予定日が近づいても陣痛が来る気配がなければ不安になりますよね。焦りは禁物だとわかっていてもどうにかして陣痛を促したいと思います。
陣痛を促進するためにはどのような方法があるのでしょうか。おなかが大きな妊婦さんでも簡単にできる陣痛促進方法を見てみましょう。
陣痛が起こるメカニズム
「出産を控えているけれど、陣痛とはどのようなものなのかわからない」という人もいるのではないでしょうか。まずは陣痛について確認しましょう。
陣痛とは?
陣痛は出産をするための子宮の収縮とそれによる痛みを意味します。陣痛は不規則な痛みを指す前屈陣痛と規則的な痛みを指す本陣痛に分けられ、前屈陣痛の後に本陣痛が始まります。
なお、前屈陣痛から本陣痛までの時間には個人差があり、長い人では一週間程度かかることもあります。「前屈陣痛は感じられるのに、本陣痛はいつになっても始まらないのでは?」と不安にならないでくださいね。
本陣痛が起きれば、もう少しで赤ちゃんに会えます。陣痛が始まった後12〜20時間程度で赤ちゃんと対面できます。自宅や外出先で陣痛が起きたら、焦らずに間隔を測り、準備を整えて病院に行くか助産師さんに報告してくださいね。
陣痛が起こるメカニズム
陣痛はもうすぐ赤ちゃんが産まれるという合図です。陣痛のメカニズムについて詳しく見ていきましょう。
ホルモンバランスの変化
陣痛が起こるメカニズムは現在、詳しくは解明されていません。しかしながら、ホルモンバランスが変化すると陣痛が始まることはわかっています。
ホルモンバランスと陣痛の関係は次の通りです。
妊娠をしたら「黄体ホルモン」と呼ばれる女性ホルモンの分泌量が増加します。黄体ホルモンには赤ちゃんを守る胎盤を作ったり、子宮を安定した状態に維持したりする役割があり、これによって正常に妊娠が継続されます。
ところが、黄体ホルモンの分泌量は妊娠8〜9か月を境に下降しはじめます。子宮を守る黄体ホルモンが減れば痛みを感じるようになりますが、これが前屈陣痛のメカニズムです。
黄体ホルモンは出産直前になるとさらに減少します。これに伴って起こるのが出産のために働くホルモン「オキシトシン」と「リラキシン」の分泌です。
オキシトシンには子宮を収縮させる作用があり、リラキシンには産道を柔らかくして痛みを軽減する効果があるため、陣痛が起こって赤ちゃんが産まれてくるのです。
陣痛のタイミングは個人差
黄体ホルモンの急激な減少が起こる時期には個人差が大きいですが、妊娠後から赤ちゃんを守るために働いてきた胎盤が疲れてきたときに陣痛が起こると考えられています。
それでは、具体的にいつ陣痛が来ると正常だといえるのでしょうか。
赤ちゃんやママの体にトラブルが少ないと考えられている正産期は妊娠37週0日〜妊娠41週6日。予定日は妊娠40週0日に設定されているため、予定日が近づいたのに陣痛の気配がないと焦りすぎる必要はありません。
陣痛がこない原因は?
