考えたくはない事柄ですが、妊娠をすると
一定の確率で流産が起こり得ます。
妊娠している数のうち15%程度は
流産すると言われています。
流産は決して珍しいものではないのです。
そのため
・妊娠を希望する人
・妊娠している人には
・奥様が妊娠している男性
には、是非知っておいた方が良い知識です。
しかし、一口に流産と言っても
原因や起こる症状は様々。
反対に、体調に気になる点が
あったとしても流産とは限りません。
今回は妊娠初期に起こる「早期流産」に
ついてお話しします。
病院で流産かどうかを判断するための
手がかりになれば幸いです。
早期流産とは
早期流産とは、妊娠12週までの間に
流産することを指します。
妊娠初期の早期流産においては、
胎児に異常があることがほとんど。
流産してしまうと自分自身を責めて
しまいがちですが、早期流産の多くは
母体が原因ではありません。
異常のある染色体を持つ精子と卵子が
結びついてしまうと、生存確率が低い
受精卵や胎芽はその時点で流産として
淘汰されてしまうのです。
ある意味自然の摂理ですので、
お母さんのせいではありません。
また年齢とともに精子や卵子の異常が
増加する傾向にあるため、高齢出産では
早期流産の確率が上がります。
妊娠の時期や胎児の状態によって
早期流産には3つのタイプがあります。
完全流産
胎児と胎嚢が母体から完全に
出てしまっている状態です。
不全流産
胎児と胎嚢の一部が子宮から
出て一部が残っている状態です。
稽留流産
子宮内で胎児が亡くなり、
そのまま残っている状態です。
感染症などを防ぐために、
完全流産以外は速やかな手術が必要です。
早期流産の兆候とは
流産の判断はもちろん医師の診察が
不可欠ですが、目安として早期流産の
兆候となる症状をいくつか挙げます。
不正出血
妊娠して不正出血が起こるのは
珍しくありません。
もし出血時に痛みを感じたり
血の色が黒や茶褐色であれば
婦人科系の病気や流産の
可能性があります。
黒や茶褐色でしばらくの間
続くようでしたら染色体異常である
「胞状奇胎」の可能性も。
すぐに病院を受診しましょう。
つわりがなくなる
妊娠初期はつわりが辛い時期。
それまで重かったつわりが、
急になくなったら要注意です。
腹痛
妊娠が進むにつれて腹痛がひどくなります。
流産している場合はお腹が張ります。
また胃腸の調子が悪い時とは違う感覚で、
ひきつるような痛みです。
流産には入りませんが、受精卵が子宮で
着床できずに次の生理が始まる”初期流産”
も存在します。
早期流産は徐々に進んでいきますが
急激に侵攻する場合もあるため、
兆候を見つけたら医師に相談しましょう。
流産した場合の次の妊娠への影響
流産すると、次の妊娠でも
流産しやすいと言われています。
正確に言えば、これは「流産直後」の場合です。
流産直後は子宮の機能が回復しておらず
準備が整わないまま妊娠してしまうと
また流産してしまうリスクが高まります。
稽留流産で手術を行ったり、
自然流産を待った場合は子宮の中が
綺麗な状態に戻ります。
子宮の物理的な状態としては妊娠が可能です。
しかし、子宮の機能や体の状態は
完全には治っていません。
妊娠の準備が万端になるまでは
体を休めることが先決です。
具体的には、妊娠まで生理を
3回は見送った方が良いでしょう。
妊活は生理を2回程度見送ってから
再開しましょう。
流産を経験しても、1年以内に妊娠
している女性は数多くいます。
諦めず、焦らず、ゆったりと過ごしましょうね。
早期流産を予防する栄養素
妊娠初期が最も流産の可能性が
高くなる時期です。
早期流産を予防することが、
元気な赤ちゃんを産むために
大いに役立ちます。
流産の予防に有効な栄養素があります。
それが「葉酸」。
ビタミンBに属する葉酸は
胎児の先天的異常を減らす効果が
実証されています。
胎児が成長するには、細胞分裂を
行い続ける必要があります。
細胞の増殖に必要なDNAを
合成する際に葉酸が必要です。
またタンパク質の形成にも役立つ栄養素。
まさに赤ちゃんのための栄養素です。
欧米では葉酸の摂取を推進したおかげで
脊椎の外に神経が飛び出してしまう
「二分脊椎症」のリスクが70%も減少した
と報告されているほど。
葉酸が不足して細胞分裂が活発に
行われなくなると、胎児に異常が生じて
流産のリスクが高まります。
臓器や体の形成器官である妊娠初期に
摂取することが大切なのです。
2000年以降は、日本でも厚生労働省が
葉酸の摂取を推奨しています。
レバー・柑橘類・野菜に多く含まれ、
吸収率の高いサプリメントも販売されています。
妊娠が分かったら意識して葉酸を
摂るようにしましょう。