妊娠中の不安要素として流産があります。
流産にはいろいろな種類があり、
その1つに「稽留流産」というものがあります。
流産は妊娠22週目未満で
赤ちゃんがおなかの中で死亡し、
妊娠が終了することを言います。
12週未満の流産の割合が一番高くなります。
稽留流産とは
流産にはいろいろな種類がありますが、
その一つである稽留流産。
稽留流産とは、おなかの中で死んでしまった赤ちゃんが、
体外に排出されずに子宮の中に留まってしまうことを言います。
妊娠5週~6週くらいに起こることが多い流産です。
稽留流産の原因
稽留流産の原因は、
赤ちゃんの染色体に異常があるためと、
赤ちゃん側に原因があると考えられていました。
ところが最近では赤ちゃん側だけでなく
母体の方にも原因があることがわかってきました。
母体側の稽留流産の原因としては
子宮組織の代謝異常が考えられています。
赤ちゃんを育てるための胎盤が
子宮組織の代謝異常のためにうまくできず
赤ちゃんが育たなかったということです。
稽留流産の症状と兆候
稽留流産には自覚症状がありません。
ですから稽留流産の兆候を感じることは非常に稀なことで、
基本的には兆候はないといって良いでしょう。
多くの場合が妊婦検診において
赤ちゃんの心拍が確認できず、
稽留流産と診断を受けています。
中にはこれまでひどかったつわりが
ぴたっとなくなったという方もいらっしゃいます。
これまでと違う変化を感じたら病院を受診しましょう。
稽留流産とつわり
自分では自覚症状のない稽留流産ですが、
急につわりがなくなったことで
流産したことを感じる方もいるため、
つわりが続いているから大丈夫との誤解もうまれています。
稽留流産して、つわりがなくなってしまう方もいれば
つわりが続く方もいます。
稽留流産後もつわりが続くのは、
子宮内に胎盤などの組織が残っているので
妊娠中だと体が判断するからです。
ですから稽留流産とつわりには関係性がないと言えるでしょう。
稽留流産後の治療とケア
稽留流産は赤ちゃんが子宮の中に留まっています。
体内で亡くなってしまった赤ちゃんは
母体からは異物となってしまうため、
手術をして赤ちゃんを取り出さなければなりません。
お母さんの心情を考えると
非常につらい手術になりますが、
いつまでも体内に亡くなった赤ちゃんがいることは、
母体にとってはあまり良いことではありません。
現在日本では、稽留流産後の処置として
二通りの方法が用意されています。
一つが手術をして赤ちゃんを人工的に排出させる方法。
もう一つが自然に赤ちゃんが排出されるのを待つ方法です。
子宮内容除去術
手術で排出させる方法を「子宮内容除去術」と言います。
その名の通り子宮の中にあるものを除去する手術になります。
手術を行う前にまず、
血液検査と感染症検査などが行われ、手術に移ります。
子宮内容除去術は全身麻酔をして30分~40分で終了します。
手術後の入院は不要な場合が多く、日帰り退院となります。
子宮内容除去術は保険適用の手術で、費用は2万円~3万円程度となります。
自然排出
そしてもう一つが自然に赤ちゃんが排出されるのを待つ
自然排出です。
自然排出とは手術によって無理やり排出させるのではなく、
自然に出てくるのを待つという方法です。
欧米ではこの自然排出が多いですが、
日本では圧倒的に手術をして排出させるやり方が一般的です。
ですが最近では自分で選択できる病院も出てきています。
自然排出は少し量の多い生理のような感じで排出されます。
個人差はありますが、痛みが強い場合もあります。
自然排出が起こる時期ですが、稽留流産と診断されてから
1週間~2週間程度となることが多いです。
手術にするか自然排出にするか医師とよく相談して決めましょう。
稽留流産の予防
赤ちゃんの染色体や母体の子宮組織の代謝異常のために
起こってしまう稽留流産。
そんな稽留流産にも予防法があります。
それが適度な運動と冷えを防ぐことです。
稽留流産を経験した方を調査すると、
多くみられたのが運動不足でした。
稽留流産は妊娠6週~7週に多く見られます。
この期間はつわりがひどく、
あまり動けないという方も多い時期です。
ですがつわりの他に健康的な問題がないのであれば、
ウォーキングなどの軽い運動をすることが大切です。
妊娠中の冷えはよくありませんから、
体を冷やさないように外側から温めることも重要ですが、
体を温める効果のある食べ物を食べたり、
しっかりと湯船に浸かったりという工夫をしましょう。
次の妊娠までに開ける期間
稽留流産をしたからといって、
次の妊娠ができないということは決してありません。
すぐにでも妊娠したいと考える方も多くいらっしゃいます。
基本的には稽留流産後に
生理が2回来てからというのが理想的です。
生理周期が安定するまで待つのが理想です。
稽留流産後、生理周期がどのくらいで安定するかは
個人差があります。
次の妊娠を望んでいる場合は、
医師と相談しながら進めていきましょう。
気をつけても起こってしまう流産
まだまだ小さい命とはいえ、
赤ちゃんを失ってしまうことは非常につらいことです。
あまりのショックに
なかなか立ち直れない女性も多いです。
ですが妊娠初期に起きる稽留流産は、
自分ではどうすることもできないことが
原因で起こっていまいます。
自分を責めずに気持ちを落ち着けて
次の妊娠に備えましょう。