赤ちゃんがおなかの中にいるときには
妊婦さんはいろいろと気をつけなければならないことが
ありますよね。
妊娠期間は1年近くも続くので妊婦さんは大変です。
食生活やストレスなども赤ちゃんに影響がありますが、
飲酒や喫煙も赤ちゃんに大きな影響があるんです。
今回は妊娠中の妊婦さんの飲酒による
赤ちゃんへの影響についてご紹介いたします。
胎盤の役割とは
胎盤はたくさんの血管の集まりで、酸素や栄養を赤ちゃんへ運び、
二酸化炭素や老廃物は胎盤を通ってお母さんへと渡されます。
胎盤は赤ちゃんの肺の役割や腎臓、消化器官などの役割をしています。
胎盤が完成するのは、妊娠14~16週頃です。
通常胎盤はウイルスをはじめとする分子の大きなものは通さないように
フィルターの役割もしています。
ですが、分子の小さなものはフィルターを抜けて
赤ちゃんへ届いてしまいます。
妊娠中に飲んで良い薬と
そうでない薬があるのはこのためです。
ですから、お母さんが風邪をひいても
インフルエンザにかかっても
赤ちゃんが感染することはありません。
しかしながら、アルコールは別です。
妊婦さんが摂取したアルコールは、
胎盤を通して赤ちゃんへ送られてしまうのです。
胎児性アルコール症候群とは
「 胎児性アルコール症候群 」
という言葉を聞いたことがある
という人は少ないと思います。
胎児性アルコール症候群というのは、
妊娠中に妊婦さんがアルコール摂取をしたことが原因で、
赤ちゃんに先天性異常が現れることです。
日本ではあまり聞きなれない
胎児性アルコール症候群ですが、
アメリカではよく知られていて、
アルコール依存症の妊婦さんの約3割から
胎児性アルコール症候群の子供が生まれています。
妊婦さんのアルコールの摂取量が赤ちゃんへのリスクに直結します。
胎児性アルコール症候群の原因
胎児性アルコール症候群の原因は
妊娠中の妊婦さんのアルコール摂取です。
アルコールが赤ちゃんの体内に入ると、
大人と同じように肝臓で分解しますが、
赤ちゃんの肝臓はまだまだ未熟で、
アルコールを大人のようにうまく分解することができません。
ですから、赤ちゃんの体内に分解できない
アルコールが残ってしまうんです。
そのために赤ちゃんの発育に
大きな影響を及ぼしてしまうんです。
ただし、必ずしも妊婦さんのアルコール摂取が
胎児性アルコール症候群に直結するわけではありません。
アルコールを摂取する時期や量、
妊婦さんの体型、年齢などによります。
高齢妊娠のほうが、胎児性アルコール症候群のリスクが
高いということがわかっています。
胎児性アルコール症候群は、
妊娠中にアルコールを摂取しないことで予防できます。
赤ちゃんに出る影響
赤ちゃんに出る影響としては、
知能障害、学習障害、てんかん、
低体重、形態異常、行動障害、
脳性小児麻痺など
が見られます。
形態異常は主に顔面や頭部に見られます。
外見的な特徴としては、
・頭が小さい
・唇が薄い
・鼻と上唇の感覚が狭く、溝がない
・目が小さく瞳孔部分までしか開かない
などがあります。
症状の程度によっては、
赤ちゃんと一緒に退院することができず、
赤ちゃんだけが入院する必要があります。
退院後も長期間にわたって
定期的に治療が必要になる場合もあります。
妊娠中の診断は可能か
妊娠していることに気づかずアルコールを摂取してしまったり、
妊娠していることはわかっていたけど
ちょっと飲んでしまったということはお酒を飲む習慣がある人なら
十分ありえることだと思います。
日本では胎児性アルコール症候群かどうか
妊娠中に診断する方法もありません。
生まれてくるまでわからないのです。
飲んでしまったことを後悔してもどうしようもありません。
今後はお酒を飲まないように気をつけましょう。
胎児性アルコール症候群の治療法
胎児性アルコール症候群の治療法は残念ながらありません。
ですが妊娠中にアルコール摂取をしないことで
100%予防できる疾患です。
「もし生まれてきた赤ちゃんが胎児性アルコール症候群だったら」
と思うなら妊娠中のアルコール摂取はやめましょう。
アルコールを摂取したからといって
必ずしも胎児性アルコール症候群になる、
というわけではありませんが、リスクは高くなります。
妊娠中に飲んで良いアルコールの摂取量
妊娠中のアルコール摂取によって
胎児性アルコール症候群に必ずなるというわけではありません。
お酒が大好きな方にとって、
妊娠している約1年近く大好きなお酒を
我慢するのも辛いですよね。
少量なら問題ないと言われてはいますが、
妊婦さんの体型や妊娠前のアルコール摂取量などにより、
この「少量」がどのくらいの量なのかが変わってきます。
ですから1日コップ1杯までなら大丈夫とは言い切れないんです。
妊婦さんもストレスもたまりますし、仕事や友達との付き合いもあります。
お酒を飲みたいと思うときもあって当然だとは思いますが、
赤ちゃんへの影響を考えるとやはりアルコール摂取は避けるほうが
良いでしょう。
胎児性アルコール症候群から守ろう
日本ではまだまだ妊娠中のアルコール摂取について認識不足の
部分が多いです。
「少しなら大丈夫」ではなく
赤ちゃんを胎児性アルコール症候群から守るために、
妊娠がわかった時点でアルコール摂取はやめましょう。