頭に寄生して吸血し、強い痒みを発生させるアタマジラミ。幼稚園や学校などで集団感染が起こりやすいように、非常に感染力が強いのが特徴です。
「頭に虫が付く」なんていうと不潔なイメージがあるかもしれませんが、どんなに清潔にしていている人でも、アタマジラミには感染してしまう恐れがあるんです。
今回は、アタマジラミの感染経路や症状、感染してしまった時の駆除の仕方や、感染しないための予防法など、アタマジラミについて詳しく解説します。
「アタマジラミ」とは?
アタマジラミとは、人間の髪の根元近くに寄生して、頭皮から血を吸う寄生生物です。
卵は髪の根元に張り付くように産みつけられ、卵から孵化してたアタマジラミの幼虫はすぐに血を吸いはじめます。
その後、メスならたった1日で産卵ができるまでに成長し、寿命を迎える約1ヶ月の間に50~150個の卵を生むとされています。
アタマジラミは、その爆発的な繁殖力で人から人へと移動しながら数を増やしていく厄介な生物なんです。
成虫は髪の色に紛れて見つけられにくいのですが、卵は白く光沢のある長細い形をしているので、髪の根元をかき分けて探せば比較的容易に見つかります。
アタマジラミの感染経路と症状
「アタマジラミがいる」なんて、「不潔」「ちゃんと髪を洗ってないんじゃないか」と思ってしまうかもしれませんが、実は清潔にしているかどうかはアタマジラミの感染とは関係ないんです。
アタマジラミは、しっかりと髪にしがみついている成虫はもちろん髪と接着されている卵も、一般的なシャンプーでは駆除することができないからです。
アタマジラミは、頭が触れ合ったり、頭に触れたものがまた別の人の頭に触れたりすることで感染します。
例としては、
・頭がぶつかる
・頭を寄せ合ってゲームをしたり本を読んだりする
・隣同士で寝る
・他の人の帽子を借りる(間違って被る)
・頭を拭いたタオルで他の人の頭を拭く
・服が触れ合う
といったものが挙げられます。
どれも保育園や幼稚園、小学校など子どもが集団生活を行う場で当たり前のように起こりえる場面ですよね。
そのため、園や学校でアタマジラミが流行してしまうことが多いんです。
特に夏場の場合、プールの前後の着替えでタオルが共有されたり、頭や服が触れ合うことがあるためアタマジラミの検査が実施されることが多く、感染が判明しやすくなります。
しかし、アタマジラミは低温に強く高温多湿に弱いという特性があるため、実は夏よりも秋~冬においての涼しい季節の方が活発に活動するとも言われています。
アタマジラミに感染すると吸血により痒みが生じますが、頭に痒みを感じる原因はたくさんありますので、痒みを感じたらアタマジラミによるものか、ほかに原因があるのかを判断しなければなりません。
アタマジラミの卵の探し方
一番簡単で確実な方法は、アタマジラミの卵を探すことです。
既にご紹介したように、アタマジラミに感染していると髪の根元に卵が見られます。卵は孵化したあとの殻なら白色、孵化前であれば幼虫が透けて見えるため褐色に見えます。
フケと間違えてしまうことも多いのですが、、、
〜アタマジラミの卵〜
・丸っぽい
・頭皮ではなく髪の根元から数センチの場所に付着している
・触っても取れないくらい、しっかり引っ付いている
〜フケ〜
・薄っぺらい
・頭皮の近くに付いている
・髪に乗っているだけで、触るとすぐに落ちる
という特徴の違いで見分けることができます。
アタマジラミは特に耳の後ろや後頭部に寄生します。その部分の髪の根元を入念に確認してみましょう。
アタマジラミの駆除方法
アタマジラミの感染がわかったら、家族全員が感染してしまう前に、一刻も早く駆除してしまいましょう。
ここでは、アタマジラミを効果的に駆除する4つの方法お伝えします。
ただし、成虫や幼虫に効果的な駆除方法と卵に効果的な駆除方法は異なりますし、どの方法も一度で完全に駆除することはできません。
