子どもの身長が伸びる乳児期から思春期にかけての期間は、睡眠を取っている時間が、とても大切です。「寝る子は育つ」と言いますから、睡眠が大切なことは知っている方も多いでしょう。

しかし単に睡眠時間を確保するだけでなく、この時間にどのような寝方をしているかも大切だとご存じでしょうか?誤った寝方をしていると、せっかくの睡眠も身長の伸びを阻害してしまうかもしれないのです。

人生のうちで身長が伸ばせる期間は、ほんのわずか。この期間でしっかり背が伸ばせるように、望ましい寝方について知っておきましょう。

身長の伸びと睡眠の関係

お子さんの健やかな成長には、バランスの良い栄養・適度な運動・質の良い睡眠のいずれも、とても大切です。特に身長を伸ばすという観点で言うと、睡眠が重要になってきます。

身長が伸びる仕組み

身長が伸びるのは、骨が成長するからです。骨は「骨端線」という骨の端に存在する軟骨にある細胞が骨になっていくことで成長していきます。

骨は破骨細胞によって古いものが壊され、骨芽細胞によって新たな骨が形成されていくという新陳代謝を繰り返しています。新しい骨が作られる動きが活発になれば、骨がどんどん伸びていくわけですので、背が伸びます。

骨端線は人間がみな持っているものですが、成長期を過ぎるとやわらかさがなくなってきて、だんだんと伸びなくなってきます。身長を伸ばすためには、骨端線がやわらかく、伸びる時期である成長期にしっかり伸ばしてあげる必要があるのです。

睡眠と成長ホルモン分泌

骨端線が骨になる際に必要になるのが、「成長ホルモン」です。私たちは睡眠中に成長ホルモンを分泌します。人間が分泌する成長ホルモンの約3分の2は睡眠中に分泌されていると言われています。

成長ホルモンは、子どもの場合、骨に働きかけ、背の伸びを促進します。背の伸びが止まった大人にとっても、骨をはじめとした代謝の調節を行います。

成長ホルモンが骨に働きかけると、骨端線が伸び、身長を伸ばすことにつながると考えられています。成長ホルモンは睡眠中のうち深い眠りに入ったときに分泌されるので、質の良い眠りを確保することが大切です。

身長と寝方の関係は?

成長ホルモンの分泌が活発な睡眠中は背を伸ばすチャンスの時間帯と言えます。ただしただ寝れば良いということではなくて、その間にどのような姿勢をしているかによって、背を伸ばしやすくも、伸ばしにくくもしてしまうのです。

寝方によっては骨端線が伸びようとするのを阻害してしまうので、寝方も身長を伸ばすのには大切であることがわかります。

高い身長に導くためには、睡眠中に限らず日頃から良い姿勢を意識したいですよね。スマホやゲームをする機会も増え、子どもも猫背になりがち。

前かがみの姿勢は内臓を圧迫して消化器官の働きを鈍化させてしまいます。せっかく食事から摂取した栄養が、身体にうまく行き渡らなければ背を伸ばすために必要となってくる成分もうまく使えなくなってしまいます。

身体を縦方向にスッと伸ばすような気持ちで、背筋を伸ばし手足をまっすぐにして良い姿勢をして寝ていると良いでしょう。

広告

どんな寝方が良い?

