするということが難しいようであれば、実家の両親にしばらく来てもらって手伝ってもらうというのも方法です。

父親学級に参加してもらう

地域で行われている父親学級に参加してもらい、いろいろな話を聞くことで、妊娠出産、育児の大変さを理解してもらえます。自分が父親になったという意識も高まることでしょう。

積極的にコミュニケーションをとる

産後クライシスによる離婚原因はいろいろとありますが、コミュニケーション不足が大きな要因であることは間違いありません。

「言わなくても夫婦だからわかる」は間違いです。

お互い別の人格を持った人間である以上、言葉で伝えなければわからないことの方が多いのです。ちょっとの時間でも構いませんから、お互いにコミュニケーションを積極的に摂るようにすることで、産後クライシスを解消することができます。

離婚のリスクが潜む「産後クライシス」の、主な4つの原因と解消法

それでも離婚したくなったら?

産後クライシスの解消法を試してみても離婚したくなってしまったら、一度冷静になってみることが大切です。

一人で抱え込もうとせず、両親、ママ友、子育て支援センターに在中している保育士さんなどに相談してみるとよいでしょう。産後クライシスは個人差こそあるものの誰もが通る道です。

感情に任せた離婚は必ず後々後悔することになります。

産後クライシスは夫婦が親として成長するためのいわば試練のようなもの。可愛い赤ちゃんのためにも前向きに対処していきましょう。