夏の暑さなど、大人にとっても体に負担が大きい時期、赤ちゃんは特に脱水症状に注意が必要です。大人よりも脱水症状を起こしやすい赤ちゃんは、脱水症状になっているときのサインを見逃さないことも大切ですが、普段から予防することも必要となります。そこで赤ちゃんの脱水症状のサインと、その対処方法、予防方法について詳しくご紹介します。
赤ちゃんは脱水症状になりやすい!
赤ちゃんは大人よりも体の機能が未発達なため、脱水症状になりやすいといえますが、その他にも理由があります。
体全体の水分保有量が多い
大人は体重の約6割の水分量ですが、新生児は約8割の水分量を保持しています。赤ちゃんは体が小さいため、周りの温度に反応しやすく、それも脱水症状を起こす原因となります。
排出する水分量が多い
体温調節以外にも、汗をかきやすく、おしっこの回数が多く、嘔吐や下痢など、赤ちゃんが排出する水分量は多い傾向にあります。
腎臓の機能が未熟である
腎臓で尿を濃縮する機能が未熟なため、尿に含まれ、排出される水分が多くなります。
脱水症状を起こす病気にかかりやすい
胃腸炎や感染症など、脱水症状を起こしやすい病気に、赤ちゃんのうちはかかりやすく、水分不足に陥りがちです。
赤ちゃんは必要な水分の量が多いにもかかわらず、排出することも多いため、脱水症状になりやすいといえるのです。
赤ちゃんの脱水症状のサイン
赤ちゃんが脱水症状を起こしているときには、すぐに対処することが必要なので、赤ちゃんが出しているサインを見逃さないようにしましょう。
赤ちゃんの脱水症状には軽度と中度とがあり、なるべく軽度の状態のときに気がついて対処することが必要です。
軽度の脱水症状を起こしているときの5つのサイン
1.おしっこの回数や量が少ない
2.うんちが固い
3.唇が乾いている
4.汗をあまりかいていない
5.泣いていても涙が出ない
この他、赤ちゃんの機嫌が悪い、顔が赤い、体に触ると熱っぽいといった症状も見られます。
この状態のときには、ミルクや母乳、もしくは経口補水液で水分を与えるようにしましょう。
中度の脱水症状を起こしているときの5つのサイン
1.唇がかなり乾いている
2.手足が冷えている
3.半日以上おしっこをしていない
4.爪を押したとき、元に戻るのに2秒以上かかっている
5.お腹の皮膚を押しても弾力を感じない
さらに目がうつろになっていたり、呼びかけても反応がないときなどは、すぐに病院で診察を受ける必要があります。
赤ちゃんが脱水症状になった時の適切な対処法
唇が乾いているだけでは、脱水症状かどうか判断は難しいのですが、お腹の皮膚が乾いているなど、いくつかのサインが重なる場合は、すぐに対処が必要です。
意識がある場合
・暑そうにしていたら服を脱がせて涼しい場所に移動する
・母乳やミルクを飲ませる
・水や経口補水液を与える
母乳がすぐに出なかったり、子供用の経口補水液が用意できていないときには、湯冷ましで作ることも出来ます。湯冷まし1000mlにつき、砂糖が40g、食塩3gをよく混ぜます。飲みやすい温度まで冷まし、スプーンで少しずつ飲ませましょう。
またイオン水や薄めた味噌汁、スープを飲ませることも効果があります。同じものを飲ませるのではなく、色々なものを飲ませて栄養補給も合わせてすることが必要です。この場合、牛乳は消化に良くないので飲ませないようにしましょう。
さらに飲ませる際には、一度に与える量は少なめにし、様子を見ながら時間を空け、何回かに分けて与えることが大切です。
意識がない場合
意識がない場合は、水分を与えてもうまく飲めないだけでなく、喉に詰まらせることもありますので、ゆっくりとスプーン一杯の水分を与え、様子を見ながらまた飲ませる、といった対応で様子を見ましょう。
筋肉にけいれんを起こしている場合や、チアノーゼで唇が青紫色になってしまった場合は、病院を受診するようにしましょう。意識がはっきりしていなくても、口から水分を補給できるのであれば、病院に行くよりも回復は早いので、その場合は時間をかけてしっかり水分を与えるようにしましょう。
赤ちゃんの脱水症状を防ぐための予防法
赤ちゃんを脱水症状にさせないためには、普段から予防をすることが必要です。
水分をこまめに与える
赤ちゃんは喉が渇いていても、それを忘れて遊びなどに夢中になっていることが多くあります。眠そうだから、機嫌良く寝てくれそうだから、と判断せず、寝る前や朝起きた時を含め、こまめに水分を摂らせるようにしましょう。
暑い場所に長時間いることは避ける
大人は我慢できても、子供にとっては水分を奪われ続けることになる屋外や気温の高い場所で長時間過ごすことはやめましょう。またエアコンの風も乾燥させてしまうことになるので、扇風機や外の風を取り入れ、脇や首を冷やす工夫をしましょう。
おしっこの回数や量に注意する
おむつを替える回数や、おしっこの量など、健康なときの状態を把握しておきましょう。おしっこをあまりしないな、と感じた時には、赤ちゃんの唇や肌の状態をよく観察することも大切です。
熱が高いときには熱を下げながら水分を補給する
赤ちゃんは熱が高くなるとそれだけでも脱水症状を起こしやすくなります。熱が下がらない場合は、解熱薬で体温を下げ、合わせて水分を与えることが大切です。
体の機能が未熟な赤ちゃんは、脱水症状になりやすいだけでなく、体の異変を自分で解消することは出来ません。周りの大人が常に注意することで、重度の症状を回避することが可能です。気温が高い日や、体調を崩しているときには、脱水症状のサインを見逃さないようにすることが大切です。