かさぶたの新常識!早く治すなら「湿潤療法」がオススメですよ

 

切り傷や擦り傷ができると、傷口を消毒して乾かしてかさぶたを作ったり、絆創膏やガーゼで保護してその下でかさぶたを作るというのが一般的な治療方法ですよね。

でも、かさぶたの下で新しい皮膚が再生されるのを待つより、そもそもかさぶたを作らない方が傷が早く、きれいに治るんです。

今回は、かさぶたを作らい傷の治療法「湿潤療法(モイストヒーリング)」についてお伝えします。

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かさぶたの役割

かさぶたは、傷口から出てきた血液や体液が乾いて固まったものです。

かさぶたには、傷口の止血や雑菌の侵入防止、皮膚の保護といったはたらきがあり、かさぶたを剥がすことで出血・雑菌の侵入・皮膚の破壊が引き起こされてしまいます。

かさぶたを繰り返し剥がしていると、傷跡がケロイド状に残ってしまったり、とびひ(伝染性膿痂疹)になってしまう恐れもあるんです。

かさぶたの新常識!早く治すなら「湿潤療法」がオススメですよ

 

湿潤療法(モイストヒーリング)とは?

かさぶたを作るときに使用される体液には、傷を治すために必要な細胞を集めてくれる細胞成長因子がたくさん含まれています。

かさぶたができるということは、この細胞成長因子を無駄遣いしてしまうということです。

従来の治療法では、傷口を消毒したりガーゼを当てたりすることもあるかと思います。

しかし、消毒液は雑菌だけでなく傷を治すために必要な細胞まで破壊してしまったり、ガーゼが雑菌の繁殖場所になったり、ガーゼが傷口に引っ付いてしまい、剥がすときにせっかくできた新しい皮膚の一部も剥がしてしまうなど、傷の治りを早くするどころか遅くしてしまうんです。

湿潤療法(モイストヒーリング)は、従来の治療法とは異なり傷口の乾燥を防いでかさぶたが作られないようにすることで、傷をより早く、きれいに、痛みなく治すという治療法です。

かさぶたができないことで、傷口に集まってきた細胞成長因子の力を無駄なく使用して繊維芽細胞や表皮細胞といった傷を治すために欠かせない細胞をどんどん呼び寄せ、人間の持つ自然治癒力を最大限に生かして治療することができるんですよ。

そのため、治癒がスムーズで傷跡も残りにくく、傷口に負担がかからないため痛みも少なくて済むんです。

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湿潤療法のやり方

湿潤療法(モイストヒーリング)は、ご家庭でも簡単に実戦することができます。

ちょっとした傷でしたら2~3日で完治しますし、擦り傷や切り傷だけでなく火傷にも有効なので、ぜひやってみてください。

1.傷口をしっかりと洗う

傷口に砂や細菌などの異物が残っていると化膿してしまう恐れがありますので、まず傷口を流水でしっかりと洗い流しましょう。

消毒液は、傷の治りを遅くしてしまうので使用しません。

2.湿潤療法用の絆創膏で傷口を保護する

次に、ドラッグストアで市販されている「キズパワーパッド」などの湿潤療法用の絆創膏で傷口を保護します。

専用の絆創膏が手に入らない場合は、白色ワセリンを塗ったラップで傷口を覆い、ラップは医療用テープでとめておきます。

湿潤療法用の絆創膏の場合は使用方法に従って適宜取り替え、ラップの場合は毎日取り替えます。

取り替える際には毎回流水で洗って傷口を清潔に保ちましょう。

特に暑い夏など汗をかきやすい季節は被れてしまいやすいので、絆創膏の周りが赤くなったり痒みを感じるときは使用方法にある日数を待たずして毎日取り替え、ラップを使用している場合は1日に2~3度取り替えるようにしてください。

かさぶたの新常識!早く治すなら「湿潤療法」がオススメですよ

 

湿潤療法の注意点

かさぶたを作るより早く、きれいに、痛みも少なく傷が治る湿潤療法ですが、いくつか守らなければいけない注意点があります。

・傷ができて1日以内に行う

かさぶたができていても、まだ固くなければ湿潤療法を行うことでかさぶたが溶ける可能性もありますが、黒く変色した固いかさぶたの上からでは湿潤療法はできません。

・消毒液は使わない

消毒液を使用すると、傷の治癒に必要な細胞まで殺してしまうため、 湿潤療法が上手くいかなくなってしあいます。

・絆創膏やラップはきちんと取り替える

湿潤療法のやり方でご紹介したようなタイミングで、必ず絆創膏やラップを取り替えましょう。
また、その際に傷が化膿していないかどうかを臭いや傷口の状態で確認してください。

以下のような場合は病院へ

・出血量が非常に多いときや、出血が止まらないとき
・頭部の外傷を負ったとき
・傷口に砂などの異物が入り込んで取れないとき
・動物に噛まれて傷ができたとき
・火傷により水泡ができているとき
・低温火傷のとき
・化膿したとき
・傷口が赤く腫れているとき
・傷の治療中に38℃以上の高熱が出たとき
・手足や指が痺れたり動かないとき
・深い(または大きい)切り傷や刺し傷のとき

大人も子供もうっかり作ってしまう切り傷や擦り傷。少しでも早く治したいですよね。

乾燥させるとかさぶたになってしまう細胞成長因子を無駄なく使う「湿潤療法(モイストヒーリング)」なら、傷を早く、きれいに、痛みも少なく治癒することができます。

傷口を洗って湿潤療法用の絆創膏を貼り、適宜取り替えるだけと非常に簡単にできるので、ちょっとした傷ができたときにはぜひ実戦してみてください。

ただし、傷の状態によっては湿潤療法が向かないものもありますので、頭を怪我してしまった場合や動物に噛まれてしまった場合、傷口が大きい場合などは、迷わず病院を受診してくださいね。