赤ちゃんが飲んでいる母乳の量をはかるのは難しいです。そのため、自分の母乳は十分に足りているのか不安に思っているママも多いでしょう。
「たっぷり母乳を飲めているのかな?」と思ったら赤ちゃんの様子を確認し、いくつかの対策法を試してみましょう。
母乳不足につながる原因やサイン、母乳の量を増やす方法について詳しく解説いたします。
母乳の量が足りなくなる原因は?
たくさんのママが母乳の量が足りないと悩んでいます。母乳不足の主な原因は次の5つです。
母乳を上手く吸えない
母乳はプロクラチンとオキシトシンという二つのホルモンの働きによって出されています。
プロクラクチンには母乳を作る働きが、オキシトシンには母乳を乳腺まで運ぶ働きがあり、両方が正常に分泌されることによって赤ちゃんの成長に必要な母乳が作り出されます。
しかしながら、赤ちゃんの吸う力が弱ければ、これらのホルモンは十分に分泌されません。母乳を出すホルモンの量が減れば、母乳が足りなくなってしまいます。
特にママの乳首の形が扁平であったり、陥没乳首であったりすると、母乳を吸うのが難しくなり、プロクラチンとオキシトシンの分泌量が減少しやすいです。
貧血
母乳はママの血液が変化してできたものです。そのため、血液の量が少なければ、十分な母乳は分泌されません。
特に出産後1か月程度は出産の影響で血液が不足しがちであるため、母乳が出にくいママも多いです。
血行不良
血行不良になるとおっぱいに十分な血液が行き渡りません。血液がなければ、十分な量の母乳を作れなくなってしまいます。
血行不良の原因はさまざまですが、出産後に血行が悪くなったと感じる場合はストレスが影響していることが少なくありません。
血行不良になると母乳の味も悪くなると考えられているので、子育て中もストレスの発散を心がけたいです。
母乳が詰まっている
赤ちゃんが片方の胸からしかおっぱいを飲んでくれないときやおっぱいを上手く吸えないときは古くなった母乳が乳腺に詰まることがあります。
古い母乳が詰まっていると新しい母乳は出にくくなっていきます。
乳腺炎
古い母乳が詰まった状態で放置すると、細菌に感染することもあります。
細菌によって乳腺炎が引き起こされると、赤ちゃんが口に含むだけでも乳首に痛みを感じるので、うまく授乳ができず、十分な量の母乳を出せません。
母乳を出せなければ、さらに細菌に感染しやすくなり、乳腺炎が悪化していくという悪循環に陥ります。
母乳の量が足りていない時のサイン
「母乳が足りてなさそうだ」と思っても、赤ちゃんが飲んだ母乳の量ははかれません。
母乳が十分に出ているか悩んだときは次の6つのサインを確認してみましょう。
赤ちゃんの体重が増えない
赤ちゃんの体重は正常時、1日20~30gほど増加していきます。ところが、栄養源である母乳の出が悪いときは体重が増加していきません。
体重は子どもによって差が大きいですが、発育曲線と比べて明らかに体重が軽い場合や産まれたときからあまり体重が増えていない場合は母乳不足を疑いましょう。
授乳の間隔が短い
一日の授乳回数が増えてきたときは母乳が少なくなっているのかもしれません。
特に20~30分程度授乳したのにもかかわらず、すぐに飲みたがる場合は母乳が不足している可能性が高いです。
授乳後もおっぱいを離さない
母乳の出が悪いと赤ちゃんがおっぱいを離さないことがあります。授乳が終わったのにもかかわらず、口を外さないときは母乳が足りていない可能性が高いです。
授乳後も機嫌が悪い
赤ちゃんが不機嫌な時や泣き止まないときでも母乳をあげると機嫌を直してくれることは多いです。
しかしながら、母乳の出が悪ければ、授乳後も機嫌が良くなりません。いったん機嫌が良くなっても、30分以内にまたぐずりだすこともあります。
おしっこの回数が少ない
