妊娠初期にやってくるつわりは、ときに妊娠の喜びを打ち消すほどの辛さではないでしょうか。始まったばかりの妊婦生活が思いやられたり、お仕事をされている方であれば両立が難しくなったりしますよね。
つわりを軽く乗り切るために、少しでもできることがあれば知っておきたいのではないでしょうか。つわりの状態も十人十色。すべてがあてはまるとは限りませんが、ご自身にあてはまることを一つでも見つけて、ぜひ実践してみてください。
つわりの原因と種類
つわりの症状別に種類を挙げてみます。原因と考えられていることは、「現段階で想定されていること」を含めて挙げています。
つわりの原因の全ては解明されていないため、必ずしもあてはまるとは限りません。「あてはまらないなんて自分はおかしいのではないか」などと、ご心配なさることのないようにしてください。
また、ご自身の症状や状態で心配なことがありましたら、自己判断せず、お医者様に相談しましょう。
吐きつわり
吐きつわりは吐き気がして気持ちが悪いという、よく知られているつわりの代表的な症状を持つものです。
原因として考えられているのは、妊娠という急な身体の変化にまだ適応しきれていないのではないかということが挙げられます。よく言われるのがホルモンバランスが崩れるということで、妊娠によってヒト絨毛性ゴナドトロピン・黄体ホルモン・卵胞ホルモンの分泌増加が影響して、胃腸の機能を弱めるのではないかと考えられています。
食べつわり
食べつわりは、空腹時に吐き気を強く感じるタイプのつわりです。吐きつわりとは真逆とも言える状態ですので、やはりつわりと一口に言っても、個人差が大きいことがうかがえますね。
原因として考えられるのは、自律神経の乱れによってバランスが崩れていることや、低血糖の状態になっている場合も考えられます。
通常であれば健康体の方は低血糖を起こすほどに血糖値が下がることはあまりありませんが、妊娠によって体内でのエネルギー消費量が増えたことで、空腹時に低血糖が急に進むようなことが想定されます。
よだれつわり
よだれつわりとは、妊娠中に唾液量が増えて、自分の唾液によって気持ちが悪くなるというつわりです。よだれのせいで吐き気を感じたり、嗜好が変化したりして、自分のよだれを飲み込めないほどつらいという方もいらっしゃいます。
発生原因はあまりわかっていませんが、ホルモンバランスの変化や精神的変化が影響しているのではないかと考えられています。
においつわり
においに敏感になって、普段は気にならなかったような生活臭や食べ物のにおいにも反応するつわりです。受け付けないにおいだと、嗅ぐことで気持ち悪くなってしまいます。湯気なども受け付けないことが多いようで、ご飯が炊けるにおいが気持ち悪く感じたとおっしゃる方が多いようです。
妊娠とは命を育んでいる状態ですから、母体は防衛本能が増します。においに敏感になるのは、わずかな危険でも察知して胎児を守ろうとする母体の反応であると考えらえています。
眠りつわり
眠りつわりは、眠気に襲われ、頭がぼんやりとして、起きていても身体のだるさを感じるようなつわりです。
妊娠によって黄体ホルモンの分泌が増えるので、黄体ホルモンの持つ「体温を上げる」「眠気を促す」という作用がつわり症状となって現れるのではないかと考えられます。
また眠りとは身体を休めることですので、妊娠初期の大切な時期の身体を休めるように、本能的に守りに入っているということも考えられます。
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今日からできるつわり対策
吐きつわりの対策
赤ちゃんの成長を思うと、しっかり食べなくてはと思われるでしょうが、つわりのひどいときは食べやすいものを食べるようにしましょう。多くの方は、ゼリーなどのように喉ごしの良いものや、冷たいめん類などが食べやすいようです。
どうしても何も口にしたくないということであっても水分の摂取はしっかり意識しましょう。脱水症状を起こさないように経口補水液を摂ったり、飲みやすいと感じるようであれば炭酸飲料を摂ったりしてみるのも、良いでしょう。
食べつわりの対策
体重増加には注意が必要ですが、空腹環境を作らないようにしましょう。1回の食事でたくさん食べるのではなく、こまめに複数回の食事を摂るようにすると、空腹を感じにくく、急激な体重増加も起こしにくいでしょう。
低血糖対策とはいえ、チョコレートやケーキなどを頻繁に食べると体重増加が心配です。糖の吸収が早い飴などを持ち歩き、外出時でも対応できるようにしておくと安心です。
よだれつわりの対策
口の中をさっぱりさせる工夫をすると良いでしょう。環境が許すのであれば、うがいをするとか、無理してよだれを飲み込まずに吐き出してしまうと楽になります。
外出中でもティッシュなどで拭き取れば良いので、無理に飲み込まず、さっぱりした味の飴などを食べて気分を紛らわせるのも良いでしょう。
においつわりの対策
どのにおいに対して嫌悪感を示すかは人によって異なるので、自分が不快に感じたにおいをできるだけ遠ざけるようにするしかありません。
生活臭や周りの人のにおいも気になるようであれば、マスクをして過ごすのも良いでしょう。食事の支度をする途中に感じるにおいが辛ければ、外食や加工品を上手に利用しましょう。
食事の支度をしないことに罪悪感を覚えてしまうかもしれませんが、つわりが終わってからまた炊事を再開すれば良いので、特定の期間くらいは自分の身体を優先してあげましょう。
眠りつわりの対策
眠さは身体の反応なので、逆らわずに寝ていても良いでしょう。しかしお仕事を持っていると、なかなかそうもいきませんよね。
職場の理解がどの程度得られるかにもよりますが、15〜20分程度でも休憩できるとかなり楽になります。眠いことによって仕事にミスが生じては元も子もありませんから、上司に相談してみましょう。
ちょっとそういったことは望めないと思われる場合には、身体を軽く動かしたり、ガムをかんだりして気を紛らわせましょう。ただしくれぐれも無理は禁物です。
また、眠気によって注意力が低下している認識を持ち、車の運転などは控えるようにしましょう。
症状を軽減する方法は?
つわりの症状を和らげてくれると期待される栄養素に、ビタミンB6があります。魚介類や牛肉などから摂取しやすい栄養素です。このほかにバナナやさつまいもなどにも多く含まれていますので、食べやすいもので補給しましょう。
ビタミンB6は、体内でたんぱく質を代謝する際に必要となる栄養素です。たんぱく質の摂取が多くなればそれだけ必要量が増えますから、妊娠によって食生活が変化した場合には、意識して摂取すると良いでしょう。
栄養素はビタミンB6に限らず、バランスよく摂りたいものですよね。つわりがひどく食べられない場合には栄養バランスの乱れも心配になるでしょう。
「これなら、食べることができる」という食品もいくつかはあると思うので、できる範囲で口にしながら、水分摂取だけは怠ることのないようにしてください。
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まとめ
つわりの原因や種類とその対策を見てきましたが、どうしてつわりが起こるのかということは全容が未解明です。ただしつわりがあることで、まだお腹の膨らみがはっきりとしない時期でも明確に妊娠したことを認識することになります。
妊娠初期はまだ妊娠に戸惑っている時かもしれませんが、とにかく身体を大切にいたわりたい時期です。ですからつわりの時にあまり無理をしないことが大切です。
つわりは身体からの「少し休んだら?」というメッセージなのかもしれません。身体からの声にちゃんと耳を傾け、ゆっくり過ごしましょう。