妊娠中は様々な体の悩みが起きますが、その中でも特に悩まされるのが便秘です。しかし市販の便秘薬は赤ちゃんに影響があるため使えませんし、便秘がクセになると体にも様々な悪影響を及ぼします。そこで今回は、妊娠中に便秘が起きる原因と共に、解消する方法をご紹介します。
まずは便秘かどうかをチェック!
毎日排便があったのに、妊娠してから毎日出ないな、と感じて便秘かもと考えていないでしょうか。実は便秘とは、毎日便が出ないからというだけではそうとはいえないのです。
便秘のセルフチェック
・お腹が張っていて、痛みがある
・便意はあるがでない
・便が硬い、うさぎの糞のように小さな便が出る
・出してもまだ残っている気がする
・長い間(1週間以上)排便がない
これらのいくつかに思い当たる点があれば、便秘になっているといえます。さらに妊娠中は普段よりも便秘がちになるので注意が必要です。
妊娠中の便秘の原因は?
ではなぜ妊娠中は便秘になりやすいのか、その原因について詳しくご紹介します。
ホルモンの影響によるもの
妊娠中は、黄体ホルモン、もしくはプロゲステロンと呼ばれる女性ホルモンが分泌されますが、これは着床後妊娠を維持するために体へ指示を出す役割があります。ただし黄体ホルモンは、この働きとは別に、胃や腸の筋肉を緩めてしまいます。これは妊娠した体に必要とする栄養をため込むためで、この働きによって胃の消化機能を低下させ、腸のぜん動運動も低下させてしまうので、うまく排便ができなくなることが便秘につながります。
合わせて黄体ホルモンには水分を蓄える働きもあり、これも便に十分な水分が届かず、便を硬くするため便秘につながってしまいます。
つわりによるもの
妊娠初期はつわりがひどく、あまり食べ物を受けつかない状態になったり、水を飲んでも戻してしまったりといったことを繰り返してしまいます。体に必要な水分は、本来なら食べ物や飲み物で摂取する必要がありますが、つわりになると食事が困難になり、食べることができるものだけ口にするといった、偏った食事を繰り返すと、便を作るために必要となる食物繊維や水分が常に足らない状態となります。
ストレスや疲労によるもの
妊娠すると、体調が変化するだけでなく生活にも変化が出るために疲れやすく、また精神的にもストレスを感じることが増えてしまいます。ストレスは自律神経を乱すため、体の機能に影響を及ぼします。そのため腸の働きが低下し、便秘になりやすくなります。
運動不足によるもの
妊娠初期は安定するまでは運動を控える必要があり、逆に安定期に入るとお腹が大きくなるにつれ体を動かすことがおっくうになってしまいます。運動不足は腸の働きを低下させてしまいます。
子宮が大きくなることによるもの
妊娠が進み、赤ちゃんが大きくなるのと同時に子宮も大きくなりますが、このときに小腸や大腸は圧迫され、背中側に移動してしまいます。そのため便がスムーズに進まず、加えて便に含まれる水分が再度大腸で吸収されてしまい、硬くなってしまうため便秘になってしまうのです。
さらにお腹が大きくなると、重心が前に行かないように背を反らす不自然な姿勢を取ることが多くなります。そのため腰に負担がかかるだけでなく、骨盤がゆがむために内臓が圧迫され、これも腸の運動を低下させる原因になります。
薬を使わずに解消する方法
便秘薬は流産を引き起こす可能性があるため、妊娠中は飲んではいけません。安全な便秘薬を病院で処方してもらうことも可能ですが、薬を使って一時的に便秘が解消しても、根本的な問題が解決しなければ、また繰り返してしまいます。まずはなってしまった便秘を解消することが必要です。
1.水分を積極的に摂る
朝起きたらまずコップ1杯の水を飲む習慣をつけましょう。そのほかの間も、できるだけ水分を摂ることを心掛けます。水が飲みにくいならスポーツ飲料など飲みやすいものを飲むようにします。
2.食物繊維を含む食べ物を食べる
食物繊維には、水を含んでふくらむ不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維とがあり、バランス良く摂ることで、便のかさを増やしスムーズに排出するための手助けをしてくれます。不溶性の食物繊維を含む食べ物には、穀物や豆類、野菜全般です。一方の水溶性の食物繊維を含む食べ物には、海藻のほか、納豆やおくらといったネバネバの感触があるもの、アボカドやキウイといった果物があります。
3.乳酸菌を含む食べ物を食べる
乳酸菌は腸内でその環境を整えてくれます。ヨーグルトのほか、チーズ、大豆を発酵させた納豆や味噌、漬物やキムチに含まれています。
4.便意を感じたらトイレに行く
便意を感じたときには、とりあえずトイレに行く習慣をつけましょう。そのとき出なくても無理をする必要はありません。出さないと、と考えるとストレスになります。また長時間いきむことは痔の原因にもなりますので、5分ほど座って出ないときにはまた次の機会を待ちましょう。
5.体を動かすようにする
汗ばむ程度のウォーキングを毎日続けるようにしましょう。体を動かさないと、腸が刺激されず働きも低下してしまいます。体調が悪いときには無理をせず、まずは散歩から始めてみるのもいいでしょう。
6.体を温める
体が冷えると血行が悪くなり、内臓の働きも低下します。膝掛けや靴下などの重ね履きをするだけでなく、温かいお茶を飲むようにしましょう。ハーブティーには便秘を解消する効果のあるものを選びましょう。ハーブの中でもバラの果実から作られるローズヒップや、ハイビスカスの萼から作られるハイビスカスはビタミンも豊富です。またショウガから作られるジンジャーには、体を温め血行を改善する効能があります。
7.ツボ押しやマッサージをする
背骨と骨盤が交わる部分、右と左の骨盤にそれぞれある大腸兪、おへそから左右に指3本分外側にある天枢のツボを刺激しましょう。大腸兪は下痢や便秘にも効果があり、天枢には腸の働きを促す効果があります。妊娠中は自分で押すのが難しいので、パートナーに押してもらうといいでしょう。
またお腹を優しく円を描くようにマッサージすることも、腸の働きを刺激します。ただし強く押したりはしないように注意しましょう。
8.腰をひねるストレッチをする
仰向けに寝て、膝を立てます。そのまま膝をゆっくり左右に倒します。勢いをつけるのではなく、腸をねじるようなイメージで行ってみましょう。数回でいいので、毎日続けることで便意が起きるようになります。
便秘にならないためにできる予防法
妊娠すると、ほぼ9割の人が便秘や下痢に悩まされるようになります。便秘で便が溜まると、老廃物も溜まるため、今度は下痢になってそれを出そうとしますが、下痢になると必要な水分や腸内細菌も一緒に排出され、また便秘になるといったことを繰り返してしまうのです。
妊娠中の便秘を悪化させないために
・お風呂はしっかり浸かって体を温める
・睡眠時間は十分に確保する
・野菜だけでなく肉や魚もしっかり食べる
・甘いものを食べ過ぎない
妊娠も中期、後期となると便秘がなかなか解消しづらくなります。初期や中期のうちに、便秘にならないように食事や水分補給を心掛け、体を冷やさないように気をつけましょう。また水分だけでなく質の良い油を摂取することも、便通をスムーズにします。