成長は個人差があるとはいえ、他の子と比べて背が低いな、と感じることはありませんか。成長期にきちんと背が伸びないと、体のあちこちの成長も心配です。また高校生になったら身長はもうそれ以上は伸びないと考えがちですが、高校生は身長が伸びる最後のチャンスの時期でもあります。

身長を伸ばすためには運動や睡眠も大切で、さらに大きな影響を与えるのは食事の内容です。特に食生活は成長する子供にとっては重要で、しっかりとバランスの取れた食事をすることが必要となります。そこで毎日の食事に取り入れたい、背を伸ばすために必要な栄養素や、しっかり含まれている食べ物を詳しくご紹介します。

骨が伸びるとはどういうこと?

人間の子供の骨には、両側に骨端線という軟骨があります。この部分に、脳から分泌される成長ホルモンが働きかけることで骨が伸びます。これが身長が伸びる仕組みです。この骨端線は大人になると固くなってしまうため、この骨端線が固くなる前に、環境を整えることが必要となります。

人間には、身長が伸びるタイミングが2回あります。1つは乳幼児期。栄養をしっかり取らせると一気に身長が伸び、1歳までには約25cm近く成長します。その次が思春期に入ってからの成長ですが、この時に成長ホルモンの影響で身長を伸ばすと同時に、性ホルモンの影響によって骨の成長が止まります。この思春期での身長の伸びには、男女差はありません。性ホルモンの分泌は女子の方が早く男子は遅いため、身長が伸びる子もいれば、止まってしまう子もいます。

つまり1回目に身長が伸びる乳幼児期と、思春期前までに骨を伸ばすために骨をしっかり成長させることと共に、骨が伸びるために体にも体力をつける必要があります。そのため栄養バランスの整った食事を3食しっかり摂ることが必要となってくるのです。

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こんな食生活してませんか?

成長には十分な栄養と、成長ホルモンを分泌させる環境が必要ではありますが、骨の成長を阻害してしまう食事では、身長を伸ばすことはできません。以下のような食生活をしていないか、チェックしてみましょう。

朝食を食べないことが週に3日以上ある

寝ている時にも体はエネルギーを消費するため、起床した時はエネルギー不足の状態です。そのため、朝食を抜くのは、脳や体に栄養が行き渡らず、授業中ぼんやりしたり、体にだるさを感じがちです。

食事が偏っている

肉や魚、卵や豆腐などのおかずを食べない、炭水化物ばかりを偏って食べているといった場合、体に必要な栄養が不足します。

牛乳や乳製品をあまり食べない

牛乳は1日にコップ1〜2杯かそれ以下、ヨーグルトやチーズを毎日食べない場合は、骨に必要なカルシウム不足の可能性があります。

大豆製品をあまり食べない

タンパク質には肉などの動物性と大豆などの植物性のものがあり、肉ばかりだと肥満につながる可能性があります。肉だけでなく魚や大豆製品もバランスよく食べる必要があります。

青菜を食べることが少ない

青菜にはカルシウムが骨に吸収される際に必要なビタミンKが豊富なだけでなく、カルシウムも含んでいます。牛乳や乳製品よりは少ない量ですが、たくさん食べても問題がないため、肥満予防にもなります。

魚を食べないことが多い

魚は肉と同じぐらいのタンパク質を含むほか、カルシウムも豊富で、脳の働きを助けるDHAには、血液の流れもスムーズにします。骨をしっかり成長させるためには、カルシウムだけでは不十分です。カルシウムを体に吸収させるためにはビタミンDが必要で、また鉄や亜鉛など体を調整する働きをする栄養分は、丸ごと食べられる小魚に豊富に含まれています。

卵を食べないことが多い

卵は総合栄養食といわれており、ビタミンだけでなくミネラルも豊富です。またタンパク源としてもおすすめの食材です。コレステロールを気にして食べさせないといった人もいますが、卵がコレステロール値に関係するという説は今は間違いとされており、問題ありません。

お菓子を食べることが多い

子供に人気のスナック菓子は、間食などでよく食べさせているという家庭も多いかもしれませんが、カロリーは高くても栄養は全く含まれていません。それだけでなく糖分や塩分が多く含まれ、逆に体に悪い影響を及ぼします。清涼飲料水も糖分が多く、栄養不足です。

子供は新陳代謝が活発で、すぐにエネルギーを消費してしまいますので、スナック菓子やジュースなどでお腹を膨らませるのではなく、3食の食事で不足する分を間食で補うことが必要となります。

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どんな栄養素を摂ればいい?