赤ちゃんは大人と比べておしっこの回数が多いです。1日5回以下しかおしっこをしないときは母乳が不足しているのかもしれません。
便秘
便秘も母乳不足の判断基準の一つです。数日間排便がない場合は母乳が少ないと考えられるでしょう。
母乳の量を増やす方法
十分な量の母乳が出ていないときはどのように対策をすると良いのでしょうか。母乳の量を増やす方法を10個ご紹介いたします。
授乳の回数を増やす
プロクラチンとオキシトシンの分泌量を増やすためには授乳の回数を増やすと良いでしょう。赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらって刺激が与えられれば、母乳の量が増えていきます。
また、授乳回数を増やすことで赤ちゃんの体重増加も期待できます。
赤ちゃんとスキンシップを取る
赤ちゃんとスキンシップを取るとオキシトシンの分泌量が増えると考えられています。抱っこしたり、触れ合ったりする回数を増やして母乳を出しましょう。
食生活の改善
食生活の改善も大切です。以下を参考に栄養素をバランスよく摂取しましょう。
授乳中に摂取したい栄養素
出産後は貧血になりやすいので、鉄分が豊富に含まれたレバーなどを積極的に食べると良いでしょう。
また、体を作る働きのあるタンパク質も必要です。タンパク質は肉類、大豆などに含まれています。
授乳中は避けたい食べ物
油っこい食べものや糖分をたくさん含んだ食べ物は血をドロドロにしてしまいます。ドロドロな血液は味が悪く、赤ちゃんが飲んでくれないことも多いです。
水分をたくさん摂取する
血液は水と鉄分で構成されています。水分が不足すると母乳の量が減るため、授乳中は一日3リットル以上水分を摂取してください。
紅茶やコーヒーなどの利尿作用をもつ飲み物は水分不足を招く恐れもあるため、避けた方が良いでしょう。
タンポポ茶を飲む
タンポポ茶は血流が改善されたり、ストレスを緩和したりする効能をもっています。母乳が出にくい人はタンポポ茶を飲んで血行を促進し、母乳の量を増やしましょう。
なお、タンポポ茶には利尿作用があるので、飲みすぎには注意が必要です。
湯船につかる
母乳の不足につながる血行不良の原因として挙げられるものの一つに体の冷えがあります。
冷え性に悩んでいるママは子育てが忙しいときもできるだけ湯船につかってリラックスすると良いでしょう。
ゆったりとした服装を心がける
体を締め付ける下着や洋服は血行不良を引き起こします。
授乳中はゆったりとした服装を心がけ、体を締め付けないようにしてください。
ストレスを発散する
ストレスの発散も大切です。
子育ての合間に時間を見つけてお気に入りの音楽を聴いたり、ママ友や家族に悩みを相談したりしてストレスをため込みすぎないようにしてください。
搾乳をする
授乳の回数を増やせないときや赤ちゃんがうまくおっぱいを吸えないときは搾乳も有効です。搾乳をすると胸が刺激されてプロクラチンの分泌量が増加します。
おっぱいマッサージを試す
古い母乳のつまりを解消したり、胸を刺激したりするためには母乳マッサージも効果的だと考えられています。母乳マッサージのやり方は次の通りです。
おっぱいマッサージのやり方
1.右の乳房の外側を左手で掴みます。
2.右手の親指を右のわきの下に置きます。
3.右から左に向かって胸を押します。
4.3回繰り返します。
5.反対側も同じように行います。
時間を見つけて毎日続けるようにしてください。
母乳が少なくても悩みすぎないで!
母乳の量が足りていないと思ったら、赤ちゃんの様子を確認し、対策法を試してみましょう。
母乳が出ないと焦り、ストレスをため込んでしまうと、赤ちゃんにも母乳にも悪影響なので、心配しすぎないことも大切です。
どうしても出てくれないときは粉ミルクに頼ることも必要でしょう。