冬から春先にかけて流行することの多いノロウイルス。感染力が強く、抵抗力の弱い子供や高齢者がかかった場合には、重症化してしまうこともあります。赤ちゃんが感染した際には、その症状を見極め、早めに病院に行くと共に、正しく対処して悪化や他の人への感染を防ぐようにする必要があります。そこで今回は、ノロウイルスへの対処法や予防法について詳しくご紹介します。
赤ちゃんのノロウイルスの症状や原因
ノロウイルスとは、感染性胃腸炎を起こすウイルスのことで、例年10月頃から流行し、12月から1月がピークとされます。
ノロウイルスの感染源
ノロウイルスはウイルスに汚染された牡蠣などの2枚貝、もしくは汚染された水を使った食事から感染するため、赤ちゃんが感染源となることはなく、感染した人からうつる二次感染から発症します。
調理による感染
感染した人が調理をした際に、触れた食べ物や食器、調理器具からウイルスが感染します。
汚物との接触による感染
ノロウイルスに感染した人の便や、吐いたものを処理した際に、手や指にウイルスがつくことから感染します。
汚物の飛沫による感染
吐いたものを処理した際、消毒が不十分、また処理し残したものが乾燥し、空気中にウイルスが飛散すると、それを吸い込んでしまい感染します。
大人は感染して下痢や腹痛を起こしても、1日か2日ほどで症状が落ち着き自然に治ることがほとんどですが、抵抗力のない高齢者や子供は、感染し発症すると下痢を何度も繰り返し、脱水症状などを引き起こすことも。感染しても症状が発症しない人や、症状が軽い場合でも、ふん便には発症した人と同じぐらいのウイルスがあるため、二次感染の可能性が高くなります。
赤ちゃんのノロウイルスの症状
激しい嘔吐
水のように激しい嘔吐を何度も繰り返します。水も食べ物も受け付けず、連続して起きるため、脱水症状を引き起こすこともあります。
水のような下痢
水っぽく、白い下痢を繰り返します。お尻がしめってかぶれを起こすこともあります。
発熱
38度ほどの発熱があり、悪寒がするため不機嫌になります。
ノロウイルスは特効薬や予防する薬などがありません。また免疫もつきませんので、近くの人がノロウイルスに感染し、感染を繰り返す可能性もあります。赤ちゃんがノロウイルスかもしれないときには、早めに病院に行くと共に、周りの人も感染していないか診察を受けるようにしましょう。
ミルク・離乳食・飲み物は?
赤ちゃんがノロウイルスに感染した場合の対処法についてご紹介します。
ミルクはあげても大丈夫?
ノロウイルスに感染した場合、口に入れても嘔吐したり下痢をするため、ミルクを飲ませていいものか心配になりますが、母乳やミルクを飲ませることは問題ありません。ただし手指などにウイルスがついている可能性もありますので、飲ませるときにはきちんと手を洗うのを忘れないようにしましょう。
ただし嘔吐が激しいときには、飲んでも吐き出すこともあるため、少量に分けて飲ませるようにします。
離乳食はあげても大丈夫?
ミルクと違い、離乳食は受け付けないことが多いため、嘔吐や下痢を繰り返している間は食べさせずに様子を見ましょう。食欲があるようなら、いつも作っているものより柔らかくしたものを、様子を見ながら少量ずつ食べさせてみます。
飲み物はジュースでも大丈夫?
ジュースは体を冷やしたり、胃に負担がかかることがあるので、飲ませるなら冷ました重湯程度にしておきましょう。
嘔吐と下痢を何度も繰り返すため、脱水症状になりやすいので、病院で指示を受けながら飲み物や食べ物を与えるようにしましょう。なお、下痢止めなどを家庭で飲ませると、かえって症状がひどくなりますので、病院でもらった薬以外は使わないようにします。
汚物の処理に注意!
ノロウイルスは強力なウイルスのため、症状が落ち着いても油断はできません。症状が改善した後も1,2週間は特におむつの処理などは十分に注意が必要です。
嘔吐や下痢をしたときの処理
汚物の処理はマスクと手袋は必須
汚物を処理する場合は、ウイルスを吸い込んだり、手につけたりすることのないよう、しっかりと防御することが必要です。部屋の換気も十分にしましょう。
汚物がついたタオルやシーツは熱湯消毒する
吐いたものなどをペーパータオルなどで取ります。汚れたペーパータオルは、ビニールに入れ、きちんと口を締めてから捨てるようにします。その後台所漂白剤を染みこませた布で、しっかり拭き取り、煮沸消毒します。洗うことができないものの場合は、台所漂白剤で消毒した後、ドライヤーなどで乾かします。
洗濯物はしばらく別にする
赤ちゃんの使ったタオルや服は、しばらくは別々に洗うようにしましょう。布団もできるだけ日光の下に干して消毒するのがおすすめです。
ノロウイルスの予防のためにできること
ノロウイルスに感染しないためには、ウイルスを持ち込まないことはもちろん、予防することも大切です。
手洗いはしっかりする
赤ちゃんのおむつを替えた後や授乳の前後はもちろん、帰宅時、調理の前、食事の前やトイレの後にきちんと手洗いをしましょう。消毒用のエタノールを合わせて使うのもおすすめです。
食べ物はしっかり加熱する
85度から90度で1分半以上加熱することで、ノロウイルスの動きを止めることができます。死滅するわけではないので、二枚貝などノロウイルスの危険性があるものについては、赤ちゃんには食べさせないようにしたほうがいいでしょう。食べ残しを再加熱する際などには、特にしっかり火を通すことが必要です。
台所の道具は消毒して使う
洗剤で洗った後、アルコール消毒してから使うようにします。魚や肉はまな板を変えるといった工夫も有効です。
家族みんなが触る場所の消毒をする
ドアノブや手すりなど、家族や家族以外の人も触れることが多いところは、アルコール除菌することも必要です。
保育園や幼稚園からウイルスを持ち帰ってしまうこともあるため、完全にノロウイルスを防ぐことは難しいといえますが、家族間で感染を繰り返さないよう対策は入念におこなってください。