妊娠を考えている場合、生理が来るか来ないかは判断の基準になりますが、出血があったのに妊娠検査が陽性だった!なんてことありますよね。生理と勘違いしやすい出血は、妊娠以外に病気が原因となっていることも考えられます。注意しなければならない出血や、妊娠を確認する方法について、詳しくご紹介します。
生理が起こるメカニズム
生理とは、受精した卵子が着床する子宮内膜がはがれ落ちることで起きる現象です。その詳しいメカニズムについてご紹介します。
生理が起きるまでの流れ
1.卵巣で卵子が成長する
左右に2つある卵巣のどちらかで、ホルモンによって刺激され卵胞が成長します。同時に子宮内膜が着床に備えてふくらみ始めます。
2.排卵
卵巣から卵子が飛び出し、排卵されます。この卵子は、卵管で精子が来るのを待ちます。同時に子宮内膜がさらに厚くなります。
3.生理
受精が行われないと、子宮内膜は子宮からはがれ落ち、卵子や血液と共に排出されます。これが生理です。
子宮内膜の表面にある組織が酵素によって溶けてはがれ落ちるため、同時に子宮内膜の毛細血管なども溶けて経血となります。ただし子宮の入り口は狭いため、経血は時間をかけて少しずつ排出され、このため生理は1週間ほどあるのです。
また子宮の形は個人差があり、正常な位置であれば出血もスムーズなのですが、子宮の位置が前や後ろに傾いているとスムーズな排出ができなくなります。また出血量が多いと、なかなか排出できないこともあります。
生理が起きた場合、受精が行われず、着床が行われなかったということなので、妊娠したということはありません。しかし何らかの原因で、生理ではないのに生理に似た出血が起きることがあり、これを不正出血と呼びます。さらに妊娠していて生理のタイミングで不正出血が起きることは十分に可能性があります。
妊娠初期に出血を伴う理由
妊娠していて、生理のタイミングでみられる出血には、以下のようなものが考えられます。
着床時出血によるもの
受精卵が子宮内膜に着床するときに、絨毛と呼ばれる根を伸ばします。これが子宮に傷をつけ、出血につながります。着床のタイミングは生理の時期と重なることが多く、出血も2,3日続くため生理と勘違いすることが多くあります。
絨毛膜下出血によるもの
絨毛が子宮内膜に根を張った際の出血が多いと、血腫になることがあります。小さなものは問題ありませんが、この際の出血量が多いと、流産につながることも。
子宮外妊娠によるもの
受精した卵子が、卵巣や卵管で着床してしまった状態で、受精卵がそのまま細胞分裂を繰り返した場合、卵管が破裂して大量の出血につながります。痛みと出血がひどく、生理痛と思い込んでしまうことがあります。
初期流産によるもの
ごく初期の流産ですが、心拍が確認できる前の自然流産で、染色体異常によるものです。一般的には流産としてカウントされませんが、普段の生理より出血が多く、塊が出る、出血する期間が長いといった特徴があります。
着床出血であれば、それほど痛みもなく問題ありませんが、痛みがひどい、出血量が多いなど、いつもと違うと感じた場合は、早期に病院での診察、治療が必要です。
妊娠検査薬でチェックしよう!
生理なのか妊娠していて起きた出血なのか、判断が難しい場合があります。
基礎体温でチェックする
基礎体温では排卵日のあとに高温期に入り、妊娠していた場合はそのまま高温期が維持されます。生理が来たときには基礎体温は下がりますので、不正出血の原因が生理かそれとも別の原因があるかは、そこで判断できます。
ただし基礎体温は毎日きちんと測ってこそ体温の上下が判断できるものなので、不正出血があってから測っても意味がありません。妊娠を考え始めたときから基礎体温をつける習慣を身につけておきましょう。
妊娠検査薬を試す
妊娠検査薬は、妊娠したときに分泌されるホルモンの反応から判断する検査キットです。基本的には生理開始予定日から1週間後以降に使用することで、正確な結果が出るとされていますが、フライング検査として生理予定日から使用できる製品も販売されています。
ただしフライング検査薬で陽性であっても、生理予定日の1週間後に再び検査薬を使った際には陰性で、化学流産していることが分かる場合もあります。知りたくなかった結果を知ることが逆にストレスになる場合もありますので、検査薬を使用する際には、できるだけ使用する期日を守って使用するようにしましょう。
また妊娠検査薬で陽性であっても、実際に赤ちゃんの心拍が確認できないと妊娠とはなりません。結果が陽性だった場合は、病院で診察を受けるまで、安静にして過ごすなど妊娠に向けて体調を整えることも必要です。
生理が遅れてきたけど流産かも?そのあとの対応策は?
女性の体はデリケートなため、周りの環境や気温、そして生活習慣や疲労、ストレスなどによって生理が遅れることは十分に考えられます。しかし妊娠の可能性があり、生理が遅れている、また遅れて生理が来た場合には注意が必要です。
遅れてきた生理の状況で注意したいもの
・下腹部の痛みがある
・出血量がいつもに比べて多い
・血液の塊が多く出る
これらの状態は、妊娠したものの流産してしまったときの症状として考えられます。この場合、子宮内に残留物が残っている可能性があり、そのまま放置してしまうと異物として判断され、体に様々な悪影響を及ぼします。
状況によってはこれらの残留物を排出する必要もありますので、いつもの生理と違うと感じる症状が起きている場合は、早急に病院で診察を受けるようにしましょう。
妊娠をしているのに出血を生理と勘違いして、お酒や薬を飲んでしまったということは良くあることですが、妊娠していた場合には赤ちゃんへの影響も心配です。また不正出血は他の病気が原因で起きていることもありますので、自己判断せず、産婦人科で必ず診察してもらうことが必要です。