毎年夏になるとニュースになる「熱中症」。大人でも油断するとすぐになってしまいますが、小さな子供やお年寄りの方はとくに注意が必要です。子供のいらっしゃるご家庭には、熱中症の症状などについて正しい知識をもっておくことが必要です。
そこで今回は、熱中症についてその重症度や子供の熱中症の症状などを詳しくご紹介いたします。さらに熱中症が疑われる場合はどう対処するべきなのか、何をしないといけないのか、なども併せてご紹介いたします。
熱中症の重症度
熱中症の重症度は大きく3つに分けられています。それぞれの症状や対処法などを詳しくご紹介いたします。
軽度(Ⅰ度)
「熱失神」「日射病」とよばれるものがこれにあたります。大量の汗が出て、立ち眩みやめまいなどがおこったり、こむら返りや筋肉痛などが起こったりします。まだこの段階では意識はあります。
とにかく涼しい日陰などで体を冷やし、水分だけでなく塩分も一緒にしっかりと補給していきましょう。しばらく休んでも症状が改善されない場合は、早めに病院を受診してください。
中等度(Ⅱ度)
「熱疲労」と呼ばれる程度になります。ここまでくると、嘔吐や倦怠感、頭痛や判断力の低下、虚脱感、失神などが症状として現れます。自分の名前が言えなくなるなどの軽い意識障害も起こります。皮膚は冷たいのですが、体温は高い場合で39度まで上がっているケースもあります。
日陰などの涼しい場所に移動し、衣類を緩めてあげて水分と塩分を補給します。そのまま病院に運んであげて診察を受けるようにしてください。
重度(Ⅲ度)
中等度の症状に痙攣・意識障害・運動障害・過呼吸やショック症状などを引き起こします。身体はかなり熱くなっており、熱射病と呼ばれる状態になります。すでに自分では動けない状態にあり、呼びかけなければ目を開くこともできないほどです。
まずは涼しいところに運んで体を冷やします。すぐに病院へ搬送し入院治療が必要になります。救急車を呼んで一刻も早く運んであげるようにしましょう。
以上のように3つに分類されていますが、熱中症の症状は一気に進みます。軽い熱中症と甘くみないで、軽度であっても症状の経過を注意深く周りの方が見てあげることが必要です。ぜったいに熱中症患者を一人にするようなことはしないでください。
子供の熱中症の症状は?
子供が熱中症になった場合の主な症状としては・・・、
・しんどそうな様子である
・頭痛(ずきずきする・ガンガンする)
・腹痛
・下痢
・嘔吐(吐き気)
・手足のしびれ
・めまい(目が回っている、ぐるぐるすると訴える)
・発熱
・寒気
・鼻血
・ふらつき
・身体が痛い
・元気がない
・大量に汗をかく
・目の焦点があわない
といったものがあげられます。ただ暑いからグッタリしているというよりも、明らかにいつもと違った様子になることが多いです。軽視せずに、屋外でも屋内でもこういった症状を子供が訴えてきたら、経過を注意してみてあげるようにしてください。
また、子供の熱中症の症状も一気に進行することがあります。重度になると、意識がなくなり痙攣などの症状がでるお子さんもいらっしゃいます。こういった時は早急に病院につれていくようにしてください。親御さんが連れていってもいいですし、お子様の様子を見ながら、救急車にきてもらうといった方法もとるようにしてください。
熱中症が疑われる場合は?
軽度の場合
屋外にいるときに熱中症が疑われる場合は、まずは涼しい所(日陰)に移動させてあげてください。すぐにクーラーなど冷房がきいている所にうつすのがベストです。
まずは一番ラクな体勢にしてあげて服を脱がしてから、水で絞ったタオル類や保冷剤などがあればそれをガーゼなどにくるんで、左右両方のわきの下と太ももの付け根、首のリンパ節部分に当てて体を冷やしてあげてください。
体を冷やしながら、水分補給させてあげましょう。一番いいのは、経口補水液やスポーツドリンクなのですが、子供が飲みやすい物(飲めるもの)を与えてあげてください。
体が熱く、熱があるようでも解熱剤などを使って無理に熱を下げず、体を冷やしてしっかりと水分と塩分を補給させてあげることで、次第に熱も下がっていきます。そのまましばらく経過を注意してみながら、万が一症状が改善されない場合は、早めに病院の方で診てもらうようにしてください。
中等度・重度の場合
中等度の場合、軽度の処置を行いながら病院に連れていって診察してもらってください。重度の熱中症が疑われる場合は、早急に病院での治療が必要となります。救急車を呼ぶなどして一刻も早く医療機関に運んであげてください。
症状が軽いうちは自宅療法で改善されるケースが多いです。ですが、頭痛や嘔吐(吐き気)、だるさや体に力が入らない、といったことを訴える場合は症状も中等度になります。できるだけ早く病院に連れていくようにしましょう。
子供の熱中症を防ぐための対策について
こまめな水分補給
屋外はもちろんですが、屋内にいてもこまめに水分補給をしてあげましょう。喉が渇いていなくても、定期的に水分を摂るように声掛けをして補給させてあげることが大切です。
日よけ対策
衣類は通気性が良い物を選び、外出時は必ず帽子を被せましょう。帽子をいやがる子供もいます。ですが、自分が気に入って買ったものならかぶってくれることもありますので、日差しが強くなる前に子供と一緒に買いに行くことをおすすめします。
暑さに体を慣らす
いつも冷房のきいた部屋にいると、どうしても暑さに弱くなってしまいます。普段から適度な運動をして汗をかくことが、暑さに負けない体づくりにもつながります。
照り返し
子供はどうしても背が低いため、太陽の照り返しの影響を受けやすくなります。外出時は子供の様子をしっかりとみながら、こまめな休憩や水分補給は必須です。
グッズの使用
ドラッグストアなどでも夏場によくみかける「冷感タオル」や「冷却スプレー」などの使用もおすすめです。冷感タオルを首にかけているだけで体を冷やすことができます。また、衣類に吹き付けるタイプの冷却スプレーなら、手軽にクールダウンさせてあげることができます。
室内でも熱中症になる!
熱中症について特集を組んでいる番組などではよくいわれていますが、室内にいても熱中症になる恐れはあります。冷房の効いたお部屋にいたとしても、子供は代謝もいいので汗をかきます。しっかりと水分補給をするように声掛けをしてあげることが大切です。
子供の熱中症は、親や周りの方が注意してみてあげることで防ぐことができます。暑いとそれだけで体力を消耗しますので、しっかりと十分な睡眠をとらせてあげてください。また、朝食はしっかり食べることも熱中症を防ぐためには必要です。
子供が熱中症にならないように予防と、なってしまった時の対処法をしっかりと覚えておくことをおすすめします。