つわりの程度に個人差はありますが、妊婦さんの8割は経験すると言われていますので、多くの方が思い当たるのではないでしょうか。
まだおなかは大きくなってきていなくても、母となる自覚にあふれているときには、食べられないことも赤ちゃんへ悪影響なのではないかと神経質になってしまいますよね。
食べやすいとされているものをご紹介しますので、ご自身の「つわりが乗り切れる食べ物」を見つけてみてください。
つわりで気をつけたいこと
つわりは妊娠初期にみられる、胸やけ・食欲不振・嗜好の変化などのあらわれを総称しています。ひどい場合には、今にも嘔吐しそうな不快感を覚えたり、嘔吐してしまったりすることもあります。
つわりは特に、経産婦よりも初産婦に多いとされています。
妊娠4~5カ月ごろには自然と回復に向かうとされていますが、とくに身体を大切にしたいこの時期に、「いずれ治るから」と楽観視はできませんよね。
空腹時には吐き気をもよおしやすいので、あまり食が進まない時には1回の食事量を減らして、複数回に分けて摂るようにしましょう。
あまり悪化してしまうと、脱水症状や栄養障害、代謝障害などが現れ、「妊娠悪阻」という治療を要する状態になってしまいます。
輸液による栄養素の補給などもできますので、一人で頑張りすぎないで、お医者さんに相談しながら乗り切りましょう。
つわりを和らげてくれる食べ物は?
つわりとの関連では、ビタミンB6がつわりを和らげてくれるのではないかと期待されています。
ビタミンB6は水溶性ビタミンの1つです。体内でたんぱく質を代謝する際に必要となるビタミンで、たんぱく質から体内の様々な物質を生成する際にも必要となります。
つわりの詳しい原因はわかっていませんが、ホルモンのアンバランスが一つの原因ではないかと考えられています。ホルモンの材料となるのは主に、たんぱく質です。ですのでたんぱく質もしっかり摂取する必要があるのですが、さらにホルモンの代謝を助けるのがビタミンB6ですので、やはりビタミンB6もあわせてしっかり摂取したいところです。
私たちが栄養素をどのくらい摂取したら良いかを知るには、厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」を参照すれば良いのですが、この最新版(2015年版)のなかで妊婦はビタミンB6を、妊娠していない同年代の女性よりも多く摂るように設定されています。
具体的には1日1.4㎎を推奨量としています。
ビタミンB6を多く含む食べ物
ビタミンB6は
・魚介類(かつお、さけ、さんま、さばなど)
・牛肉
・バナナ
・レバー
・さつまいも
などに含まれています。
なかでもバナナは比較的食べやすいと感じるようなので、ぜひ取り入れてみてください。バナナにはビタミンB6以外にも食物繊維やオリゴ糖が含まれているので、便秘予防にもなります。
食べやすい食べ物もある
食べられない時であっても、「これは比較的食べやすい」という食品がわかっていると良いですよね。これまでの食の嗜好が変化してしまうので、なかなか難しいですが、多くの妊婦さんの経験では
・さっぱりしているもの
・あっさりしているもの
・冷たいもの
が食べやすかったようです。
トマト
さっぱりしているトマト。ミニトマトのようにつまみやすいものを冷やしておくと、少しずつ食べることができるので、便利です。β-カロテンやビタミンC、さらには妊娠初期に特に意識して摂取したい葉酸の摂取にもつながりますので、食べられればぜひ取り入れましょう。
グレープフルーツ
水分が多く、香りもさわやかで適度な酸味のあるグレープフルーツは食べやすいようです。柑橘類は全般的に食べやすいようですが、特にグレープフルーツには若干の苦みがあるところが、よりさっぱり感を得られます。
豆腐
重要なたんぱく質源でありながら、あっさりと食べることのできる豆腐は、使える食材です。可能であれば、薬味などをたっぷりと載せて、栄養素をさらに補強しましょう。
梅干し
「すっぱいものは食べやすい」といえば、外せないのが梅干し。特に妊娠中は温かいごはんを受けつけなくなるパターンが多いので、梅干しを使っておにぎりにしておき、ごはんの香りが緩和される冷めた状態で食べるのも良いでしょう。どうしても食べ物を受け付けないときには、白湯に梅干しを入れて飲むといった使い方もできます。
ゼリー・ジュース
つるんと食べやすいという意味で、ゼリーは重宝します。また、どうしても食べたくないときには100%のジュースを飲むようにするだけでも、まったく何も口にしないよりは良いでしょう。
食べ方にも気を付けて
身体を冷やさない
食べられるものを食べるというのも大切ですが、比較的冷たいものが多くなりがちなので、身体を冷やさないように注意しましょう。
塩分の摂り過ぎに注意
塩分の摂り過ぎは妊娠高血圧症候群のリスクが高まります。味付けに注意しましょう。
脂の摂り過ぎはダメ
食べられるからと脂っこいものを摂り過ぎると、後から吐き気をもよおす場合もあります。気をつけましょう。
ビタミンAの上手な摂り方
妊娠中に特に気をつけたいのが、ビタミンAの過剰摂取です。ビタミンAの過剰摂取では、胎児奇形リスクの上昇が知られています。妊娠中に意識して食べがちなレバーなどを摂り過ぎると、サプリメントを利用せず食事だけでも過剰になってしまうことがあります。
体内でビタミンAとして働くのは、β-カロテンも同様なのですが、必要に応じてビタミンAに変換するため、比較的過剰症の心配は薄いとされています。野菜などからβ-カロテンの形でビタミンAを摂取するようにしましょう。
まとめ
ご自身の身体のためにも、赤ちゃんのためにも、一番の理想はバランスのよいお食事を、しっかり食べられることですよね。でも、つわりでそうはいかなくなると、気分も悪いうえ、赤ちゃんのことが気にかかって、さらに落ち込んでしまうのではないでしょうか。
食品にはいろいろな栄養素が含まれています。ですから、ダメなものを無理に食べなくても、少しでも食べられるものを見つけて、できるだけ偏らないように食べていれば、よほどの場合でない限り栄養失調にはなりません。
神経質になりすぎないこと、さらに一人で頑張りすぎないことに気をつけて、穏やかにお過ごしください。