育児ノイローゼとはどんなものなのでしょうか。これから出産する方や今実際に育児されている方にどのような症状が出るのかの原因と対処法についてご紹介します。
「育児ノイローゼ」とは?
育児ノイローゼとはどんな病気なのかご存知ですか。育児に関わる様々な事で起きるストレスで精神的に追い詰められている状況を指します。簡単に思う方も多いのですが、うつ状態に似た症状があり時として子供にも危害が加わることもある危ない症状でもあります。
突然の発症という訳ではなく徐々に症状が悪くなるケースがほとんどです。産後のホルモンバランスが乱れているときに育児でかかるストレスで精神や体力が摩耗されていきうつ病のような症状になるのです。精神論だけでは解決できないケースもあり本人以外の周りの人間がおかしいと気づいてあげることが大切です。
精神的に病気になっている状態ということをパートナーがしっかりと理解する必要があります。育児ノイローゼになるということはすでに育児に負担を感じている状態と理解しましょう。
育児ノイローゼの原因と症状
育児のノイローゼがうつ状態にあるということはお分かりになったと思いますが、具体的にどのような症状がでてくるのかご紹介します。
1.ぼんやりとしている事が多い
2.食欲がなくなるまたは、過食傾向にある
3.イライラしている事が多い
4.急に涙が出てくることがある
5.考えがネガティブになる
6.外に出ない
7.人と会って話すことがほとんどない
8.子供をかわいいとは思わない
9.無気力になる
10.寝られない、熟睡できない
うつ病と同じような症状が出ますが、育児ノイローゼとうつ病の違いは原因が違うということなのです。うつ病は主に人間関係で病気になりますが、育児ノイローゼは育児が原因ということになります。望んで産んだ子供なのにどうしてこのような病気になってしまうのでしょうか。
育児ノイローゼの原因
育児ノイローゼになる原因は育児となっていますが具体的にどのような事にストレスを感じているのか挙げていきましょう。
1.新生児の場合2~3時間おきに授乳の為熟睡できない
2.一日多いときでおむつを10回以上替えなければいけない
3.産後間もないときは体力が戻り切っていない中、家事をしなければいけないので体の倦怠感が強い状態が続く
4.日中も眠っている暇もなく炊事や家事をしなければならず、睡眠不足で体が重い
5.兄弟がいる場合歳の差で体力、睡眠時間が違い個々のペースに合わせなくてはならず、自分の体を休める時間がない
6.365日子供と一緒にいるので自分の時間や自分の体を休める暇が全くない
一人で子育てを行っている人はトイレや、食事、睡眠まで自分のためにあるのではなく子供の時間ペースに合わせて行動するしかなく強いストレスを感じている状態です。トイレに行きたくても子供がぐずって行けない、食事をしたくても子供から目が離せない、熟睡したくても子供が夜泣きするので抱っこしなくてはいけないなど常に子供の為に行動しているのです。
この状態が続くと精神的に参ってしまうという訳なのです。
育児ノイローゼになりやすい人、環境
育児ノイローゼになりやすい人はいるのでしょうか。またどのような環境で子育てしていると育児ノイローゼになってしまうのでしょうか。
育児ノイローゼになりやすい環境
1.核家族
2.近くに親がいない
3.旦那様または奥様どちらかが仕事で帰りが遅い
4.気軽に話せる人がいない
社会と孤立するような形で子育てしている人が危険度が高いです。引っ越したばかりで知り合いがいないということも多くなかなか地域になじめないというケースもあるのです。また、中高年の女性から子供がぐずったり泣いたりしているということで「最近の若いお母さんは…」という心のない言葉をかけられたりし、昔の自分の話をもちだしたりするので余計にママ達、パパ達は委縮してしまいます。
半世紀昔は子供も多く、また、子供がいる環境を悪く思わない風潮だったので子育てしやすかったものあります。しかし、今は皆忙しく少しでも時間のかかる状況にイライラしているので子供のいるスペースが社会的に少ないのが現状です。
育児ノイローゼになりやすい人
1.子供と向き合おうと一生懸命している
