妊婦が注意すべき食中毒の原因

妊婦さんはホルモンバランスが乱れたり、ストレスがかかったりしやすいため、一般の人と比べて抵抗力が落ちています。

また、妊娠中は服用できる薬の種類も限られているので、体調を崩すといつも以上に悪化することも珍しくありません。

そのため、妊婦さんは体調管理をして病気を予防することが大切です。

今回は病気の中でも、胎児に影響が及ぶリスクがあり、妊婦さんの体に負担がかかりやすい食中毒の原因や予防法をご紹介いたします。

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「食中毒」とは?

食中毒は食べ物や飲み物に含まれる細菌やウイルス、有害物資を摂取することによって起こるさまざまな健康被害です。

症状は下痢や嘔吐が有名ですが、寒気や発熱、頭痛などが起こることもあり、発症すると飲める薬が限られた妊婦さんの体に大きな負担がかかります。

食中毒になると胎児に影響は出るの?

食中毒を起こす細菌やウイルスのほとんどは、胎児に感染しないと考えられています。

しかし、細菌やウイルスの種類によっては胎児にも感染して、深刻な健康被害を及ぼすこともあるので、妊婦さんは一般の人よりも食中毒の予防に力を入れなければなりません。

また、食中毒によって妊婦さんが下痢や嘔吐をすると、おなかが張って切迫早産や切迫流産のリスクも高まります。

妊婦さんは食中毒の予防に力を入れ、体に不調を感じたら、できるだけ早くかかりつけ医を受診しましょう。

妊婦が注意すべき食中毒の原因

妊婦が特に注意すべき原因菌

日本で発生している食中毒のほとんどは、細菌やウイルスによるものです。食中毒を引き起こす原因菌はさまざまですが、妊婦さんは特に5つの原因菌に注意しましょう。

カンピロバクター

カンピロバクターは鶏や牛に生息しています。人に感染するのは主に鶏肉などの肉類を生で食べたときで、感染すると腹痛や嘔吐、下痢が起こり、1週間程度で症状が治まることが多いです。

妊婦さんがカンピロバクターに感染した場合、胎児もこの菌に感染することがあります。胎児が感染すれば脳障害が出たり、流産や死産につながったりする可能性も否定できません。

カンピロバクターは潜伏期間が長いことが特徴です。食中毒は細菌が付着した食べ物を口にしたあと数時間から1日程度で症状が現れることが多いですが、カンピロバクターの潜伏期間は1日から7日です。

火の通っていない肉類を食べてしまったあとは、短期間で症状が出なくても油断せず、カンピロバクターに感染している危険性があることを頭にとどめておきましょう。

リステリア菌

リステリア菌は川や動物の腸の中にいる菌です。人が感染するのは生肉や生魚、加工していないチーズなどを食べたときで、感染すれば発熱や寒気、筋肉痛などインフルエンザのような症状が現れます。

妊娠中はリステリア菌のリスクが高まり、感染すると早産や死産をする恐れがあります。

妊娠をしていない健康な大人と比べて妊婦さんはリステリア菌による食中毒のリスクが20倍も高いといわれているので、妊婦さんはしっかりとリステリア菌を予防しましょう。

E型肝炎ウイルス

E型肝炎ウイルスは豚やシカ、イノシシなどに生息しているウイルスです。

E型肝炎にかかっている豚などの動物を十分に加熱せずに食べたときに発症し、感染すると吐き気、腹痛、発熱などの症状が現れます。

妊娠中にE型肝炎ウイルスに感染すると危険なのは、お母さんです。

妊娠中はE型肝炎ウイルスが悪化しやすいので、妊婦さんが感染すれば、約20%が死亡するとも言われています。

他方、E型肝炎ウイルスによる食中毒の胎児への影響はわかっていません。症状がなくなったお母さんが産んだ赤ちゃんには健康被害がなかったというデータも見られます。

元気な姿で赤ちゃんと会うためにも、E型肝炎ウイルスには注意しましょう。

ノロウイルス

ノロウイルスによる食中毒は毎年、秋から冬にかけて流行します。ノロウイルスは牡蠣などの二枚貝を食べて感染するほか、人から人へ感染することもあり、感染力も強いです。

ノロウイルスの主な症状は下痢や嘔吐です。

ノロウイルスが胎児に感染することはないと考えられていますが、下痢や嘔吐で脱水症状になれば、おなかが張ったり、胎児に栄養が行き渡らなかったりして悪影響が及びます。

妊娠中はノロウイルスへの感染に十分注意し、ノロウイルスのような症状が出たらまずは病院に連絡して指示をもらいましょう。

サルモネラ菌

サルモネラ菌は牛や豚、川、ネズミ、ハエなどに生息する菌です。

人に感染するのは生の肉や卵を食べたときやサルモネラ菌をもった人が作った料理を食べたときで、感染すると、発熱、下痢、嘔吐、腹痛などの症状が現れます。

サルモネラ菌もノロウイルスと同じように、妊婦さんが感染しても胎児への影響はないと考えられています。

他方、少量の菌で感染し、毎年夏には多くの患者を出していることから、免疫力の低下している妊婦さんは十分な注意が必要です。

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食中毒を予防するためにできること

胎児やお母さんの体に深刻な影響を与える食中毒は予防が大切です。妊娠中は3つの予防法を実践して、細菌やウイルスによる食中毒を防ぎましょう。

食事に気をつける

食中毒を引き起こす細菌やウイルスは多くの場合、加熱処理すると、死滅します。よって、妊娠中はできるだけ生肉や生魚、生卵を食べるのを避け、これらの食品はしっかりと加熱してから食べましょう。

また、生野菜や果物を食べるときはよく洗うことも大切です。しっかりと細菌を洗い流してから野菜や果物を食べ、食中毒を予防しましょう。

調理器具に気をつける

食中毒の原因菌が付いた食材を料理に使用した場合、包丁やまな板にも細菌やウイルスが付いている可能性が高いです。

調理器具はこまめに洗い、アルコールが入った除菌スプレーなどを使用して、食中毒を予防しましょう。

手洗い・うがいをする

手洗いやうがいも大切です。

原因菌に触れた後に手洗いをせず、料理をしたり、口や鼻を触ったりすると食中毒の危険性が高まるので、妊娠中はこまめな手洗いとうがいを心がけましょう。

飼っているペットに原因菌がついていることもあるので、ペットと遊んだあとも手洗いをしてください。

妊婦が注意すべき食中毒の原因

妊娠中は食中毒に細心の注意を!

妊娠中に食中毒にかかると、胎児や妊婦さんの命に危険が及びます。

赤ちゃんと自分の命を守るためにも、妊娠中は食中毒に細心の注意を払い、適切な方法で食中毒を予防しましょう。