暑い季節になると家の中でよく見かけるようになるのがコバエです。その時期になるとコバエ対策商品のテレビCMが流れ始めますね。
小さなハエをコバエとひとくくりに呼んでいますが、実はコバエは1種類ではないんです。家の中によく出るのは主に3種類のコバエで、種類別に退治法や対策法が違います。そこで今回は、種類別にみるコバエの退治方法と対策方法をご紹介します。
よく出るコバエの種類
なんだか不潔な印象をうけるコバエはすぐにでも退治したいものですよね。コバエというのは実はショウジョウバエなど小さいハエの総称です。家の中でよく見られるコバエはショウジョウバエ・ノミバエ、チョウバエの3種類です。
ショウジョウバエ
ショウジョウバエは黄赤色をしているハエで大きさは2mm程度、日本では約260種類が生息しています。腐った果実を好むため、生ごみに発生します。そのため、家の中では台所が活動範囲になります。
ノミバエ
ノミバエは黒褐色をしているハエで大きさは2mm程度、日本では約20種類が生息しています。ゴミや腐った植物などに発生し、動きが俊敏なのが特徴です。ノミバエは飛ぶだけではなく、テーブルの上や食品の上を歩いたり、ノミのように跳ねたりします。食品に産卵することもあります。
チョウバエ
チョウバエは黒色をしているハエで大きさは5mm程度、日本では約50種類が生息しています。台所やお風呂の排水周りや下水管のヘドロから発生して室内へ入り込みます。
コバエの卵が付着した食品を食べると体内で幼虫が孵化し、腸内の粘膜を刺激することによって激しい腹痛や下痢を起こしてしまいます。これを「消化器ハエ症」といいます。
孵化した幼虫は腸内にある食べ物を食べますが、腸壁を食い破るほどの力はないので、いずれ便と一緒に体外へ排出されます。幼虫が体外へ排出されると症状はおさまります。
消化器ハエ症を引き起こす原因のほとんどがノミバエです。
恐ろしい「ハエ症」
ハエが人間にもたらすハエ症はあまり知られていませんが、室内でコバエを見かけたことがある場合は知っておいた方が良いでしょう。
ハエ症は腹痛や下痢を引き起こす消化器ハエ症以外にも、体内に幼虫が寄生する場合もあります。
体内に寄生するのはお風呂場でよく見かけるチョウバエの幼虫です。
肺や目、尿道に寄生してつらいハエ症を引き起こした症例も報告されています。
体内に寄生する症例は非常にまれではありますが、極端に体力が落ちていたり、不衛生な環境で生活しているとこのようなハエ症にかかってしまうケースがありますので注意が必要です。
小さなお子さんやお年寄り、病人がいる場合は気を付けましょう。
種類別退治方法・対策法
コバエを退治するには、コバエの種類を見分けることが大切です。
ショウジョウバエの退治・対策法
ショウジョウバエを退治するにはトラップを仕掛けるのがおすすめです。
ショウジョウバエはアルコールや果物、根菜類を好みますから、アルコールを使ったトラップを仕掛けましょう。仕掛けの作り方は簡単です。
■材料
・ビール50ml
・中性洗剤1滴
・水10ml
これを混ぜて、小皿に移してキッチンカウンターの隅や流しの横などに置きます。するとアルコールの香りに引き寄せられたショウジョウバエが小皿の中に入ってきます。洗剤が入っているので、表面張力が働きショウジョウバエを離しません。非常に効果が高く、大量のショウジョウバエを捕まえることができる方法です。
ノミバエの退治・対策法
ノミバエは紫外線に集まるという習性があります。その習性を生かしたトラップが効果的です。
光が入り込む窓際や電気スタンドなどの下に、めんつゆ、酢、漬物の汁などを小皿に入れたトラップを仕掛けましょう。
消化器ハエ症を引き起こす原因となる卵や幼虫に殺虫剤が効きにくいので、ノミバエがたかっていたものはできるのであれば熱湯消毒しましょう。
チョウバエ
チョウバエはお風呂場でよく見かけるコバエです。暗くジメジメしているところを好み、1匹で約200個もの卵を産み付けるうえに、生命力も強いので、見つけたらすぐに退治しておくことが大切です。
チョウバエはお風呂場など水があるところで発生するものの、水には弱いので、殺虫剤を使用しなくてもシャワーをかけて退治できます。
家でよく見られるコバエ3種類に対する対策法は共通しています。それは室内やお風呂場などを清潔にし、発生源をなくすことが大切です。
洗い物をためない、調味料の出しっぱなしや、中身の少し残ったコップなどを放置しないようにし、お風呂はバスタブ前面の「エプロン」部分も定期的に外して掃除をしましょう。
また排水溝部分に抜け毛などを放置していると、水の流れが悪くなり、そこにコバエが発生しますから、排水溝部分の掃除も徹底しましょう。
外からの侵入を予防することも大切
コバエは外からも家の中に入ってきます。網戸を閉めているから大丈夫というのは大きな間違いです。
コバエは体長が2mmほどと非常に小さいので、窓を閉めていても室内へ入ってきます。窓が閉まっている状態の網戸の位置を意識している方は少ないのではないでしょうか。
窓を閉めるだけではなく、網戸もきちんと閉めていないと隙間ができてしまいますから、コバエが室内に簡単に入ることができます。
また網戸のメッシュも隙間が1mm以下のものでないと、簡単にコバエが潜り抜けてしまいます。
窓以外からの侵入経路は、エアコンの排水ホースや室外機、壁に開けられたエアコンのホースを通すための穴などがあります。
玄関などにある照明もコバエが寄ってくる原因となるので玄関照明を紫外線がカットされている仕様のLEDライトなどに取り換えるのがよいでしょう。玄関に集まるコバエが減れば、玄関からコバエが室内に入ってくることを防ぐことができます。
外からの侵入を防ぎ、室内を清潔に保てばコバエももう怖くありません。成虫を見つけたら、見逃さずにしっかり退治しましょう。