肌を露出する面積が多くなる季節は、気温も高くなるため、虫が多くなります。虫刺されで赤く腫れたり、かゆみが続いてしまったりと、虫刺されは厄介ですね。
感染症を運んでくる危険もある蚊、激しい痛みやアナフィラキシーショックで命の危険もある蜂など、虫刺されにも色々ありますが、意外と知られていないのに、怖い虫が「ブヨ」です。
「ブヨ」という虫がどのような害を及ぼすのか、ブヨに関する注意情報を解説いたします。
そもそも「ブヨ」ってどんな虫?
「ブヨに刺されると大変だ」ということを知る前に、まずはブヨについて知っておく必要がありますね。そもそもブヨという虫を知らないし、見たことも無いという人もいるでしょう。
「ブヨ」というのは、全国的に共通した名称ではないので、とくに西日本では知らない人が多いと思います。「ブヨ」というのは、関東エリアの呼び方で、西日本では「ブト」と呼ぶ地域が多くなります。
正式には「ブユ」と言いますが、地域によって呼び方が違います。広い地域に生息する虫なので、呼び方の由来も様々ですが、人間も含めた哺乳類の血液を吸血する虫としては、蚊と同じく厄介なものです。
しかも、蚊よりも厄介なのは、ブヨは夏以外にも生息していると言う点です。真冬の低温期は活動していませんが、春先から秋にかけて活動できるので、注意しないといけません。
もっとも活動的なのは、夏の朝です。一般的には川のある山間部や、木々の茂る場所などに多く生息しています。ゴルフ場、キャンプ場などで出物することが多いので、アウトドアを楽しむ季節には、ブヨに注意しないといけません。
見た目は、ハエの3分の1くらいの小さな虫で、コバエみたいに見えます。人家が多い地域では、あまり見かけることはないのですが、水のキレイな場所を好むので、環境によっては家の周辺でも出没することもあります。
ブヨによる虫刺されは特徴的
ブヨは、メスだけが吸血しますが、その吸血方法が他の虫とはちょっと違って特徴的です。蚊や蜂のように、細い針で刺すというわけではなく、皮膚をかみ切り吸血するのです。
かみ切るので、刺された時は痛みを伴いそうですが、痛みはほとんど感じないので、刺されたことに気が付かないことが多いです。これはかみ切る前に麻酔成分を分泌するので、皮膚を切られても痛くないのです。
蚊に刺された後よりも、少し時間をかけて激しいかゆみを起こします。かゆみだけじゃなく、痛みも同時に感じるほど強い反応を起こすのがブヨの虫刺されの特徴です。
強い毒性のアレルゲン物質を皮膚に残していきますが、この毒性が遅延型反応を起こすので、直後はそれほど痛くもなく、かゆみも軽いのです。しかし、数時間で激しいかゆみや腫れが起こり、腫れた部分から分泌液が出てきて、大きく腫れてしまうこともあります。
水ぶくれになる場合もありますので、蚊に刺された時とは明らかに違う状態になります。ブヨという虫の存在を知らなくても、山や川に遊びに行って、正体不明の虫刺されでひどく腫れてしまったという経験がある方は、ブヨに刺された可能性が高いでしょう。
ブヨに刺された時の対処法
ブヨに刺された後に、強いアレルギー反応を起こすこともあるので、数時間は注意深く観察する必要があります。ブヨに刺されたあとの対処法をご紹介します。
毒を出す
アレルギー反応でひどく腫れるのを防ぐために、最初にすべきことは、毒をできるだけ早く出すことです。刺された中心は皮膚が破れていて、体液がしみ出していることがわかれば、そこを中心にしてつまんで毒を出します。
爪や指でつまむと痛いので、毒を吸引する「ポイズンリムーバー」があるといざという時に便利です。ドラッグストアなどで買えるので、アウトドアに出かける時などは、持っているといいですよ。
温める
かゆみが強くなる前なら、温めることも有効です。ブヨの毒は熱に弱いので、43℃以上の温度で温めると毒の影響を抑えることができます。
ただし、かゆみは腫れがひどくなってしまった後には、温めることで悪化させる恐れがあるので、かゆみが強くなってきたら温めるのはやめましょう。低温やけどにも注意が必要なので、長時間温めるのはやめてください。
冷やす
かゆみが強くなり、腫れも大きくなってきたら、かゆみを抑えるためにも冷やしましょう。市販のかゆみ止めなどを塗ってもなかなかかゆみがおさまらないほど、ブヨの毒は強いので、かゆくなったら冷やすことを繰り返しましょう。
炎症を抑えるためにも冷やすことが大切です。掻けば掻くほど炎症が悪化してヒスタミンが出て、さらにかゆくなるので注意しましょう。
病院に行く
かゆみや腫れがヒドイ時は皮膚科で診てもらいます。ブユ刺咬症に適した治療をしてくれます。ブヨの毒でアレルギー反応が強くなると、頭痛や発熱が起こることもあるので、油断しないようにしてください。
ブヨに刺されないための予防法
ブヨに一度刺されると、激しいかゆみで何日も苦しむことになるので、二度と刺されたくないと思います。刺されないように対策するためには、肌を露出しないことがなにより効果的です。
でも、夏のアウトドアで肌をすっぽり覆うのは、苦痛になることもあるので、ブヨの嫌うハッカのニオイを活用しましょう。無水エタノールにハッカ油と精製水を混ぜてブヨ除けスプレーを作って、肌や衣類に吹きかけておくと、ブヨが近寄るのを防ぐことができます。
こまめに吹きかけて、ハッカのニオイが消えないようにして対策してみてください。