正産期を過ぎ、妊娠42週0日以降になると過期産に入ります。過期産では赤ちゃんが大きくなりすぎて出産が大変になったり、羊水が減ったりするなどのトラブルも増加するため、注意が必要です。
正産期に陣痛が来ない原因は何なのでしょうか。
産道が硬い
産道は筋肉でできています。通常、出産が近くなると徐々に筋肉は柔らかくなりますが、高齢などの原因で産道が硬いままの場合があります。
この状態では、子宮の収縮がうまくいかないため、陣痛も起きにくいです。
ホルモンバランス
ホルモンの分泌量には個人差があります。黄体ホルモンの分泌量が急激に下がらなかったり、オキシトシンなどの分泌量が少量であったりすると陣痛が遅れます。
母体の健康状態
母体の健康状態も陣痛と大きく関係します。子宮を収縮させるためには体力が必要であるため、体調が悪いと陣痛が起きないことがあります。
また、出産に対する緊張やストレスが原因でホルモンバランスが乱れた場合も陣痛の発生が妨げられます。
微弱陣痛の可能性も
陣痛が起きないと思っていても、実際は微弱陣痛が起きている可能性があります。何らかの原因で子宮が強く収縮しなければ、痛みが弱く、陣痛だと思わないかもしれません。
微弱陣痛の場合、胎児がスムーズに下がらず、難産となることもあるため、気になることがある場合は早めに医師の診察を受けましょう。
陣痛がこない時の促進術
陣痛が起きないときは対策をしたいですよね。ここでは、簡単にできる促進法を紹介します。
ウォーキング
軽い運動は陣痛促進に有効です。外をウォーキングすると気分も晴れてストレスや緊張も和らぐでしょう。
予定日が近づいている場合はいつ陣痛が起きてもおかしくないため、旦那さんや家族と一緒に外出すると安心です。夫婦でベビー用品を買いに行っても良いでしょう。
掃除
自宅で軽く体を動かしたいときは掃除がおすすめです。特に床を拭く体制になると骨盤が広がり、赤ちゃんが下りてくるため、陣痛が起こりやすいです。
掃除をするときは無理をしてけがをしたり、体を痛めたりしないように気をつけてくださいね。
バランスボール
バランスボールに乗ると骨盤が広げられて赤ちゃんが下りやすくなります。陣痛を促進する効果を期待できますが、大きなおなかでバランスを取るのが難しい人は頑張りすぎないようにしましょう。
ツボ押し
陣痛促進にはツボ押しも効果があります。足の内側のくるぶしの指三本分ほど上にある三陰交(さんいんこう)を親指を使って3秒指圧してください。
なお、陰交は安産にも効果的であると考えられています。
胡坐をかく
あぐらの姿勢でも骨盤を広げられます。余裕がある人は体を上下に揺らすのもおすすめです。
アロマオイル
リラックスしたい人はアロマオイルを使いましょう。特にラベンダー、ジャスミンなどのアロマオイルを使うと子宮の収縮が促進されます。
また、オレンジなどの香りは体を温めてリラックスさせる効果がるため、緊張状態が続いている時に使うと良いでしょう。
ラズベリーリーフティー
ラズベリーリーフティーはヨーロッパで「安産のためのお茶」と呼ばれており、子宮の収縮を促す働きがあります。
なお、妊娠初期の妊婦さんや体調が悪い妊婦さんは陣痛を促進させるラズベリーリーフティーを飲むのは控えましょう。
足湯
血行不良は筋肉を硬くします。産道が硬くなったり、子宮の収縮が弱まったりしないように体が冷えている人は足湯をすると良いでしょう。
足湯にお気に入りの香りのアロマを垂らしてもリラックス効果を期待できますよ。
内診
陣痛が起きず、母体や赤ちゃんに悪影響が及ぶと考えられた場合は病院で処置を受けられます。
内診をして赤ちゃんが包まれている卵膜を子宮からはがすと陣痛が誘発されます。薬などを使用しない処置ですが、痛みもあるため、医師や助産師とよく相談して処置を受けるか決めましょう。
陣痛誘発剤
なかなか陣痛が起きない場合は陣痛促進剤が使われることがあります。
これは「オキシトシン」など子宮を収縮させるホルモンが入った薬を用いて陣痛を起こさせるものですが、通常の出産と比べて痛みが増すなどのリスクも高いです。
使用の前には医師とよく相談した後、赤ちゃんやママの体を守るための選択をしてください。
焦らずに陣痛を待とう
陣痛が来ないと焦りすぎるとストレスがかかり、出産に悪影響です。予定日を過ぎても大丈夫という気持ちで焦らずに赤ちゃんとの対面を待ちましょう。
体力に余裕のある人は家族のサポートを受けて陣痛の促進方法を試してくださいね。