出産を迎えるにあたって感じる不安といえば、
陣痛の痛みを挙げる方が多いのではないでしょうか。
妊婦さんの陣痛を和らげ、リラックスしてお産を迎えられるよう、
これまで世界中でさまざまな呼吸法が生み出されてきました。
その中でも最近特に話題なのが、日本生まれの産痛緩和法
「リーブ法(気功呼吸法)」です。
今回は、そのリーブ法についてご紹介します。
リーブ法とは
リーブ法(気功呼吸法)とは、
1990年に東京警察病院で日本人が考案した産痛緩和法です。
中国で一般的に行われている民間療法である気功法にヒントを得て、
・R Relax(リラックス)
・I Image(イメージ)
・E Exercises(エクササイズ)
・B Breasts(呼吸法)
の頭文字をとってRIEB法と名付けられました。
逆腹式呼吸法とリラックス法、
そして赤ちゃんと一緒にお産を進めるという
前向きなイメージトレーニングを行い、
陣痛が起こってからもお母さんと赤ちゃんがリラックスした状態で
分娩を進めることを目標としています。
補助動作として、陣痛の痛みを和らげる会陰押し上げなども行います。
リーブ法をするメリット
1.胎教に良い
リーブ法では、呼吸法と気功法で心を落ち着かせて
お腹にいる赤ちゃんに意識を集中させ、
その存在や動きを感じながらお産を進めます。
陣痛やお産への不安が取り除かれて
妊婦さんが精神的に安定するため、胎教にも良い影響を与えます。
2.分娩時間の短縮
リーブ法では、お産本番に備えて
日々イメージトレーニングを行います。
そのため、いざ本陣痛が来ても
慌てることなくリラックスして対応できるので、
分娩時間が短くなります。
3.赤ちゃんにも安全な出産
産痛緩和法にはリーブ法以外にも
色々な呼吸法がありますが、
いざ陣痛が始まるとあまりの痛みに
正しい呼吸法ができず、酸素が足りなくなって
赤ちゃんを危険に晒してしまうこともあります。
気功を取り入れたリーブ法なら、
陣痛の最中でも身体全体に酸素を行き渡らせることができ、
赤ちゃんにも十分な酸素を送ることができます。
4.妊婦さんの体調を整える
リーブ法は、妊婦さんの精神的安定を保つだけでなく、
気功で頭痛や肩こりといった症状を緩和したり、
逆腹式呼吸でお腹が刺激されることにより
便秘が解消されたりと、身体的にも
妊婦さんの調子を整えることができます。
リーブ法のやり方
リーブ法には、
2つの特徴的な呼吸法と、
リラックスしてスムーズに分娩を進めるためのイメーイトレーニング、
そして会陰を押し上げて陣痛の痛みを和らげる補助動作があります。
逆腹式呼吸法
腹式呼吸法といえば、息を吸う時にお腹を膨らませ、
吐く時に凹ませる呼吸法ですが、
逆腹式呼吸法ではその逆を行います。
つまり、息を吸う時にお腹を凹ませ、
吐く時に膨らませるんです。
不安や恐れも含め、「あるがままの自分をそのまま受け入れる」
という東洋的な考え方で陣痛も受け入れ、
ゆったりと呼吸をすることで心身をリラックスさせ、
無駄な力を抜きます。
ソーンの呼吸法
静かに息を吸い、「ソーン」と声を出しながら吐き出します。
声を出すことによって陣痛の痛みから意識を反らしたり、
自分自身の声で心を落ち着ける効果があります。
シンプルな呼吸法なので、
陣痛中でも実戦しやすいのも特徴です。
イメージトレーニング
妊娠中から赤ちゃんをすぐそばに感じながら
語りかけることで赤ちゃんとの交流を深め、
母子の絆と愛情を育んでいきます。
分娩中には赤ちゃんに気を送り、「下がれ、下がれ」とイメージして、
赤ちゃんを子宮口へと導きます。
妊娠中から繰り返し具体的にイメージトレーニングを行うことで、
本番のお産でもリラックスして
前向きに取り組むことができるようになります。
会陰の押し上げ
どうしても陣痛に耐えられない場合には、
膣と肛門の間の「会陰」をテニスボールなどで強く押し上げることで、
かなり痛みを和らげることができます。
かなり強い力で押し上げる必要があり自分で行うのは難しいので、
ご主人や助産師さんにお願いしましょう。
その他の呼吸法との違い
出産の痛みや不安を減らすための呼吸法といえば、
「ヒッヒッフー」という呼吸法が有名なラマーズ法や、
ソフロロジー法なども挙げられます。
ラマーズ法もソフロロジー法も、
リラックスしてお産を進めるための呼吸法と
イーメージトレーニングを行うという点ではリーブ法同じです。
でも、妊娠中にしっかりと練習していたつもりでも、
いざ陣痛が始まるとあまりの痛みに正しい呼吸法ができず、
練習通りにできないということも少なくありません。
リーブ法なら、シンプルなソーンの呼吸法で
呼吸を乱さずに落ち着きを取り戻すことができ
逆腹式呼吸を実戦しやすいので、
すんなりと出産を迎えることができます。
陣痛の痛みが少なく落ち着いて出産できるとして、
現在リーブ法の実戦を希望する妊婦さんが増えています。
ただ、積極的にリーブ法を取り入れている産院はまだ少なく、
リーブ法の正しい知識を持った
医師や助産師のいない産院も少なくありません。
リーブ法の実戦を希望するなら、
リーブ法を取り入れているかどうかを
産院選びの際にしっかり確認しておきましょう。