妊娠初期はお腹の膨らみはほとんど見られないのに、身体は確実に変化をしている時期ですよね。内外の環境に今までより敏感になり、些細なことでも気になったり心配になったりするのではないでしょうか。
腹痛が見られることも珍しくありませんが、痛みを表現するのは難しいですよね。少し痛むけれど病院に行くほどではないのかもしれないと、一人で不安を抱えてしまうこともあるのではないでしょうか。
大切な母体と胎児のために、くれぐれも無理は禁物。でも容易に病院に行くこともできない環境であれば、「この痛みはよくあること?危険?」という情報によって、少し安心できるかもしれません。
妊娠初期に起こりやすい腹痛にはいくつかのパターンがありますので、見てみましょう。
妊娠初期の身体の変化
妊娠初期とは、主に妊娠4ケ月くらいまでを指しますから、ご自身にとっては身体の変化に大いに戸惑う時期だと思いますが、外見的な変化はあまりない時期にあたります。この時、身体の中ではどのような変化が起こっているのでしょうか。
血流量の増加
胎児や胎盤を持つ子宮が大きくなることによって多くの血液を必要とする時期です。そのため妊娠していないときと比較して3~5割、血流量が増加します。
子宮の変化
子宮の変化は当然ながら顕著に起こります。急激に子宮が大きくなっていきます。
ホルモンの変化
妊娠を維持するホルモンが分泌されます。ヒト絨毛性ゴナドトロピンやプロゲステロン、エストロゲンといったホルモンの分泌増加が知られています。
泌尿器系の変化
血流量が増えるこの時期は、腎臓での処理量も増えるため腎機能が向上します。膀胱が子宮のそばにあることから、子宮が大きくなると膀胱スペースが圧迫され、頻尿になるといったこともよく見られます。
妊娠初期の腹痛の原因と痛み方
身体の変化に伴って起こる腹痛をご紹介します。自己判断は危険ですから不安な点はお医者様に相談することをお勧めしますが、急激で短時間の痛みではない場合には、過敏になりすぎることなく、妊娠に伴ってご自身の身体が変化しているという実感を持って受け止めると良いでしょう。
子宮の拡大による腹痛
妊娠にともなう子宮の拡大によって、子宮の周りの筋肉に圧迫されるなどして、腹痛を感じることがあります。「お腹が引っ張られるような痛み」があり、それほど強い痛みではありませんが、鈍痛といった具合でしばらく継続します。
下痢や便秘を伴う腹痛
妊娠によってホルモンバランスが変化しますので、その影響により胃腸の働きが鈍くなることもあり、下痢や便秘を起こしやすくなります。むくみを起こしやすくなるプロゲステロンの増加は生理前と似た状況なので、生理痛に似たような感覚の痛みを感じます。
腰痛や頻尿を伴う腹痛
子宮が大きくなると周りの臓器が圧迫されたり、靭帯が引っ張られたりするため、何となく重いような鈍い痛みがお腹全体に広がることがあります。このときは該当する範囲が広いのでお腹だけでなく腰痛を伴ったり、膀胱が圧迫されることで尿をあまり溜めておくことができないため頻尿になったりします。
こんな腹痛は要注意
妊娠初期によく腹痛が起こるからといって、どんな痛みでも気にしなくてよいわけではありません。特に気をつけていただきたいのが、いつもの鈍痛とは異なり下腹部が締め付けられるような、強い痛みを感じる場合です。
妊娠初期で怖いのは、卵管の破裂や流産、子宮外妊娠といった症状。ですからこれらの兆候と思われる痛みについては、いち早くお医者様に相談しましょう。特に気をつけたいのが出血をともなう場合で、大変危険な状態です。
腹痛が起きた時の対処法
妊娠初期の腹痛はよくある痛みだとわかったところで、痛みがなくなるわけではありませんよね。痛いからといって容易に痛み止めなどを服用できない妊娠中の身体では、どのように痛みに対処したら良いのか、悩むことと思います。
もっとも多く見られる子宮拡大を原因とする腹痛の場合には、できるだけ楽な姿勢をとって過ごすようにしましょう。できるだけお腹に力が入らないような姿勢を取ります。また下半身を温めるようにするのも効果があります。
下痢や便秘に悩まされている場合には、食物繊維やオリゴ糖を摂り、便通を整えます。気をつけたいのは、不溶性食物繊維を摂り過ぎるとかえってお腹が痛くなったり下痢が進んだりする場合があること。水溶性食物繊維は比較的穏やかに作用してくれます。
水溶性食物繊維の摂取には、果物や海藻類が適しています。酸味のきいた果物はつわりで悩んでいる妊娠初期にも比較的食べやすい食材ですから、身体を冷やさないように気をつけながら上手に取り入れていきましょう。