生後10ヶ月でもハイハイを始めない「シャフリングベビー」とは

お座りが上手になって一人遊びができるようになってきた赤ちゃん。そろそろハイハイが始まるかな…と思っていたのになかなかハイハイをしない。うつ伏せにしてもすぐ泣いて嫌がってしまう。お尻を床につけたまま前進する。そんな特徴はありませんか?

他の赤ちゃんと比較したり、育児書などの発達目安を見ると「うちの子だけ?」と心配になってしまいますよね。最近では少しずつ知られるようになってきた「シャフリングベビー」ですが、一体どんな状態のことを指すのでしょうか。

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「シャフリングベビー」とは

「shuffle=引きずって歩く」という英語が示すように、乳児期後半になってもハイハイをしないで座ったまま足を引きずるようにして移動する赤ちゃんのことを言います。

一般的な発達過程では、お座りの次にハイハイで移動するようになり、そこからつかまり立ちへと発達していきます。しかし赤ちゃんのすべてが必ずしもハイハイをして成長するとは限らないことが研究によってわかってきました。

また、シャフリングベビーに見られる「いざり這い」の過程は、ハイハイの前に一時的に現れる子どももいれば、つかまり立ちをする直前まで続く子どももいてそれぞれ個人差があるようです。

気になる原因についてはまだはっきりしておらず、現在は子どもの発達過程の「個性のひとつ」という考え方が一般的です。しかしシャフリングベビーのおよそ40%には家族歴があるともされており、遺伝的要素も少なからずあるようです。

生後10ヶ月でもハイハイを始めない「シャフリングベビー」とは

シャフリングベビーの特徴

・ハイハイをせず座ったまま移動する
・立つのを嫌がる
・寝返りやうつ伏せをあまりしない
・脇の下を支えて立たせても足を伸ばそうとしない
・家族歴がある(身内に同じような発達過程だった人がいる)

上記のように、シャフリングベビーには足を使いたがらない、うつ伏せや寝返りもあまりしたがらない子どもが多いようです。これは重力に抗するだけの十分な筋力がまだ発達していないだけかもしれませんし、その体勢になる感覚が苦手ということかもしれませんが、まだ原因ははっきりしてないのが現状です。

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シャフリングベビーが疑われる時はどうすればいい?

基本的に、「いざり這い」以外に特別運動や知能の発達に問題がないのであれば、歩行への発達過程でのひとつの「個性」として捉えて問題ないとされています。

実際、シャフリングベビーとされたほとんどの子どもが1歳6ヶ月〜10ヶ月ごろには正常に歩行し始めるようになっており、その後の成長もハイハイをした子どもと特に差はないということです。

しかし中には、脳神経系の疾患や発達の遅れなど、診断・治療が必要な状態が隠れている可能性もありますので、シャフリングベビーである以外に、以下のような項目に当てはまるようであれば一度小児科に相談してみるとよいでしょう。

・母乳やミルクの飲みが良くない
・泣き声が弱々しく元気がない
首の座りが悪い
・手指の運動の発達が遅い
・表情が乏しかったり目線が合いにくい
2歳を過ぎても歩こうとしない

もちろんこのような項目のどれかが当てはまったからといって、何か問題があると確定したわけではありません。赤ちゃん一人一人の成長には個人差がありますので、焦らずじっくり見守っていく必要があります。

生後10ヶ月でもハイハイを始めない「シャフリングベビー」とは

ハイハイをしたがらない赤ちゃんとの関わり方

ハイハイをする赤ちゃんに比べると、座って移動する赤ちゃんはどうしても腕や足の力を使う機会が減ってしまいます。まずは親子で触れ合いながら、手や足をいろいろな方向に動かしてみたり、いろいろな姿勢に慣らせていく遊びを取り入れてみましょう。もちろん筋トレのような激しい運動は必要ありません。ちょっとした皮膚や筋肉、関節の動きから様々な刺激を取り入れていきましょう。

うつ伏せ遊び

うつ伏せが苦手な赤ちゃんは、まずお母さんやお父さんが仰向けに寝て、その胸の上で少しずつ試してみましょう。柔らかくて温かく、顔が近いので赤ちゃんも安心感が増すでしょう。抱っこしながら左右にゆらゆらしたり、どれくらいの角度なら嫌がらないか確認しながら行いましょう。慣れてきたら、赤ちゃんの体を支えて手足を広げた飛行機のような遊びもおすすめです。

ごっこ遊び

一般的に乳児期後半になると周囲の状況も理解するようになってきます。お母さんやお父さんが赤ちゃんの前でハイハイして見せてみるのも良いですね。この時期の赤ちゃんは「マネしたい!」という気持ちが強いので興味を持ってくれるかもしれません。猫や犬などのマネをして親子で動物ごっこをするのも楽しいですね。

ボールのような転がるおもちゃも、赤ちゃんの興味を引くので追いかけようとするかもしれません。赤ちゃんの前だけではなく、横や後ろに置いて方向転換をさせるのもいい運動になります。もちろん、ハイハイをしやすいように、床に自由なスペースを十分取り、怪我をする危険なものがないようにしましょう。

足や腕の曲げ伸ばし

手足を自分であまり動かしたがらない赤ちゃんには、お母さんお父さんが手足を動かしてあげましょう。もちろんこれもコミュニケーションをしっかりとって、赤ちゃんとしっかり対面し、笑顔を見せながら楽しそうに行ってくださいね。歌に合わせてリズムよく動かしたり、足の間からいないいないばあをするなど、赤ちゃんが楽しめるように工夫しましょう。

ベビーマッサージ

足の裏などの皮膚の感覚が敏感な赤ちゃんもいます。ゆったりとした動きで、足の裏やふくらはぎなども優しくマッサージしてあげましょう。お母さんお父さんの温もりを感じることができ、親子のスキンシップとしても効果的です。

どうしても親としては「早くみんなと同じようにできるようになってほしい」という気持ちになってしまいますが、発達の過程やスピードは本当に一人一人違います。手軽に取り入れられる親子遊びなどを通して、成長を見守っていけたらいいですね。

それでもできないことばかり気になってしまうと、貴重な赤ちゃんとのふれあいの時間が不安で押しつぶされてしまいます。そんな時は一人で悩まず、かかりつけの小児科医や地域の児童センターなどに気軽に相談してみてくださいね。