身長を伸ばすためには、骨にある骨端線を成長させることが必要ということをご紹介しましたが、この部分の成長のためには骨の成分であるカルシウムの摂取が必須です。そうはいっても、カルシウムをただ摂取するだけでは骨にはならないため、カルシウムを吸収し排泄されるのを防ぐビタミンDや、カルシウムを骨に定着させるマグネシウムも要ります。

ただし、カルシウムの役割は骨を丈夫にしますが、骨端線を伸ばすには、新しく骨を作る材料が必要です。その材料がタンパク質です。そしてタンパク質の合成には亜鉛が必要です。さらにタンパク質を活性化させるビタミンKも必要です。このように1つだけの栄養を摂れば骨の成長につながるというわけではなく、色々な栄養素が体のあちこちでその役割を果たすことで、成長の大きな手助けとなるのです。

魔法の栄養はない

身長を伸ばすために、これだけを食べておけばいいという魔法の食べ物はありません。子供の体はその時に食べたものでしか成長できないため、この時期にスナック菓子や清涼飲料水に含まれているリン酸を過剰摂取してしまうと、カルシウムが血液中に溶け出してカルシウム不足につながります。

また朝起きた時や、運動をした後などにきちんとエネルギーを補充することも必要です。食事のタイミングがずれると、食べ過ぎにつながり、偏った食事にもつながります。栄養をバランスよく取ることも必要ですが、同時に食事が義務ではなく楽しみなものにならなければ、成長ホルモンの分泌にも影響します。例えば昼のランチなどでピザやファストフードを食べたとしても、朝食や夕食、間食で不足分を補えることができれば問題はないのです。

背伸ばすために摂りたい食べ物一覧

身長が伸びるための魔法の食べ物はありませんが、骨の成長を助けるためにも、カルシウムとマグネシウム、そしてタンパク質に加え、亜鉛やビタミンD、Kを多く含む食べ物を意識してきちんと食べるようにしましょう。

カルシウムを豊富に含む食べ物

  • 乳製品や大豆製品:ヨーグルト(糖分を含まないもの)、牛乳、豆腐、厚揚げ、納豆など。豆腐は木綿豆腐の方がカルシウムが豊富です。
  • 魚や海藻類:しらすや干しエビ、うなぎの蒲焼き、イワシの丸干し、ひじき、わかめなど。
  • 野菜類:小松菜、ほうれん草、チンゲンサイ、切り干し大根など。

マグネシウムを豊富に含む食べ物

  • 豆類:豆腐や納豆、インゲン豆など。
  • 魚や貝類、海藻類:牡蠣、アサリ、しじみ、しらす、イワシの丸干し、アオサ、青のりなど。
  • ナッツ、ゴマ類:落花生、クルミ、ごまなど。
  • 野菜類:ゴボウやほうれん草など。

タンパク質を豊富に含む食べ物

  • 肉類:脂質の少ない赤身やささみなど。
  • 魚類:鉄分や亜鉛が豊富な赤身魚、低脂質で高タンパクな白身魚、DHAやEPAが豊富な青魚などをバランスよく食べるのがおすすめです。
  • 大豆製品:植物性タンパク質である大豆はもちろん、加工品の豆腐や納豆にもタンパク質が豊富です。
  • 乳製品や卵:牛乳やチーズ、ヨーグルトなど。卵は鶏卵だけでなくウズラの卵などはお弁当にも使えます。

ビタミンDを豊富に含む食べ物

  • キノコ類:しいたけやシメジ、きくらげなど。
  • 魚類:イワシ、さんま、かつお、ブリなど。

ビタミンKを豊富に含む食べ物

  • 野菜類:小松菜やほうれん草など緑黄色野菜。
  • 海藻類:わかめ、岩のりなど
  • その他:納豆やお茶にも豊富に含まれます。

全ての栄養をバランスよく、また必要な量をしっかり食べるのは大変です。また今回ご紹介した栄養素を含む食事だけでなく、取り込んだ栄養素をエネルギーに変えるビタミンB群もしっかり摂る必要があります。不足分はサプリメントで補う方法もありますが、できるだけ必要な栄養は食事で摂るようメニューを工夫するなどしましょう。