多くの妊婦さんが経験する不快な症状、つわり。代表的には「嘔吐」ですが、人によりほかにも様々な症状がおこります。少しでもつわりを軽く乗り越えるためには、症状に合った対策をとることが大切です。
つわりのメカニズムや症状ごとの乗り越え方をご紹介します。
つわりのメカニズム
つわりとは一般的に妊娠5週ごろから16周辺りまで続く、妊娠をしたことによる不快な症状です。ほとんどの方に生じますが症状も重症度もさまざまで、まれに全く症状が現れない人もいます。
なぜつわりの症状が現れるのか、実ははっきりとしたメカニズムはわかっていません。有力ないくつかの説をご紹介します。
ホルモンバランスが崩れる
妊娠をすると、妊娠した状態を維持するために女性ホルモンが通常とは違う働きをします。それによりホルモンバランスが崩れやすくなります。ホルモンは体に様々な指示をする働きがあり、女性ホルモンが乱れることで胃や食道の動きが低下してつわりの症状が現れる、とされます。
赤ちゃんを異物とみなす
また、体の中で成長を続ける赤ちゃん(胎児)を異物とみなし、それによるアレルギー反応の一つとしてつわりがおこるとされる説もあります。
その他
その他にも、精神的ストレスなどの心的原因、胎盤から分泌されるhCGが嘔吐中枢を刺激するためなどが原因でつわり症状が現れるとされます。
つわりの症状
つわりの症状は一般的に「吐き気」のイメージですが、それ以外にも、眠気や唾液過多、頭痛、倦怠感などがあります。
妊娠初期の妊婦の50%から80%に症状が現れますが、12週から16週ごろに自然におさまるのがほとんどです。
つはりは人により症状の重い軽いがあります。非常に重い場合は「妊娠悪阻(にんしんおそ)」といって治療が必要になり、症状によって通院か入院が必要となります。食事が摂れず体重が5kg以上減少する、1日中吐く、脱水症状がみられるなどの症状が現れたら早めに受診しましょう。
つわりの乗り越え方
つわりの症状によって乗り越え方は違いますが、共通しているのは「無理をしない」こと。赤ちゃんがおなかの中ですくすく育つことができるように、可能な限り無理をせず、穏やかに過ごしましょう。
多くの妊婦さんを悩ませるつわりの代表ともいうべき症状が、吐きづわりです。
食べると気持ちが悪くなる吐きづわりは、ひどい時には食べたものが栄養になりにくく、やせたり栄養失調になってしまいます。それを避けるためにも、まず食べられるときに食べたいものを食べるようにしてください。
本やメディアで妊娠中に食べるといい食材などが紹介されていますが、つわりの間は過度に気にしないようにしましょう。
つわり中は嗜好が全く変わる人が多いようで、人によっては「チョコレートなら食べられる」または、あま栗、焼肉弁当など、おかしなくらいピンポイントで口にできる食品があります。食べたいもので満たしつつ、食べられそうなら食事をする、くらいのゆとりを持ちましょう。つわりの症状を和らげてくれる食べ物の記事もご参考にしてください。
必ず口に入れてほしいのが水分です。脱水にならないように、水や麦茶を飲むようにしてください。
冷えること、また匂いをかぐことでつわりを悪化させる恐れがあります。つわりを乗り越えるためにも、体を温め、香りのする料理は冷まして匂わないようにして食べるなどの工夫をしましょう。
関連記事:つわりがピークを迎える時期の過ごし方
吐きづわり以外のつわりの乗り越え方
つわり中には「食べて吐く」だけでなく、食べていないと気持ちが悪くなる、ひどい眠気に襲われる、唾液が大量に出るなど、妊娠時特有の不快な症状が現れる人もいます。
食べづわり
食べづわりは吐きづわりと反対で、食べていないと気持ちが悪くなるという症状です。食べていれば吐き気は収まるので一見よさそうですが、食べ過ぎによる体重増加、また妊娠糖尿病などの疾患の原因にもなるので注意が必要です。
対策としては、1回の食事の量を減らして回数を増やすなど、いつもの食習慣にとらわれないことが大切です。食事の時間が長くなるような工夫も有効で、例えば野菜を大きめにカットしてかために調理すれば歯ごたえがあり、自然とゆっくり食べるようになります。ゆっくりと回数を増やした食事で、満足感を味わうよう工夫しましょう。
また食事内容では脂っこいものや甘いものは大量に食べないようにし、野菜を多めにとるようにしましょう。野菜スープや野菜スティックなどがおすすめです。野菜に含まれる食物繊維は糖尿病の予防にも効果的なので、おなかがすいたら野菜を多く含む料理や加工品を摂るよう心がけましょう。
眠りづわり・よだれづわり
その他には眠りづわり、よだれづわりなどがつわりの症状として挙げられます。
眠りづわりはとにかく眠気に襲われます。一番いい対策は眠ることですが、仕事をしていて眠ることができない人もいますね。寝づわりは一般的なつわりのイメージと比べて客観的には楽そうにみえてしまうので周りの理解を得にくいのが難点ですが、できるだけ周りの人に説明して理解を求めるようにしましょう。ガムをかむ、冷たい水を飲む、少し体を動かすなどすると多少眠気も落ち着きますよ。
よだれづわりは別名「唾液過多症」とも呼ばれます。ただ増えるだけではなく、飲み込めない量の唾液が出る、出てくる唾液で吐き気をもよおすなどのつらい症状が現れる場合には対策が必要です。
対策は、ずばり「吐き出す」。家では洗面器を用意して常に吐き出せるようにする、また外出先ではカバーを付けたペットボトルにそっと吐き出すようにしましょう。唾液を吐き出すことで脱水症状の心配がありますので、水分摂取は欠かさず行ってください。量が多く期間があまりにも長い場合は、無理をせずお医者さんに相談しましょう。
つわりの時はとにかく無理をせずに、楽に乗り切ることを考えてください。ストレスはつわりにも赤ちゃんにもいい影響を与えません。つわりの後には楽しいマタニティーライフ、さらに待望の赤ちゃんとのご対面が待っていますよ。