2.子育てにこれくらいいいか…が自分で許されない
3.気が付いたら旦那(妻)を頼らず一人で子育てしている
4.育児書が子育てのバイブルだ
5.人に本当の自分の弱いところや辛いことは相談しない
6.息抜きの方法を知らない
7.パートナーまたは金銭的、などほかに悩んでいることがある
育児や家事などを一生懸命している人はできていないことやできなかったことを悔やんだり「なんでできないの!」と自分を責めたりします。毎日同じルーティンの繰り返しなので余計にできなかったことが浮き彫りになりやすいのも一つでしょう。自分に当てはまっていませんか。
育児ノイローゼが疑われる場合の対処法
1.パートナーに正直に自分の今の気持ちを伝える
2.無理を承知で親に連絡をして助けを求める
3.都道府県の子育て支援に出向いてみる
4.心療内科を受診する
5.匿名で電話相談をしてみる
以上の5つが対処法になります。一番は「勇気」が必要だということ。こんなことで誰かに相談してもいいのかなと思わないでなんでも話すことで解決するのです。話す前に「たいしたことないなんて言わないでほしい」と断りを入れてから相談してもいいでしょう。自分の心のもやもやを吐き出すことが今のあなたには大切です。
パートナーに正直に自分の今の気持ちを伝える
真面目に取り組んで頑張る方ほど自分の中で解決しようとする傾向にあります。辛い、苦しい、しんどいと少しでも思ったら素直にパートナーに話してみましょう。話してみると自分が今何を感じているのか、何を相手に求めているのかが明確になります。口に出して気持ちを伝えていきましょう。
無理を承知で親に連絡をして助けを求める
両親が遠方に居たり、まだ仕事をしている現役世代だったとしても相談することをお勧めします。親というものは子供が困っている事がわかると助けたくなるものです。もしかしたら土日だけこちらに来てもらえるかもしれません。また、話すことで気持ちが楽になることだってあるのです。言うだけはタダです。ダメで元々なので気兼ねなく今感じていることを話してみてください。親でなくても気心知れた兄弟や友人でも構いません。勇気を出してラインをしてみることも必要です。
都道府県の子育て支援に出向いてみる
全国の都道府県には子育て相談室や、支援センターなどが設置されています。保健師さんや保育士資格を持った相談員があなたの話を聞いてくれるはずです。直接会ってお話するスタイルもあれば電話だけでも大丈夫です。他人だからこそ言いやすいということもあります。
子育て支援センターなどは子供と一緒に参加できるので同じママ友と情報を共有できるメリットがあります。情報や悩みを共有できることによって気持ちが楽になったり、人それぞれの子育ての仕方も知識として聞けるので参考になることも多いのです。自分の子育てと他人の子育ての違いも分かり、楽に子育てができる工夫も聞ける場というものは支援センターならではです。
心療内科を受診する
めまいや立ちくらみも伴うようであれば自身の気分転換では解決できない可能性があります。心療内科がある病院へ受診しましょう。心の病気が体に変調をきたしているサインです。しっかりと医師に診断をもらいお薬で治していく必要があります。授乳を心配する方もおられるようですが、赤ちゃんよりあなたの心が健康になることが優先です。
匿名で電話相談をしてみる
何も考えられずどうしたらいいか解らないという方はまず、匿名でもいいので電話してみましょう。育児だけでなくいろいろな相談も受け付けてくれる相談室もあるので一度お話してみましょう。1人で考えている状況は心を疲弊させます。匿名と言えば相談員はあれこれ聞いてこないので思ったことを素直に話してみましょう。話すだけでも心が軽くなります。
子育ては簡単な仕事ではない
子育てを経験していない方は実感が少ないのですが、子育てほど重労働で神経を使う仕事はありません。小さくても人間を扱っている以上こちらの思う様にはいかないのが現実です。一生懸命に毎日を過ごしているあなたが四苦八苦するのは仕方がないのかもしれません。日々しんどいと思っているのであればどんな方法でもいいので今の気持ちを話す事、「勇気」を持って話してみましょう。