アタマジラミを完全にいなくなるまで、1週間程度駆除を続けてください。
1.毎日しっかり髪を洗う
髪の根元にしがみついている幼虫や成虫は、毎日のシャプーで洗い流しましょう。
指でこすることでアタマジラミを落とせるのはもちろんですが、シャンプーの泡そのものもアタマジラミを窒息させることができるので、よく泡立てたシャンプーで頭を洗い、約1~2分置いてから洗い流すと効果的です。
お子さんの場合、まだ自分では十分に頭が洗えませんので、大人の方が念入りに洗ってあげてください。
2.専用のシャンプーを使用する
薬で駆除できるタイプのアタマジラミであれば、専用シャンプーを使用するだけで幼虫と成虫をほぼ駆除することができます。
アタマジラミ専用のシャンプーが薬局などで市販されていますので、使用方法をよく読んで使ってみて下さい。
お子様には、殺虫成分がふんだんに含まれた専用シャンプーではなく、「シラノン」のような殺虫成分などの化学製品が使用されていないものが安心です。
ただし、専用シャンプーを使っても卵は駆除できませんので、卵の駆除とその間に孵化してした幼虫の駆除を1週間程度同時進行するようにしましょう。
3.植物性オイルを使用する
オリーブオイルやホホバオイルなどの植物性オイルでも、アタマジラミの幼虫と成虫を駆除することができます。
シャンプー前に髪の根元にたっぷりとオイルを塗り、その上からラップを撒いて5~10分パックしておくだけです。
これで幼虫と成虫を窒息させることができ、シャンプーでの駆除をより効率的に行うことができます。
オリーブオイルやホホバオイルは美髪にも効果的なので、「アタマジラミを駆除している!」という気分が少ないのも良いですね。
ただ、少し手間もかかるので特に痒みが酷いときの対処法としての使用がおすすめです。
4.クシで卵を駆除
アタマジラミの卵はシャンプーなどでは駆除することができないので、幼虫や成虫を駆除しつつ、次々に新しいアタマジラミが孵化してしまわないように卵もしっかりと駆除しましょう。
アタマジラミの卵は、専用のクシで物理的に駆除します。専用のクシは目の細かな金属製で、薬局でも販売されています。髪が乾いているとクシがスムーズに通らないので、シャンプー後の髪が濡れているときに丁寧に髪を漉きましょう。卵と一緒にシャンプーで取りきれなかった幼虫や成虫も取ることができますよ。
せっかく取れた卵やアタマジラミが再び髪についてしまわないように、洗面器などに水やお湯を溜めておいて、髪を漉く度にそこでクシを洗うようにしましょう。どれくらいのアタマジラミが駆除できたのかも、目で見て確認することができます。使用後は、クシが錆びてしまわないようにしっかりと水気を拭き取って乾かしておきましょう。
アタマジラミの感染を予防するには?
最初に紹介しましたように、どんなに清潔にしていても、周りにアタマジラミに感染している人が1人でもいれば、すぐに感染してしまう恐れがあります。
家族間感染や集団活動を行っているお子さんへの感染を防ぐため、以下のような徹底した予防が必要です。
基本の予防法
・タオルやブラシ、クシは共用せず、自分専用のものを使用する
・帽子やマフラーなど頭や首に触るものは共用せず、一度使ったら洗濯をして清潔を保つ
家族に感染者がいる場合の予防法
・枕カバーやシーツは毎日交換し、掃除機も毎日かける
・卵から成虫までアタマジラミは高温が苦手なので、洗濯の際にはまず約60℃の温水に5分ほど漬け込んでから普段通りに洗濯をする
・寝具はこまめに日光消毒を行う
アタマジラミは非常に感染力が強く、孵化から次の産卵までを髪の根元で行うため、1つの卵すら残さぬように根気よく丁寧に駆除を続けていく必要があります。
また、家族の中に一人でも感染者がいると、毎日寝具を洗濯するなど家事負担も非常に増えてしまうので、自宅にアタマジラミを持ち込んでしまわないように徹底した予防を行うことが大切です。