自然分娩が当たり前と思っている方も多いですが、帝王切開での分娩を余儀なくされることもあります。ひとつの生命を産み落とすという大仕事である出産。すべての女性がそのために毎月の月経痛や精神的なイライラ、苦痛に耐え抜いています。
出産を経験したことがある方に聞くと、
・想像を絶するような痛みだった
・出るはずのない大きさのものが通る感覚
・痛くて痛くてたまらなかった
など、想像するだけで恐ろしく感じてしまうものばかりですね。
ただ、中には帝王切開で痛みを感じず出産される方もいらっしゃいます。もちろん、分娩時の痛みは感じなくても、帝王切開ならではの痛みというのも存在します。
今回は、あまり知られていない帝王切開による出産方法や、痛みについてご紹介していきたいと思います。
帝王切開とは?
帝王切開は、腹壁・子宮を切開して赤ちゃんを取り出す出産方法です。通常何の問題もなければ自然に分娩する方法をとるのですが、母体や赤ちゃんへの危険が考えられる場合、このような措置をとることがあります。
身近にそういった経験のある方がいない場合、とても珍しいことのように感じてしまうかもしれませんが、近年では増加傾向にあり、5人のうち1人は帝王切開を選択せざるを得ない状態となっているのです。
これには、高齢出産が増えたという背景があるほか、不妊症の方がリスクを避けるために選択するなどの理由があります。
出産の流れ
帝王切開での出産が決定した場合、以下のような流れに沿って出産が行われます。
1.前日に入院
2.下半身麻酔処置
3.腹部の切開
4.赤ちゃんを取り出す
5.洗浄
6.縫合
7.入院して経過観察
8.抜糸
基本的には、出産前に帝王切開or自然分娩の判断がなされますが、急遽帝王切開を選択しなければならない場合もあります。
問題がなければ1時間程度で出産完了となります。ただ全身麻酔とは異なり、下半身にのみ麻酔がかかっているため、お母さんは分娩中しっかりと意識があり、少し気持ち悪い感覚になることもあります。
自然分娩のように長い間痛みに耐え続けることはなくとも、帝王切開ならではの痛みや気持ち悪さというのは存在しているといえるでしょう。
帝王切開の痛みのピークは「麻酔が切れる頃」
気になるのは、いつ痛みを感じ始めるのかということですね。出産時には感じなくとも、自然分娩の方と同じように後陣痛はありますし、それに加えて切開部分の痛みも生じてきます。
麻酔が切れた頃に感じる痛み
腹部の痛み
どんな手術においてもそうですが、麻酔が切れると当然その箇所に痛みを感じるようになります。鈍痛のような重い痛みを感じる場合が多く、手術当日は眠れなくなるという方も多いです。
赤ちゃんが取り出せるくらいとなると、10cm以上切開しなくてはならないため、当然経験したことのないレベルでの痛みが伴ってくるでしょう。
後陣痛
後陣痛は、子宮が元の大きさに戻るため収縮し始めることにより起こる痛みです。陣痛よりは痛くないといわれる方もいますが、術後の体には大きな負担となります。
通常では3日程度でおさまるとされていますが、これは個人差によってばらつきがあります。
他にもいろいろな痛みが…
麻酔が切れた頃に感じる痛みは“切開部分”と“後陣痛”によるものですが、他にも痛みを感じる場面はあります。
麻酔を打つ時
麻酔を打った経験がある方は中々いらっしゃらないと思います。出産で初めて麻酔を経験される方はとっても不安に感じてしまうことでしょう。
帝王切開での下半身麻酔では、基本的に腰に針を刺して投与されることが多いです。
体を丸めた体制をとらされ、針が刺されるまで恐怖感を感じながら待つことになりますが、痛みの度合いは人それぞれです。鈍痛を感じた程度で生理痛の方がよっぽど痛いと言われる方がいる一方で、ものすごく痛いと感じた方も。
あまりにも痛みに弱い方や、不安な場合は皮ふに麻酔を打ってから下半身麻酔を行うこともできるため、担当医に相談してみるのもよいかもしれません。
抜糸をする時
縫合されることにより、皮ふは引きつられることになります。引きつっていた糸を抜くとなると、どうしても痛みが生じることになります。
ただ、抜糸の痛みより引きつられていた時に痛みを感じる方も多く、糸から解放されることで逆にすっきりしたと感じる方も多いようです。
近年では、抜糸の必要がない溶けるタイプの糸を使用していることもあり、手術を受ける医院によってはさまざまでしょう。
痛みを軽減させる方法
もし帝王切開で出産することになったとしても、痛みを和らげる方法を知っておけば安心ですね。痛みを軽減させるためには、2つのポイントがあります。
1.腹部に負担をかけない
普通はお腹に力を入れ、姿勢を正すことを意識する方がよいのですが、帝王切開後はそれが正しいとは言えません。なるべく腹部への負担を減らす意識をすることが大切です。
今までは腹部へ力を入れることにより動かしていたものを、足・腕の力のみを使って動かす意識をすることが必要です。人それぞれ楽な姿勢は異なりますが、ベッドの上で生活する中でお腹が楽だと感じる姿勢をとるよう心掛けることも大切でしょう。
2.ベッドの上で体を動かす
基本的には体を激しく動かさないよう意識する必要がありますが、子宮の収縮を促すためには適度な動きが痛みを和らげる近道となります。
ベッドから出る必要はなく、体勢をこまめに変えたり、脚を積極的に動かしてあげるようにしましょう。酷い痛みがなければトイレまでの道のりを散歩と考え、ゆっくり歩いて体を慣らしていくのもおすすめですよ。
出産後は骨盤ベルトを活用しよう!
帝王切開でも自然分娩でも関係なく、骨盤のゆるみは生じてきます。元の位置に戻してあげるためには、お母さんの努力が必要になってくることはどちらも同じと覚えておきましょう。
太ももの付け根に巻き、締め付けは緩めに
産後一か月程度経ってからの着用でも問題ないですが、巻き方には注意する必要があります。特にやってしまいがちなのが、立った姿勢でベルトをつけてしまうことです。
つける際は横になり、お尻にクッションをひいて子宮を圧迫しないよう巻くのが基本です。産後の体型の変化は帝王切開・自然分娩関係なくおとずれるものです。産前の状態に戻すためにも、ぜひ効果的なアイテムの活用をおすすめします。
【帝王切開】入院中のスケジュール