成長ホルモンが骨にある骨端線を伸ばすので、睡眠中にこの働きを阻害しないように寝ることが大切です。寝方によっては骨の伸びを阻害してしまうのです。

良い寝方

仰向け

仰向けの姿勢は骨が伸びた状態ですから、骨の伸びを阻害しにくい良い姿勢です。

うつ伏せ

子どもはうつ伏せ寝をすることも多いですよね。うつ伏せは身体が丸くなりにくいため、背を伸ばすには良い寝方と言えます。

良くない寝方

横向き

横向きに寝るとポーズとしては安心できる体勢なのですが、背中が丸くなりやすいため、骨の伸びに関してはあまりよくない寝方です。

丸くなる

猫のように丸まる姿はまるでお母さんのおなかの中にいるかのようで、安らぎそうではあるのですが、背骨が丸まってしまうため、あまり良くありません。

睡眠をしっかりとること自体も大切

身長を伸ばすために睡眠で意識したいことをまとめると、こちらです。

  • 睡眠時間をしっかり確保すること
  • 熟睡して、深い眠りの時間を得ること
  • 睡眠中に骨端線が伸びるのを阻害しない姿勢を取ること

これらを実現するために、眠りの環境を整えましょう。

睡眠時間をきちんと確保する

現代の子どもは忙しいスケジュールに追われ、睡眠時間も短くなりがちです。小中学校くらいまでは9時間程度の睡眠時間をとることが理想です。早寝を意識しないと、9時間の睡眠時間を確保することは難しいでしょう。

睡眠時間をある程度確保しようと思ったら、規則正しい生活を送り、良いリズムが刻めるようにすることが大切です。そうしないと、だんだんと夜型になってきてしまって、寝るべき時間になっても眠くならないということも起こりえます。

眠気は、自律神経のうち副交感神経が優位になると訪れます。そのため、眠る直前までスマホをいじっていたり、テレビをつけていたり、部屋の明かりが明るいままだったりすると交感神経が優位のままの興奮状態が続き、うまく入眠できません。

またスマホやテレビなどは寝る直前まで、脳に刺激を与えて興奮させてしまいます。横になっても頭に考え事が巡ってなかなか眠れないというのは大人と同じですから、やはり寝る前にはできるだけスマホやテレビから離れる時間を持って、自然に眠りに入れる環境を整えましょう

寝る時間の30分くらい前までに入浴を済ませておくと、より良いでしょう。人は身体が温まった後にゆるやかに体温が下がってくると、眠気を感じやすくなります。入浴タイミングにも気をつけて自然と入眠できる環境を作り、質の良い眠りに導いてあげましょう。

寝具を整える

寝方が骨の伸びに影響するので、寝具選びにも気を配りたいところです。狭いベッドではまっすぐの姿勢を取りにくくて自然と丸まってしまうので、広いスペースを用意します。

マットレスが柔らかすぎると、寝返りが打ちにくくなってしまいます。寝返りをすると身体の歪みが修正されるのでまっすぐに身長を伸ばしていきたい場合には、寝返りを打ちやすい環境も大切。適度な硬さのマットレスや高反発のものを準備すると良いでしょう。

心地の良い寝具を調達すると、お子さんも喜んでベッドで過ごす時間が長くなってしまうかもしれません。ベッドの使い方の理想は、寝る時間以外はベッドを使わないことです。ゴロゴロとベッドで過ごす時間が長いような生活では、睡眠にメリハリがつきにくくなりますので、止めましょう。

睡眠時は適度な空腹が大切

成長ホルモンがうまく分泌されるためには、寝ている間の血糖値は下がっている状態が良いでしょう。そのため、夜食のように寝る時間に迫ってから食事をするのは、睡眠中の成長ホルモンの分泌には悪影響です。

消化には時間がかかりますので、寝る時間の2〜3時間前には食事を済ませておくようにしましょう。

昼寝時間をとり過ぎない

日中、急激に動いた後などにお子さんがどっと眠気に襲われることはよくありますね。やはり昼寝が長すぎると夜、なかなか眠れなくなります。昼寝は30分以内くらいのごく短時間で切り上げるようにして、夜の睡眠を妨げないようにしましょう。

まとめ

身長の高低は生涯ついて回ることです。人によってはコンプレックスにすらなること。しかし身長が伸ばせる期間は一生のうちで限られていますから、この時期に適切な方法を取って身長を伸ばしておくことが大切です。

後悔しても取り戻せないので、お母さんも一緒になって身長を伸ばす手助けをしてあげてください。