無事出産を終えてホッとしたのもつかの間、新生児のママには次々と悩みや不安がやってきますが、中でも頭を悩ませるものといえば、母乳が十分に出ないということではないでしょうか。中にはスパッと切り替えて粉ミルクを併用したり、ミルク育児に移行するというママもいらっしゃると思いますが、できれば完母でと希望しているママだって少なくはないでしょう。
そんなママさんたちのために、今回は母乳の出に良い食べ物や飲み物、ほかにも母乳の出が良くなる方法をご紹介します。
母乳の出に良い食べ物
毎食白米を食べる
炭水化物はエネルギー源です。特に母乳を作るためには大量のエネルギーが必要となりますので、毎食お米を食べるようにしましょう。炭水化物というのであれば、パンやパスタでも良いような気がするかもしれませんが、パンにはバターや卵、砂糖がたくさん使われていますので食べ過ぎると乳腺炎の原因になってしまいます。パスタも生産時に油などが使われていますので、何も混ざっていないシンプルなお米が一番です。
健康のためなら白米より栄養豊富な玄米の方が良さそうですが、乳腺が詰まりやすくなることがありますので、授乳中は玄米は控えるようにしましょう。毎食2膳ずつ食べるのが理想です。
体を温める野菜を食べよう
白菜やほうれん草、ネギなどの寒冷地で育つ野菜や冬が旬の野菜、大根やにんじん、ゴボウ、里芋などの根菜類は体を温めるはたらきがあります。体が温まると血行が促進されて母乳のでもよくなりますので、積極的に食べるようにしましょう。特に、根菜類は食物繊維も豊富なので、便秘がちになりやすいママの胃腸を整えて、排泄を促してくれる一石二鳥の食材です。
逆に、ナスやきゅうり、トマトなどの夏が旬の野菜は体を冷やしてしまいますのでおすすめしません。
植物性たんぱく質を摂ろう
たんぱく質は、筋肉や肌、髪を作るために欠かせない栄養素ですが、肉や乳製品といった動物のたんぱく質は高カロリーで乳腺を詰まらせてしまう恐れもあります。豆腐や納豆、きな粉といった大豆製品に含まれる植物性たんぱく質を積極的に摂るようにしましょう。また、大豆に含まれているイソフラボンも、母乳の出を良くすると言われています。
和食中心の食生活を心掛けよう
母乳の出を良くするためには、和食が一番です。食の欧米化が進み、洋食が中心の食生活を送っている方も多いかもしれませんが、これを機に食生活を見直してみましょう。おすすめなのは、ご紹介した根菜や冬野菜を使った具沢山味噌汁です。体も温まりますし、母乳の出を良くする食材の栄養を余すところなく摂り入れることができますよ。
おやつも一工夫しよう
授乳中はお腹が空くのも早いので、おやつが欲しくなりますよね。でも、チョコレートやスナック菓子は厳禁です。そんなときは、蒸かしたさつまいもやじゃがいも、小さなおにぎりなどを食べるようにしましょう。
どうしても「お菓子的なものが欲しい!」というときは、和菓子がおすすめです。洋菓子のように卵やバター、牛乳などが使用されておらず、低カロリー。和菓子によく使用される小豆や寒天、きな粉やゴマは母乳の出を良くしたり食物繊維が豊富であったりと授乳中のママには嬉しい食材です。とはいえ、食べ過ぎは乳腺炎やカロリー過多の原因になりますので食べ過ぎには注意し、夜間の間食も避けるようにしましょう。
母乳の出に良い飲み物
母乳の成分のほとんどが水分です。そのため、ママの水分補給が非常に大切出ることはもちろん、母乳の量や質も飲んだものに影響されるので、「何を飲むか」も大切になってきます。ちなみに、授乳中のママは1日に3リットル、汗をかく夏場は4~5リットルの水分補給が必要だと言われているんですよ。
とはいえ、冷たい飲み物ばかりガブガブ飲んでいては身体が冷えて血行が悪くなり、母乳の出が悪くなってしまいます。温かいものや常温のものを飲むようにしましょう。また、「体を冷やしてしまう」という意味では、糖分の多いジュースや清涼飲料水も控えるべきです。
母乳の出に良い飲み物としては、具体的に以下のものが挙げられます。
麦茶
