帝王切開を経験したママが二人目以降に気を付けること

 

日本で帝王切開を選ぶ妊婦さんは5人に1人です。

年間で約20万人の赤ちゃんが帝王切開で誕生します。

でも帝王切開の妊娠は「2人目の妊娠に気を付ける」
これを忘れてはいけません。

どうして2度目は特に気を付けるのか?

2度目の妊娠と帝王切開の関係について見てみましょう。

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帝王切開とは

子宮を切開して赤ちゃんを取り出します。

妊婦さんのお腹を切開するやり方には、
「縦切開(正中切開)」と「横切開」があります。

最近では横切開の例が多く、陰毛の上あたりを横に切るため、
見た目に影響しにくい利点があります。

それよりももっと重要な利点に、
縦に切開するとその後の妊娠で「子宮破裂」が生じやすくなるので、
緊急の理由がない場合には、現在では縦切開が選ばれています。

一般に、帝王切開を経験した妊婦はその後は「経膣分娩」を行わずに、
帝王切開での出産になります。

帝王切開を経験したママが二人目以降に気を付けること

 

二人目以降も帝王切開になるってホント?

2人目の帝王切開になる可能性は、以下のような理由により多くなります。

以前の妊娠で「縦切開」だった妊婦さんには、以下のケースが見られます。

「前置胎盤」と呼ばれる妊娠があり、
受精卵の着床部位が子宮の下部に着床するケースです。

高齢出産や流産の手術を経験したり、
または帝王切開の手術経験者に現れやすいケースです。

前置胎盤の場合だと、縦に切開する「縦切開」が選ばれます。

縦に子宮を切った場合には、子宮に大きな圧力がかかった時、
子宮破裂を引き起こす危険があります。

「縦切開」で出産した妊婦さんは、その後の出産の安全性を考えると、
やはりもう一度、帝王切開を選ぶことに。

この方がリスクを低く抑えられるので、医者は二度目も帝王切開を薦める、
ということになります。

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VBAC=ブイバックとは

二度目に経膣分娩を選ぶことは可能です。

VBAC=ブイバックです。

帝王切開後に、通常のお産に挑戦することです。

経膣分娩にチャレンジすることを
TOL(経膣試験分娩)と呼びます。

二度目の出産では子宮の損傷、破裂しやすいなどのリスクがあるため、
設備の整ったクリニックで行います。

以下のような条件に該当すればチャレンジ可能です。

*37週~41週未満での出産
*予定日以前まで
*胎位異常がなく、単児であること
*胎児の体重が標準であること
*前回が横切開であること
*帝王切開が過去1回であること
*VBACを強く希望している妊婦
*緊急の帝王切開が可能であること

これらの条件にあったうちで、医師との適切な話し合いを持ちます。

また出産には自然陣痛で挑みます。
陣痛促進剤は使用できません。

VBACにチャレンジする妊婦のうち、
100人に1人が、子宮破裂のリスクがあります。

帝王設計を受けた妊婦さんが
VBACにチャレンジするのは、だいたい4割から7割です。

そのなかで自然分娩に成功するのは、6割から8割です。

年齢が若い、子宮の回復状態良い、
胎児のサイズが小さく、正常な妊娠であるなど、整った条件が必要です。

医師の判断をよく聞いたうえで、自然分娩を選ぶことも可能です。

帝王切開を経験したママが二人目以降に気を付けること

 

妊娠について気を付けること

帝王切開では、
皮膚などの皮下組織、筋膜、腹膜を切ります。
最後に子宮を切り、赤ちゃんを取り出します。
大量の出血となります。
様々な組織を切ることになります。

よって以下のような不都合もあります。

子宮には手術により傷がのこり、子宮の壁も薄くなっているので、
切れやすい、破れやすい状態になります。

人によって月経困難や不妊も見られることもあります。

よって次の妊娠は慎重な計画が必要です。

最低でも1年は間をあけます。
その間、子宮の回復を待ちます。

次の出産に十分に余裕を持ち、ママの健康と安全を守りましょう。

「授乳していれば妊娠しないから大丈夫」
これは絶対安全な方法でありません。

授乳による妊娠の回避は、「相当量の授乳をしている」状態なら、
排卵が抑えられることが分かっています。

しかし思わぬ事で排卵が始まるなど、絶対確実な方法ではありません。

妊娠コントロールは可能ですが、絶対に大丈夫と言い切れません。

逆に、不妊の症状が現れてしまったら、
「2人目の計画」これがうまくいかないというケースも。

帝王切開では子宮に負担がかかり、
生理不順の原因になることもあります。

2人目の計画予定が狂う。
このようなケースがあることも覚えておくようにしましょう。

 
帝王切開を経験したママが二人目以降に気を付けること

 

出産について気を付けること

二度目の出産で最も心配されるのが子宮破裂です。

現在の医学でも、
前もって子宮破裂が起こりやすいかどうか予測する方法がありません。

参考所見として、前回の手術跡付近を超音波検診で観察します。

特別に子宮に薄い部位がないかどうか、前もって調べたりします。

また分娩監視装置によって胎児心拍異常が認められると、
緊急の帝王切開を行う場合もあります。

子宮破裂となった場合には、
大量の出血なり母子ともに危険となります。

このような場合には、子宮摘出の処置もあり得ます。

赤ちゃんへのリスクとしては、低酸素などが考えられていて、
脳障害の危険性も増します。

帝王切開は利点のある出産方法ですが、
二度目の出産では、よりリスクが高くなります。

このようなこともよく理解して、出産の方法を検討してみてください。