出産の辛さが軽減できると話題の「ヒプノバーシング」とは?

出産とは痛いもの、辛いものと思っていないでしょうか。実際に周りで出産を経験した人も、口をそろえて「大変だった」「痛かった」とその苦しみや辛さを教えてくれます。無痛分娩という方法もありますが、麻酔が効きにくい体質の人もいるため、誰もができる方法というわけではありません。

そんな中で注目されている出産方法、ヒプノバーシングとはどのような出産方法なのか、詳しくご紹介します。

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「ヒプノバーシング」とは?

ヒプノバーシングとは、催眠出産といい、アメリカのヒプノセラピストであるマリー・F・モンガンによって考案されたメソッドです。催眠といっても眠っている間に出産が終わってしまうといったものではなく、深いリラックス状態に自分の体と心をコントロールすることで、自然な出産ができる方法で、イギリスのキャサリン妃やハリウッドセレブのミランダ・カーが取り入れたことでも話題になりました。

出産時の痛みを取り除く無痛分娩が広く取り入れられるようになりましたが、この方法も全くデメリットがないわけではありません。麻酔のやり方を間違えれば事故につながりますし、麻酔が効きにくい体質の人や、逆に過敏反応が起きる人もいます。出産自体にもリスクがあるとはいえ、なるべく自然な方法で出産をしたい、そう考える人たちにヒプノバーシングは歓迎されているのです。

ヒプノバーシングは薬や道具は一切使いません。自分の心の中にある出産に対する恐怖を取り除き、出産を前向きにとらえ、かつパートナーと協力し合う出産方法です。これによって出産は女性がするもの、と考えがちな男性も、自主的に出産に関わることで夫婦の絆が強まり、さらに出産後も積極的に育児に関わるようになります。自分で経験しなければ実感ができない男性に対して、ヒプノバーシングでは出産に関する様々な知識を学ぶため、出産時には心強いサポーターになってくれるのです。

出産の辛さが軽減できると話題の「ヒプノバーシング」とは?

出産の辛さが軽減されるのはなぜ?

出産というとベッドの上で苦痛に顔をゆがませながら、大声で泣き叫ぶイメージが強いのではないでしょうか。哺乳類の中でも、このように苦しい思いをして出産を行うのは人間だけです。自然の中では早く出産して動けなければ、敵に襲われてしまいます。

人間も出産は本能的に刷り込まれている生きるための行動なので、本来出産の時に子宮自体が痛みを出す器官ではありませんし、産むための陣痛は赤ちゃんを送り出すために必要な刺激です。しかし陣痛が痛いもの、出産が苦しいものといった刷り込みや周りの声に洗脳されて恐怖のイメージが常にあるため、緊張から筋肉が固くなり、これが出産時の痛みにつながるとヒプノバーシングでは考えています。

ヒプノバーシングでは、これらの先入観や刷り込みを取り除くことを目的とし、呼吸法などで出産時にもリラックス状態になれるよう自分をコントロールしていく方法を学ぶのです。さらに出産に対するイメージや恐怖感などを見直すことで、出産だけでなく人生の中で様々なトラブルに遭遇したときにも、落ち着いて対処できるようになります。

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ヒプノバーシングのメリットとデメリット

自然志向の出産方法として、欧米では病院でも多く取り入れられているヒプノバーシングですが、日本ではまだ認知度は低く、怪しい方法なのでは、と受け止める人も少なくありません。誰でもチャレンジできるヒプノバーシングですが、そのメリットとデメリットについても、知っておく必要があります。

メリット

薬を使わない

陣痛促進剤や鎮痛剤など、出産時に使われることの多い薬を使う必要がありません。これらの薬の効果は個人差があり、麻酔を使う無痛分娩でも出産が長引いた場合は帝王切開となることもあります。

母体の負担が少ない

出産で必要となるいきみは、無理にすると会陰切開が必要になったり、痔の原因となることもあります。ヒプノバーシングでの出産方法では、無理な力は必要ありませんので、母体への負担が少なく、産後の回復も早くなります。個人差はありますが、出血がすぐ止まったという人もいます。

また自然に出産できるため、赤ちゃんの顔色がよい、また夜泣きが少ない赤ちゃんが多いという説もあります。

デメリット

全員に同じ効果があるわけではない

精神的な面が大きいため、実際に出産の場でコントロールできずパニックになってしまった、周りの人の声に振り回されてしまったという人もいます。痛みの感じ方も人それぞれなので、効果がなかったと感じることも。

パートナーが参加する必要がある

ヒプノバーシングの講習だけでなく、出産時にもパートナーが一緒に立ち会い、参加する必要があるため、相手の理解が得られなかったり、仕事が多忙な場合は難しいといえます。

ヒプノバーシングを行っているところを探すのが難しい

ヒプノバーシングは専門の教習を受けた専門家の指導が必要ですが、自分の出産時期に合わせて講習を受けるのが難しい場合があります。ただし講習を受けていれば、病院や産院と話し合い、ヒプノバーシングで出産を行うことは可能です。

出産の辛さが軽減できると話題の「ヒプノバーシング」とは?

ヒプノバーシングは講習を受ける必要がある

ヒプノバーシングは専門家の指導を受ける必要があり、その講習を夫婦で受講する必要があります。一人でも受講してヒプノバーシングを行うことも可能ですが、できれば家族や友達などに受講してもらい、サポーターになってもらうといいでしょう。

ヒプノバーシングの講習内容

・講習はトータル12時間から15時間
・費用はグループ講習なら3万円から4万円、プライベート講習の場合は6万円から7万円程度
・出産の仕組みだけでなく、病院や産院との付き合い方なども学ぶ
・リラクゼーション法や呼吸法を学ぶ
・受講先によってはリラクゼーションCDや冊子などが配布されることもある

ヒプノバーシングでの出産を考えているのであれば、なるべく早めに受講をしておくことがおすすめです。

実際にヒプノバーシングで出産を行った人の体験映像がありますので、参考にしてみてください。


(公開可能な画像は海外でおこなわれたもので、水中出産が多いのですがヒプノバーシングは水中での出産を行うというものではありません)