気に入って買ったウールのニット。洗濯したら、まだ一度しか着ていないのに縮んでしまった!!……なんていう経験のある方は多いのではないでしょうか?いざ干すときに縮んでいることに気付いたガッカリ感といったらないですよね。でも大丈夫!身の回りにある「あるもの」を使って、そんな縮んだセーターを元に戻す方法があるんです!
セーターが縮む理由
そもそもなぜセーターが縮むのかというと、羊の毛であるウールにも人間の髪と同じようにキューティクルがあるからです。
キューティクルは濡れたり湿気の高い場所で開く性質があり、キューティクルが開いた状態で擦ったり揉んだりすることで繊維同士で摩擦が起きると、キューティクルが絡み合ってもとに戻らなくなってしまい、縮んだ状態になってしまうんです。
特に水温が体温より高い場合は、よりキューティクルが絡まりやすくなる傾向があるため、温水モードで洗濯機をガンガン回したり乾燥機を使ったりすると、もう目も当てられません。
では、そんな無惨にも縮んでしまったセーターを元に戻すにはどうすれば良いのかと言えば、「段ボール」と「トリートメント」を使うんです。
「段ボール」と「トリートメント」を使って元に戻す方法
まず、トリートメントでセーターの繊維を伸ばしてから、段ボールを使ってセーターを干します。
使用するトリートメントは、もちろん髪を洗うときに使用するものですが、「アモジメチコン(ジメチコン)」という成分が含まれていなければいけません。一度成分表を確認してみてください。
この「アモジメチコン(ジメチコン)」が繊維の一本一本をコーティングし、絡まり合ってしまった繊維を伸ばしてくれます。
やり方はとっても簡単。
洗面器や洗面所の洗顔ボウルに水またはぬるま湯を張り、5Lあたり5cc~の分量のトリートメントを溶かします。(トリートメントの量は、ニットによって多少異なります)
そこに縮んでしまったセーターを入れて約30分つけ置き、その後ニットをもとの大きさに戻るように引っ張ってから、軽く水気を絞ったあとネットに入れて脱水機で1分ほど脱水し、形を整えて平干しで陰干しします。
そのとき、段ボールで作った型を使用すると、よりキレイに元に戻すことができます。
次に、段ボールを使った干し方をご紹介しましょう。
干し方にも注意しよう
まず、段ボールで胴と右腕、左腕の型を作ります。他のニットから型をとっても構いませんが、そこまで厳密でなくても大丈夫です。
ただ、ニットは乾燥させるとどうしても多少縮んでしまうので、1cm程度型を大きめに作っておくのがポイントです。
また、段ボールが汚れているとその汚れがニットに移ってしまうので、できるだけ綺麗な段ボールを用意しましょう。
次に、脱水機にかけたあとのニットを段ボールで作った型に被せ、布団用などの大きめの洗濯バサミで段ボールとニットを固定し、平干しで陰干ししましょう。
特に縮み方が激しい場合は平干しではなく、段ボールごとセーターをハンガーにかけて、裾を固定している洗濯バサミに重りを取り付けておくと、重力でニットが縦に伸ばされます。
セーターを縮ませない洗濯方法
いくら縮んだセータを元に戻せるとはいえ、そのための手間はかかってしまいますし、激しく縮んでしまって繊維がフェルト化している場合、その風合いまでは元に戻すことはできません。
やはり、最初からセーターを縮ませないように洗うのが一番ですよね。
そのためには、次の9つのポイントに気を付けながら、ほかの洗濯物とは分けて洗濯しましょう。
1.必ず洗濯表示を確認する
セーターに限らず衣類には洗濯表示が付けられていますので、必ずそれを確認しましょう。
ドライマークが付いていても、ビーズなど洗濯機の中で取れてしまうようなものがついていなければ、洗い方に注意しつつ水洗いすることができます。
しかし「水洗い不可マーク」が付いている場合は、クリーニングにお願いしましょう。
色落ちしないか確認をしてください。綿棒に洗剤を少しだけ付けてセータの裏側部分などの目立たない場所に付けてみます。そこで色落ちしないかどうかをチェックします。
2.洗剤はおしゃれ着用を使用する
普通の洗濯用洗剤では、セーターが縮みやすくなってしまいます。
おしゃれ着用やウール用などの洗剤と柔軟剤を用意しましょう。
また、綿棒などを使ってセーターの目立たない部分に少量の洗剤を付け、色落ちしないかどうかを事前に確認しておきましょう。
色落ちしてしまった場合は、やはりクリーニング店へのもちこみがおすすめです。
3.汚れの目立つ部分には「前処理」をしておく
シミができているなど汚れの目立つ部分があれば、おしゃれ着用の洗剤を直接付けて、タオルなどで軽く叩いてく「前処理」をしておきましょう。
袖が黒ずんでいる場合などは、洗剤をぬるま湯に溶いて、優しく握るように揉んで、汚れを押し出すようにします。
どの前処理の場合でも、擦ってしまうと毛羽立ちや縮みの原因になってしまうので、汚れだけを取る気持ちで優しく扱いましょう。
4.手洗いするときは短時間で優しく押し洗いする
セーターを手洗いする場合は、摩擦による縮みを防ぐため、できるだけ短時間で優しく押し洗いします。
ぬるま湯に洗剤を溶かした中に「袖だたみ」したセーターを入れ、優しく上から20回ほど押し洗いします。時々セーターの向きを変えて、押す方向を変えると良いですよ。
その後約10分付け置いてから、水を変えつつ2~3回同じように押し洗いですすぎを行います。
5.洗濯に使用する水温を28℃前後に保つ
温かいお湯はニットを縮ませる原因になります。
ニットを洗うときの水温は30℃、肘をつけても温かくも冷たくも感じない程度の温度を心掛けましょう。
水を温かく、またはぬるく感じるようでしたら、ちょっと水温が高過ぎます。
6.すすいだあとは柔軟剤で仕上げる
柔軟剤は、繊維に油分を補給する役割も持っています。
手洗いした場合は、2回目のすすぎのときに柔軟剤を入れて、3分ほど付け置いてからすすぐようにしましょう。
7.脱水機も短時間で
長時間脱水機にかけると、その間に繊維が絡まってしまいます。
できれば30秒、秒の設定ができない洗濯機の場合は1分で脱水を終えるようにしましょう。
また、やさしく脱水するモードがある場合は、それを利用してください。
8.干すときには形を整える
脱水し終わったセーターはそのまま干すのではなく、軽く畳んでから叩いてしわを伸ばし、また広げて軽く叩きながら形を整えて、平干しの陰干しを行います。
場所の都合などでどうしても平干しができない場合は、数本のハンガーにセーターを渡らせたり、タオルを渡らせた上にセーターを載せるなど工夫してみましょう。
9.スチームアイロンでふんわり仕上げよう
乾燥後は、セーターから約1cm離してスチームアイロンをかけましょう。
セーターに直接アイロンを当てると、生地が傷んだりテカテカになってしまうので、スチームだけをたっぷり当てるようにしてください。セーターがふんわりと蘇ります。
お気に入りのセーターが縮んでしまうと、本当に心まで縮んでしまいますよね。
でも、段ボールやトリートメントを使って、元に戻すことができます。
上手くもとに戻ったら、二度と同じことを繰り返さないよう、今度は洗濯の仕方にも注意してみましょう。