母乳が耳に入ると危険!添い乳が招く「ミルク中耳炎」とは?

赤ちゃんが小さい時には夜中でもミルクをあげることになるため、起き上がって赤ちゃんを起こして飲ませるよりは、添い寝をしたままの状態で飲ませる添い乳をするという人もいます。しかしこの添い乳が中耳炎を起こす原因になることもあり、病院によっては添い乳をしないよう指導されることもあります。今回は注意したいミルク中耳炎の原因や予防法についてご紹介します。

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ミルク中耳炎とは?

赤ちゃんの頃は、何度も中耳炎になりますが、その原因のひとつにミルク中耳炎があります。これは口や鼻からミルクが耳に入ってしまい、起きる中耳炎のことをいいます。

お母さんと赤ちゃんが横になったままで授乳できる添い乳は、夜中に何度も起きる必要のあるお母さんにとっては楽な姿勢でできる授乳方法ですが、赤ちゃんの耳は未発達なため、ミルクが耳に入り込みやすい構造にあるといえます。つまり添い乳をしている、していないに関わらず、授乳する時の姿勢によって、中耳炎が起きる原因になってしまうのです。

添い乳をしていても赤ちゃんが中耳炎に絶対なってしまうというわけではありませんが、赤ちゃんの時には何度も中耳炎を繰り返してしまいます。しかし急性中耳炎の時に適切な処置がされていないと、悪化するだけでなく難聴となる可能性もあります。

母乳が耳に入ると危険!添い乳が招く「ミルク中耳炎」とは?

中耳炎が起きる仕組みと原因

赤ちゃんに中耳炎が起きやすいのは、大人と比べ、耳管が未発達であることがあげられます。耳管は鼻の奥にあり、ここから中耳にウイルスや菌が入ると炎症が起き、中耳炎となります。大人に比べ、耳管が短い赤ちゃんの場合、菌が入りやすくなっているのです。また赤ちゃんは免疫力が低いため、さまざまな原因が重なることで中耳炎になります。

中耳炎の原因

肺炎球菌

風邪やインフルエンザのあと、感染することの多い肺炎を起こす細菌です。特に赤ちゃんはこの細菌の免疫力がなく感染してしまいます。

インフルエンザ菌

鼻の奥にある常在菌のひとつです。健康な状態でも存在しており、免疫力が下がった時などに活動します。インフルエンザウイルスとは別ものです。

風邪を引いた時はこれらの菌に感染しやすい状態です。色がついている鼻水が出ている時や、粘り気のある鼻水が出ている時には、こまめに鼻水を取って、鼻づまりを起こさないようにすることが必要です。

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中耳炎の症状

中耳炎には急性中耳炎と慢性中耳炎があり、症状が出たあと、完全に治るまでは1ヶ月以上はかかります。

急性中耳炎の症状

・発熱する
・聞こえにくい
・耳の奥に痛みがある
・耳だれが出る

急性中耳炎の場合、急に症状が出て痛みや発熱を起こしますが、1週間ほどでその症状は治まります。ただし鼓膜の奥に膿がたまるため、耳が聞こえづらい状態がそれからしばらく続きます。

滲出性中耳炎の症状

急性中耳炎が治る過程、ちょうど痛みや腫れが引いて耳だれが出始める時期のことをいいます。鼻水が多く出ることなどもあります。耳が聞こえづらく、耳だれも多く出ます。

膿は自然に出て鼻の奥に抜けていきますので、鼻をまめにかむようにするほか、病院で鼻の通りをよくし、膿を取ってもらう治療をしてもらう必要があります。

慢性中耳炎の症状

急性中耳炎が治る時に膿が出ますが、この膿を出す時に鼓膜に穴があき、塞がれないままになるとここから細菌が入り込み、耳だれが出るようになります。急性のものと違い、痛みが出ることはなく、聞こえにくくなる難聴の症状が出るのが特徴です。

母乳が耳に入ると危険!添い乳が招く「ミルク中耳炎」とは?

赤ちゃんのこんな仕草に注意

赤ちゃんは耳に違和感があってもそれを言葉にすることができません。そのため、注意して赤ちゃんがいつもと違う仕草をしていないか見るようにします。

中耳炎かも?赤ちゃんの仕草

耳を触る、耳を気にする仕草をする

耳に痛みや違和感がある時には、耳が気になり、触ることが多くなります。朝は元気だったのに、夜になると急に症状が出ることもあるので、風邪を引いている時には特に注意しましょう。

首を振る

不機嫌が続いたり、いやいやを頻繁にするといった時にも、耳になんらかの症状が出ていることがあります。耳が聞こえづらくなっている可能性もあります。ただし他の原因で不機嫌になっていることもありますので、他の仕草と合わせて見るようにしましょう。

熱が3日以上下がらない

風邪での発熱が続く場合には、中耳炎が併発して発熱が長引いている可能性もあります。病院に行っている場合でも、再度受診する必要があります。

耳だれが出ている

耳の周りに黄色い液体や乾いたものがついている、シーツやタオルにも同じようなものがついている場合には、中耳炎の可能性があります。すぐに病院で診察してもらう必要があります。

母乳が耳に入ると危険!添い乳が招く「ミルク中耳炎」とは?

ミルク中耳炎を予防するには?

風邪を引いた時になりやすい中耳炎には、注意することが多いのですが、授乳で起きるミルク中耳炎にはなかなか気づかないといったことが少なくありません。中耳炎になりやすい環境を防ぐことで、中耳炎を予防しましょう。

授乳は頭を起こした状態でおこなう

横にしたままだと、構造的に飲んだミルクが耳に入りやすくなります。赤ちゃんの頭の下にタオルを敷くなどして、頭を起こすようにしましょう。添い乳でなくても、吐いた時に耳に入ることもあります。

赤ちゃんの手をこまめに洗う

赤ちゃんの手についたウイルスや菌が口や鼻から入り、中耳炎の原因となります。こまめに赤ちゃんの手をきれいに洗い、赤ちゃんが触るものも洗濯や殺菌をこまめにおこないましょう。

鼻水を吸い取る

鼻水がたまった状態は、中耳炎を引き起こしやすくなります。こまめに吸い取るようにしましょう。

家族でたばこを吸っている人がいる場合は禁煙する

たばこの副流煙が、鼻や耳にある繊毛の働きを低下させるため、中耳炎になりやすくなります。免疫力の低下にもつながりますので、禁煙が必要です。

添い乳が中耳炎の原因になるならしない方がいいのか悩んでしまうかもしれませんが、母乳を与えることは赤ちゃんの免疫を強くしますし、授乳のたびに起きることは母親にとっては肉体的な負担ともなります。授乳する時の姿勢に気をつけ、状況に合わせて添い乳をしてもいい、と考えるようにしましょう。