新生児期の赤ちゃんに見られる「生理的体重減少」はなぜ起こるの?

新生児の赤ちゃんはとても小さく、一生懸命母乳やミルクをあげているのに、なぜか体重が減ってしまっているとママは不安になります。母乳の出が悪いのか、ミルクが足りないのか、どうしていいのかわからなくなってしまいますよね。

これは、全ての新生児に起こる「生理的体重減少」です。いったいどういうことなのかをご紹介いたします。なぜこういった減少が起こるのか、体重が減少する他の理由なども併せてご紹介いたします。

広告

生理的体重減少とは?

生まれたばかりの新生児の赤ちゃんに起こる現象「生理的体重減少」。赤ちゃんは生まれると、ミルクや母乳を飲みます。当然体重は増えるものだと思いこんでしまいます。ですが、生後3日目までは、母乳やミルクを飲んでいても体重が減ってしまいます

初めての出産を終えて安心したのもつかの間、なぜか体重が増えずに減ってしまう赤ちゃんが心配になってしまうママもいます。ですが、大丈夫なのです。これは自然なことなのです。

減ってしまった体重も、退院する頃、長くても約2週間程度で出生時の体重まで戻ります。その後、赤ちゃんによっても多少の差はありますが、毎日20~30gぐらいずつ体重は増えていき大きく育っていきます。

生理的体重減少率については、

(生まれた時の体重-測った時の体重)÷生まれた時の体重×100

という式で求めることができます。これで計算された数字が5~7%程度であれば、それは標準なので心配する必要はありません。産後入院中の赤ちゃんの体重の増減は、病院側でもしっかりとチェックしてもらえますので、わかっていても心配になった時は、助産師さんに相談してみましょう。

新生児期の赤ちゃんに見られる「生理的体重減少」はなぜ起こるの?

生理的体重減少はなぜ起こる?

生まれたばかりの小さな赤ちゃんは、母乳やミルクをしっかりと飲んでいても、それ以上に出ていく物の方が多くなります。胎便(うんち)やおしっこ、汗や皮膚や呼吸をすることで出ていく水分の量の方が、母乳やミルクよりも多いからなのです。

ミルクはどのくらい飲んでいるか目に見えて判断できるものの、母乳は出た量、飲んだ量がわかりません。特に、産後のママの母乳はスムーズに出ないことの方が多いので、吸っている割にはそれほどたくさん出ていないということはよくあることです。

日が経つごとに、ママの母乳もしっかりと出るようになり、赤ちゃん自身の吸う力も強くなり、飲める量も増えてきます。一時的に現象した体重も、次第に元に戻り、増えていきます。

生理的体重減少というのはあくまでも一時的なものです。生後日数が経つと、健康な赤ちゃんの体重は増えていくので、あまり深刻に考えすぎないようにしましょう。

広告

他の理由で体重が減少していることも…

生理的体重減少とは違った理由で、赤ちゃんの体重が増えずに減ってしまうことがあります。

母乳が不足している

赤ちゃんの体重が増えずに減ってしまうのは、母乳が不足していることが考えられます。赤ちゃんは寝ているだけですが、生きる為に日々エネルギーを消費しています。栄養が不足していると体重は減ってしまいます。

母乳は一度の授乳でどれだけ出ているのかがわかりません。赤ちゃんの体重をしっかりと毎回測れば、おおよそどれだけ飲めたかを推測することはできます。ですが、頻繁に授乳しないといけない時期に、毎回授乳後に体重を測るのもむずかしいですよね。

完全母乳育児にこだわっている方もいますが、それでは栄養が不足することもあります。母乳育児が推奨されていますが、母乳の出には大きな個人差があります。たくさんの栄養を必要としている赤ちゃんの為にも、ミルクを使って混合という方法もとることをおすすめします。

病気

ミルクも使ってしっかりと飲んでくれているのに、なぜか体重が増えないということがあります。これは何らかの病気が関係している可能性があります。退院して自宅に戻り生活が始まると、いろんな菌やウィルスに感染する可能性も出てきます。

発熱や嘔吐、下痢、咳、鼻水、ミルクや母乳を飲まない、機嫌が悪い、などあきらかにおかしい症状が見られる場合は、できるだけ早く小児科などを受診するようにしてください。

生後半年程度はママから与えられた免疫があるとはいえ、やはり風邪や病気になることはあるのです。過信せず、少しでもおかしいと思ったらすぐに医師に相談しましょう。

生活環境

育児が始まり、ママは家事や育児、睡眠不足な日々にストレスがたまりがちになります。そこへ、祖父母からの干渉なども重なり、母乳の出が悪くなったりすることがあります。

母乳の出が悪くなると、当然、赤ちゃんに十分な栄養が与えられなくなり、体重も減少してしまいます。また、ママの心の変化を赤ちゃんは敏感に感じ取ってしまいます。

ママにとっても、赤ちゃんの成長にも影響を与えてしまいます。相談できる方がそばにいるなら、相談して、溜め込まないようにしましょう。また話を聞いてくれる人がそばにいないなら、出産した産婦人科などで公的機関を紹介してくれたりもします。一人で悩まず、そういった所を利用するようにしてください。

新生児期の赤ちゃんに見られる「生理的体重減少」はなぜ起こるの?

体重が増えない時は早めに対処を

体重がなかなか増えないということは、赤ちゃんのその後の成長にも影響を与えてしまうこともあります。生後1ヶ月検診でもしっかりと体重の増加はチェックしてもらえますが、その後も自宅で赤ちゃんの体重の増減をチェックするようにしましょう。

赤ちゃん用の体重計がなくても、ママが抱っこをして体重計に乗り、その数字をママの体重から引くことで、おおよその赤ちゃんの体重が計測できます。

母乳育児にこだわるのは悪い事ではありません。ですが、赤ちゃんの発育の為にミルクも上手にとりいれることをおすすめします。また、ミルクと混合にして、哺乳瓶やミルクにもなれさせておくことで、ママが体調不良で突然授乳ができなくなってもミルクで対応することができます。

生後すぐの体重減少は生理的なことで、一時的なものです。ただし、一定の期間を経過しても、体重が増えない時は、早めに産科や小児科で医師に相談することをおすすめします。