麦茶はカフェインが含まれておらず、ミネラルや食物繊維も豊富という授乳中のママに嬉しいお茶です。
ハーブティー
ハーブティーの中には、授乳中のママ向けのものもあります。カフェインも入っていませんしリラックス効果もあるので、新生児のお世話に追われる忙しい日々の中でホッと一息つく時間を楽しむことができます。
授乳中におすすめなのは、ミネラル豊富なルイボスティーや母乳の出を良くして子宮の回復も助けてくれるラズベリーリーフティー、貧血予防に効果的なネトルティーやローズヒップティーです。
タンポポコーヒー(タンポポ茶)
タンポポの根っこを煎じて作られるタンポポコーヒー。本当は「コーヒー」ではなく「お茶」なのですが、風味がコーヒーに似ていることから「タンポポコーヒー」と呼ばれることが多いです。苦味が少ないので、
「普通のコーヒーは苦手だけどタンポポコーヒーは飲める」という方もいらっしゃいます。
血液をサラサラにして血行を促進するはたらきがあり、母乳の出を良くしたり、質を高めたり、乳腺炎の予防や解消にも効果が期待できます。妊婦さんや授乳中のママさん向けのカフェインレスのものを選んでくださいね。
ゴボウ茶
ゴボウから作るゴボウ茶も、血の巡りを良くするサポニンや食物繊維が豊富なので授乳中のママにおすすめす。ただ、サポニンは過剰摂取すると下痢や吐き気を引き起こす恐れがあるので、飲み過ぎないように注意しましょう。
甘酒
古くから「飲む点滴」として日本人に親しまれてきた甘酒は、授乳中のママにもおすすめです。米麹から作られた甘酒であれば、アルコール分は0%です。
甘酒は栄養が豊富で疲労回復にもてき面効果があります。ほかにも、冷えの予防・改善や血行促進、腸内環境の改善、美肌効果など様々な効果効能がある、授乳中のママにはピッタリです。
その他の母乳の出が良くなる方法
食べ物や飲み物以外にもできる、母乳の出を良くする方法をご紹介します。
頻繁に授乳を行う
たとえ母乳の量が少なかったり、出ていなかったとしても、赤ちゃんに乳首を吸ってもらいましょう。赤ちゃんに吸われることが刺激となって、母乳を作るホルモンの分泌が促されます。新生児の場合、1日に10回以上飲んでもらうようにすると良いですよ。
しっかり休息をとる
新生児の育児は睡眠不足との戦いですが、睡眠不足は母乳の出を悪くさせてしまいます。家事は家族に任せるなどして、赤ちゃんが寝ている間はママも一緒に寝るようにしましょう。「せっかく寝ているのだから今のうちに」と用事をこなそうとすると、寝る時間がなくなってしまいますよ。
ストレスを溜め込まない
ストレスは自律神経やホルモンバランスを狂わせて母乳の出も悪くさせてしまいます。産後はメンタルも不安定なので非常にストレスをためやすくなっていますが、周りの協力を得ながらたまには一人でゆっくりお風呂に入ったり、出掛けたり、友達と会ったりして上手にストレス解消しましょう。粉ミルクに頼るのも、決して悪いことではありませんよ。
母乳外来は強い味方
何をどうしても母乳の出が悪くお手上げ状態になってしまったら、産院などに設置されている母乳外来に相談に行ってみましょう。助産師さんがあなたの不安をしっかり聞いて、授乳の仕方やおっぱいマッサージなど、プロならではの指導をしてくれます。
話を聞いてもらって「大丈夫」と言ってもらえるだけでも、心が軽くなって不安やストレスが軽減されるので、些細なことでも不安や疑問があったら気軽に母乳外来を訪ねてみましょう。
特に、初めて母乳育児をするママは、ちゃんと母乳が出ているのか?赤ちゃんが飲めているのか?と不安になってしまうものです。実母や義母など周りの人から無責任に「足りてるの?」「ミルク足した方がいいんじゃないの?」と言われたりしたら、その不安はますます深くなってしまいます。
母乳に関するトラブルは、内容や程度に差はあるものの多くのママさんが経験するものです。トラブルに直面してしまったら、食べ物や飲み物を工夫してしっかり休んで、まずは母体のケアを考えましょう。家族や母乳外来など、周りに頼ることも一つの方法です。