泣くのが赤ちゃんの仕事とはいえ、繰り返し泣かれてしまうとそちらに気を取られて何もできず、お母さんのイライラが募ったり、泣きたくなるものです。いろいろな泣き止む方法を試してみてもなかなか泣き止まない…実は抱っこをすると赤ちゃんが泣き止むという方法があるのです。そこで今回は抱っこすると赤ちゃんが泣き止む理由や、抱っこをしても泣き止まない時の対処法について詳しくご紹介します。
抱っこすると赤ちゃんが泣き止むのはなぜ?
赤ちゃんが抱っこされると泣き止む理由については、いくつかのことがあげられます。
輸送反応によるもの
輸送反応とは、哺乳類に見られるもので、犬や猫の子供が親に首をくわえられて運ばれる際におとなしくなり、体の力を抜く反応のことをいいます。これは生き延びるための本能とも考えられていて、親の行動に協力することで、敵から身を守ることに協力しているというものです。赤ちゃんも両親の育児に協力しようとして、抱っこされると泣き止むという反応をしているのです。
体のバランスを取ろうとしている
首がすわる前の赤ちゃんを縦抱きすると、泣き止むことがあります。いつも横になっていて、縦にされると視界が変わることも泣き止む理由の一つともいえますが、首がすわっていない赤ちゃんは、縦にされると体のバランスを取ることに集中して、泣くどころではなくなります。
胎児の時を思い出すから
お母さんのお腹の中にいた時には、お母さんの心臓の音を聞きながら、すっぽりと包まれて寝ていた赤ちゃんは、抱っこされることでその時の記憶を思い出して安心するため、抱っこをされると泣き止むのです。
抱っこでも赤ちゃんが安心できる抱っこの仕方をすれば、すぐに泣き止んでくれます。アメリカの小児科医、ハミルトン医師が考案した抱っこ方法「The Hold」をご紹介します。
The Holdの方法
1.赤ちゃんを抱え、赤ちゃんの両手を体の前にして交差させます。
2.赤ちゃんの腕を、片手でつつみこみ、その手の親指と人差し指で赤ちゃんのあごを支えます。この際、赤ちゃんの首のすき間に指が入り込まないよう注意しましょう。
3.もう片方の手で赤ちゃんのお尻をつかみ、体を斜め45度に傾けます。
4.赤ちゃんの体を前後左右に揺らします。
生後2ヶ月から3ヶ月程度の赤ちゃんに効果があるとされている抱っこの方法です。
こちらの動画も参考にしてみてください。
抱っこするメリットと抱き癖の問題
抱っこばかりをしていると抱き癖がついてしまう、といわれることがあり、抱っこをしてもいいのか悩むお母さんも少なくありません。しかし赤ちゃんを抱っこすることには、さまざまなメリットがあります。
抱っこによるメリット
抱っこによってバランス感覚や筋肉の発達につながる
抱っこをされた時、赤ちゃんは全身で親や抱っこしてくれた人につかまろうとします。これによって全身の筋肉の発育がうながされ、またバランスを取ろうとすることも感覚を磨く練習になります。
抱っこによって脳への刺激がうながされる
ベッドや布団で横になっていると、赤ちゃんの視線の中には同じものしか入ってきません。抱っこされて、大人と同じ高い視点でいろいろなものを見ることは、脳への刺激となります。
抱っこをすることで親と子の気持ちが通じ合うようになる
赤ちゃんは言葉が話せないために、泣くことでさまざまなことを要求します。一方親は泣く赤ちゃんを泣き止ませるために、抱っこをしながら赤ちゃんの気持ちを考えます。このことを繰り返すことで、親と子がふれあいコミュニケーションを取れるようになっていきます。
抱っこをすることで人とのふれあいを学ぶ
たくさんの人に抱っこをしてもらうことで、赤ちゃんはいろいろな人と関わり合っていきます。抱っこをしてもらい、要求をかなえてもらうことを繰り返すことで、自分が大切にされていることを赤ちゃんは覚えていきます。
それではいわゆる抱き癖がつくことによる、心配されることとはどのようなものでしょうか。
抱っこの癖がついてしまうことへの誤解
泣けばすぐに抱っこされることを覚えてしまう
泣けば誰かが抱っこしてくれることで、わがままになる、といわれることがあります。しかし赤ちゃんには自分のおしめの不快さや空腹を訴える手段は泣くことしかありません。抱っこをし、親と子供の信頼関係ができていくことのほうが大切といえます。
抱っこをしないと泣き止まない癖がつく
抱っこをすることが赤ちゃんにとって自立を妨げるという考え方もありましたが、実際には泣いても誰も抱っこに来てくれない場合、おとなしくなるのは泣いても誰もこないということを知るからであり、自立するわけではありません。
抱っこをしても泣く時の理由
抱っこをしても泣き止んでくれない場合、抱っこが悪いのではなく、抱っこの仕方が悪いことも考えられます。
抱っこをしても泣く理由とは
抱っこが不慣れな場合
子育てになれていない場合、抱っこをする時にぎこちなくなってしまったり、落とさないか不安になってしまったりしてしまいます。その不安が赤ちゃんに伝わっていることがあります。毎日抱っこをしていれば、お互いに気持ちいい抱っこの仕方が分かってきます。
眠たくない場合
抱っこをするとベッドに連れて行かれる、という習慣を覚えていくと、「まだ眠くない」と主張して泣くこともあります。少し散歩をする、おもちゃで遊ぶなど別のことをしてみましょう。
自分の好きな抱っこではない場合
この抱っこをすればいつも泣き止むのに…と思っても、赤ちゃんからすると別の抱っこをして欲しい、またおんぶがいい、とさまざまな好みが出てきます。いろいろな抱っこをしてみて、好みの抱っこを探っていきましょう。
抱っこ以外の要求がある場合
抱っこではなく、お腹が空いた、おしめが気持ち悪い、といった他のことで泣いている場合は抱っこではその要求がかなえられないので泣くのをやめません。
抱っこでも泣き止まない時は?
泣き出したら抱っこをしないと、と必死に抱っこすることを頑張ろうとすると、その余裕の無さが赤ちゃんに伝わってしまうこともあります。落ち着いて、対処することを心がけましょう。
抱っこで泣き止まない時の対処法
しばらくそのまま泣かせてみる
大きな声で泣くことは、赤ちゃんにとっては肺や内臓の筋肉を鍛えることにもなります。無理に抱っこせずに、そのまま様子を見てみるのも方法の一つです。
赤ちゃんの状態を観察する
熱がある時などはいつもより不機嫌になりがちです。熱を測ったり、吐いたりしていないかどうかもチェックしてみましょう。おしめの状態も見てみましょう。
授乳をしてみる、ミルクをあげてみる
空腹が満たされていないことも考えられます。赤ちゃんの空腹の状態は日によっても異なりますので、様子を見ながら量の調節をしましょう。
他の人に抱っこしてもらう
抱っこは体力を使いますので、親が疲れていると赤ちゃんにも伝わります。無理をせず他の人に抱っこをしてもらいましょう。
赤ちゃんとの密接なふれあいは、これからの成長にとっても大切な土台となります。育児になれるまでは大変ですが、毎日繰り返しふれあうことで赤ちゃんの気持ちや要求も分かるようになりますので、焦らずに赤ちゃんと向き合っていきましょう。